貯蔵スカーブ(Repository Skaab)はカードセット「イニストラード:真紅の契り」収録のクリーチャー・カードである。
このカードはどんな役割のゾンビなのだろうか?フレイバー・テキストの解釈から探ってみた。
追記(2021年11月12日):記事を投稿した後に改めて見直して、フレイバー・テキストの読み解きその3を見落としていたことに気づいたので追加した。
貯蔵スカーブの解説
Created to capture the spark of genius for later use.
天才の閃きを後で使えるようにとっておくために作られた。
引用:貯蔵スカーブ(Repository Skaab)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
貯蔵スカーブ(Repository Skaab)はイニストラード次元の錬金術製のゾンビ、スカーブの1種である。
イラストやフレイバー・テキストを見るに、このスカーブには電撃に似たある種の魔法的エネルギーを体内の装置に貯蔵する機能が持たされている。カードのメカニズムでも、「濫用」能力の条件を満たすことで、墓地からインスタントかソーサリーのカード1枚を回収して、後で使えるように手札に貯蔵するのだ。
貯蔵スカーブのフレイバー・テキスト
Created to capture the spark of genius for later use.
天才の閃きを後で使えるようにとっておくために作られた。
このカードのフレイバー・テキストもまた、いくつかの意味合いが込められた言葉遊びになっている。カードセット「イニストラード:真紅の契り」には、こういう洒落が利いたカードの存在がいつもよりも目立つように感じる。
このスカーブが何の目的で作られたのかという文章で、「to capture the spark of genius」の部分が肝だ。「for later use」は「後で使うために…」。
3つの読み解き方を考えついたので順番に話そう。
読み解きその1
まず1つ目の読み解き方。
「to capture」は「(アイデアや発想を)得る」という文脈で用いることができる動詞。「spark」の方は「才能などの閃き」の意味もある。とするとこの文章は、「天才的な閃きを得るために作られた。しかもその閃きは後々利用する予定のものだ。」との意味合いになる。
以上を踏まえると、天才的な素晴らしいアイデアや発想を導き出して、それを貯蔵しておけるスカーブということになる。まあ「天才的な閃き」を「貯蔵する」と言われると、何か腑に落ちない感じもするが、テキストや画像として記録しておくとすれば別段おかしくはない。
読み解きその2
次にもう1つの読み解き方。
「to capture」は「何かを取っておく・保存する」の意味もある。そして「spark」は本来「火花」や「閃光」のことである。そして「genius」には「守り神」や「霊」と言った意味合いもある。となると、「後々利用する霊的な閃光を保存するために作られた。」となる。
ここでイラストの方を確かめると、スカーブは青白い電撃(?)を胸や背中の装置に受けていることが分かる。この青白い電撃がまさに「霊的な閃光」ではないだろうか?
イニストラード次元では霊魂は「霊(Geist)」というスピリット・クリーチャーとなることがある。ならば、この力を錬金術的に貯蔵して利用することが出来れば……このカードはそのためのスカーブだという解釈が導き出される。
読み解きその3
もう1通り読み解き方が思いつく。1と2の折衷案というか、もう少し単純な読み方になる。
「the spark of genius」を「天才的な閃き」と読んで、「to capture … for later use.」を「後で利用するのに…を保存しておく」と読む。すると、「後で利用するのに天才的な閃きを保存しておく。そのために貯蔵スカーブは作られた。」となる。……つまり、和訳製品版の解釈と同じだ。
「to capture the spark of genius」で「天才的な閃きを保存する」と読むのは何かもやっと変な感じがするが、漫然とテキストを眺めている時って、結構そのまま飲み込んでしまうものだと思う。1
そして、そのようにフレイバー・テキストを読んでからイラストを見ると「電撃の閃光」が描かれていて、「天才的な閃き」って電撃かよ!?とそのギャップに驚きとおかしさを覚えるのだ。
さいごに
さてこれで記事はおしまいだ。
貯蔵スカーブにはいくつかの解釈が成り立つと分かったが、おそらく制作側もどっちが正解とも決めてないんじゃないかと思う。あくまでいろんな含みを持たせた言葉遊びを楽しむカードだ、と私は感じるのだ。ユーザー個々人で好きな解釈を選んでくれ、そう言われている気がする。
ちなみに私は2つ目の解釈が好みだ。
では今回はここまで。