テーロス還魂記:下僕の復活

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下僕の復活(Minion’s Return)はカードセット「テーロス還魂記」収録のエンチャント・カード。

フレイバー・テキストで何かおかしいぞと引っ掛かりを覚えたカードをピックアップする。

下僕の復活の解説

As a mortal, Phenax was the first to escape the Underworld. As a god, he brings his pawns along the same dark path.
定命の者として、フィナックスは死の国から脱出した初めての者となった。神として、彼は自分の手駒を同じ暗い道に引き入れている。
引用:下僕の復活(Minion’s Return)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

下僕の復活(Minion's Return)

データベースGathererより引用

下僕の復活(Minion’s Return)は、テーロス次元の欺瞞と嘘の神フィナックス(Phenax)の下僕が死の国(Underworld)から復活する様を描出している。

イラストにはフィナックスの指先から伸びた糸に繋がれたミノタウルスが描かれている。まるで操り人形のようだ。



欺瞞の神フィナックスと死の国からの脱出

欺瞞の神、フィナックス(Phenax, God of Deception)

欺瞞の神、フィナックス(Phenax, God of Deception)
データベースGathererより引用

カードセット「神々の軍勢」ファットパック付属のプレイヤーズ・ガイドの解説によると、フィナックスは太陽の神ヘリオッド(Heliod)によって死の国に幽閉されたが、幻術で欺いて、生きたまま死の国からの脱出に成功している。死者の神エレボス(Erebos)も死の国への渡し守の神エイスリオス(Athreos)も幻術を見破れなかった。

このフィナックスの脱出は「フィナックスの道(Path of Phenax)」と呼ばれ、フィナックスに倣って死の国から逃げ出した死者たちは蘇りし者(The Returned)となった。こうした経緯から蘇りし者はフィナックスを信仰している。

以上のような設定が反映されているのが、この下僕の復活というカードである。

イラストにはフィナックスと下僕が描かれ、フレイバー・テキストにはフィナックスの脱出と信者の関係性が表されている。死亡したクリーチャーが戦場に戻ってくるメカニズムは、まさに死の国からの逃亡である。

全体的に調和のとれた、雰囲気のよく出ているカードだ。ところが、和訳製品版のフレイバー・テキストに不自然なひっかかりを覚えてならない。

下僕の復活のフレイバー・テキスト

As a mortal, Phenax was the first to escape the Underworld. As a god, he brings his pawns along the same dark path.
定命の者として、フィナックスは死の国から脱出した初めての者となった。神として、彼は自分の手駒を同じ暗い道に引き入れている。

下僕の復活の和訳製品版フレイバー・テキストは後半部分が何やらおかしい。「自分の手駒を同じ暗い道に引き入れている」とはどういうことだろう?「引き入れる」とは「(誘ったり、引っ張ったりして)中に入れる」ということだが、例えば、悪の道に誘って引き込む、といった意味合いに読めるがそうなのだろうか?

上述した設定によれば、フィナックスは死の国から脱出し、それに従った死者がフィナックスを信仰する蘇りし者である。このカードのフレイバー・テキストは明らかにこの設定をそのまま写し取った内容である。

まず最初の文はフィナックスの脱出劇を表している。「定命の者として(As a mortal)」というのは、フィナックスが死者でなく生者のままで脱出したことを示している。蘇りし者は死の国から脱出できてはいてもアンデッドのゾンビなので、神のフィナックスはやはり別格扱いだ。

続いて後半の文を考える。蘇りし者がフィナックスを信仰している設定を踏まえれば、「自分の手駒(his pawns)」は「蘇りし者」と同義であろう。そして「同じ暗い道(the same dark path)」も設定を踏まえると「フィナックスの道(Path of Phenax)」を示していると解釈できる。ここまではいい。しかし、「に引き入れている」と和訳されている「bring … along …」の部分は違和感を覚える。

「he brings his pawns along the same dark path.」の「bring」と「along」を考えてみよう。まず「bring」は「(人を)連れてくる」という意味がある。「along」の方はこの文の場合は「(川や道など)を伝って、に沿って、を通って」が適しているだろう。

したがって、後半の文は「神として、彼は自分の手駒を同じ暗い道伝いで連れてくる。」となる。手駒である死者を「連れてくる」のはどこか?もちろん死の国から生者の世界にだ。

定命の者として、フィナックスは死の国から脱出した初めての者となった。神として、彼は自分の手駒を同じ暗い道伝いで連れてくる。

フィナックスと蘇りし者の設定周りを考慮するとこう読むのがしっくりくる。

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テーロス還魂記のリストの作成は未定。