ネブカドネザル(Nebuchadnezzar)はカードセット「レジェンド」収録の伝説のクリーチャー・カードである。
今回はドミナリア次元ドメインズ地方を数世紀にわたり放浪したという歴史上の人物を解説する。
ネブカドネザルの解説
A seeker of truth and a speaker of wisdom, this wanderer traveled throughout the Domains for centuries, dispensing his own form of strict justice.
真理の探求者にして知恵の語り手であるこの放浪者は、何世紀にもわたってドメインズを旅し、彼独自の厳しい裁きを下してきたのである。
引用:1997年日めくりカレンダー
上が英語原文。下が私家訳版
ネブカドネザル(Nebuchadnezzar)は、ドミナリア次元ドメインズ地方の人間魔術師である。
いつの時代の人物かは定かではないが、何世紀にもわたってドメインズ地方を放浪した真理の探求者にして知恵の語り手であった。クリーチャー・タイプが「人間・ウィザード」であることから考えて、何らかの魔法的手段を講じて寿命を延ばしていたのであろう。
カードのメカニズムの点から注目すると、ネブカドネザルは「指定したカード名のカードを手札から捨てさせる」系統の元祖である。ただ、試行錯誤を繰り返していた黎明期のカードらしく、現在の目から見れば、コストが重たく制約が課せられた不格好な実装であった。
ネブカドネザルというキャラクターの経緯
MTGのネブカドネザルは、元々は現実世界の伝承のバビロニアの王「ネブカドネザル2世」を基にしてデザインされたカードだった。
公式記事A real legendによると、カードセット「レジェンド」では当初、現実世界の伝承の人物たちのカード化が企画されていた。この企画のカードはセットの制作途中で全て放棄されたのだが、完成した「レジェンド」にはそのうち1人が収録されていた。つまり、初期企画の名残りが、このネブカドネザルというわけである。
このような経緯でカードとなったネブカドネザルは、1997年の日めくりカレンダーの解説(上記参照)で短いながらも設定が公開された。これにより初めて、伝承のネブカドネザル2世とは別個の、MTG世界独自のネブカドネザルというキャラクターに生まれ変わったのである。
ただ残念なことに、ネブカドネザルの設定やストーリー関係への言及は日めくりカレンダーの解説文、それっきりで打ち止めになってしまった。小説やコミックでも一切出番が回ってこなかったのである。レジェンドサイクル1と2のような「レジェンド」をベースにした小説シリーズでも名前すら触れられなかった。
さいごに
今回はカードセット「レジェンド」から未紹介だった伝説のキャラクターの1人、ネブカドネザルを取り上げてみた。ほとんど情報が無いにも等しいキャラクターだが、簡略な設定が持たされているだけも恵まれているかもしれない。
将来的にネブカドネザルに設定が後付けして補完されるとしたら、元ネタのバビロニア王の雰囲気も加味した特徴づけがされるんじゃないかと予想している。例えば、バビロン風の古代都市だとか、古代のメソポタミアを想起するような古代ドミナリア文明だとか、そんな感じに。
ちなみにドミナリアにはアッカト(Akkat)という名の学問の都あるいは総合大学が存在している。アッカトは、MTG最初期の短編集Distant Planesの収録作品2作で名前が出てくるのみで、具体的にどこに位置するかも分からない場所だ。
もし、将来的にネブカドネザルの故郷やら彼が興した国を設定する場合、このアッカトが音の響き的に相応しい唯一の場所じゃないかと個人的に思っている。そう、現実世界で「アッカド(Akkad)」と言えばメソポタミアの王朝であるのだから。
では、今回はここまで。
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