ザルファー史その3:フェメレフ

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ザルファーと周辺地域の歴史をまとめるシリーズの第3回目である。→第1回目第2回目

今回はザルファーの東南部にあるフェメレフ(Femeref)を扱う。フェメレフはザルファー王国から独立した宗教国という歴史的経緯を持っている。

※ ちなみに今回は途中で挿入するには少々長い引用資料があるので、それらは最後にまとめてある(引用1引用2)。

フェメレフの歴史概略

聖なる報復者アズマイラ(Asmira, Holy Avenger)

ミラージュ戦争期のフェメレフの聖女
聖なる報復者アズマイラ(Asmira, Holy Avenger)
データベースGathererより引用

ジャムーラ北西部のフェメレフ(Femeref)はザルファー王国から独立した宗教国である。

フェメレフの起源は記事The Story of Jamuraaで詳細に語られ、記事Character Profilesには補足情報がある。前者は引用1を後者は引用2を参照。

要約すると以下の通りだ。

  1. 宮廷魔導士テフェリーはザルファー王国の複数の王と複数の女王に仕え、最後に魔術師ギルドを創設した。この魔術士ギルド創設が最終的にフェメレフの独立に繋がった。
  2. テフェリーがザルファーを離れて他次元に旅立ってからおよそ30年後、フェメレフは国内の宗教論争が発端でザルファーから分離した属州となった。
  3. フェメレフは山脈に豊かな金鉱脈を発見し、独立国家への道を拓いた。
  4. フェメレフの鉱物資源を目当てにスークアタ帝国がザルファーの北方国境地帯を侵略し併合した。
  5. 山脈からのドワーフ難民をフェメレフは受け入れた。
  6. ザルファーではスークアタ帝国の侵略に対する王の対応に貴族が不満を爆発させ、ザルファーは複数の独立国に分断した。
  7. 数世紀ぶりにテフェリーが帰還し、分裂したザルファーを立て直した。
  8. 数十年後1、テフェリーはザルファーを去り、自身の島で時間魔法の研究を行った。
  9. 何年もの思考錯誤の後2、テフェリーは時間操作した召喚魔法は不安定だと結論し、実験で乱された時間流を正常化しようとしたところで事故が起き、島諸共にフェイズアウトした。

では、それぞれの出来事がいつ起こったのか検証を開始する。

まず前回までに判明した情報。

  1. テフェリーはAR3355年頃にザルファーに帰還し、AR3360年までには内戦を平定し宮廷魔導士となった。
  2. ザルファーを離れたテフェリーは島に籠って時間魔法の研究をし、AR4000年頃に事故で島と共にフェイズアウトした。

一連の出来事はAR3355年頃からAR4000年頃までの期間に納まることが確認できた。この6世紀余りを埋めていこう。



フェメレフはいつ成立したか

フェメレフの始まりは宮廷魔導士テフェリーがザルファーを離れたおよそ30年後であることが確認できた。テフェリーが王国に仕えた期間あるいはザルファーを旅立った時期が割り出せれば、おのずとフェメレフの興りも計算できる。

宮廷魔導士テフェリーの在任期間

テフェリーはAR3355年頃にトレイリアのアカデミーを離れて内戦のザルファーに帰還し、AR3360年までには内戦を平定し宮廷魔導士となっている。ザルファーを離れて他次元に旅立つまでどれほどの期間があったのかは明記されていない。

しかし、テフェリーはザルファーで複数の王と複数の女王の顧問を務めている。何代かのザルファー王族に仕えたことになるので、この期間は数十年から数世紀に及ぶと思われる(最低でも2代の王と女王に仕えればよい。1代目の王と女王、2代目の王と女王で「複数の王と複数の女王」になる)。

サイト記事では情報が不足している。他のソースを当たったところ、この時代を扱う小説Bloodlinesに更なる有益な情報が見つかった。

小説Bloodlinesを探る

小説Bloodlinesの第14章によると、AR3655年以降にはフェメレフが存在していると確認できる。ウルザはファイレクシアと戦うための人材を育種する血統計画を進めており、フェメレフでも計画を実行していたが対象者全員が行方不明になった。作中で明記されていないがファイレクシア人によるラースからの次元転移による襲撃があった思わせる描写がある。第11章においてAR3655年にジャムーラからセラの移民のライアニー(Lyanii)の一派がファイレクシアの攻撃を受けてジャムーラ大陸からベナリアに移住したことが語られていることから、彼らがフェメレフからの逃亡者である可能性がある。作中でフェメレフに関する記述は後半過ぎにもう1度あるが、ファイレクシアの襲撃を受けている地域の1つとして名前が出てくるのみだ(血統計画の実施地としてファイレクシアの襲撃が続き、後にフェメレフの血統がウェザーライト号艦長となるシッセイ(Sisay)を誕生させることになるが、これはまた別の話)。

では、テフェリーについて小説Bloodlinesを調べると、テフェリー本人は登場しないものの少しばかりの言及が見つかる。友人のカーン(Karn)は第4章でザルファーを訪問したがテフェリーには会えず、それどころか誰も消息を知らなかった。カーンはトレイリアからウェザーライト号に乗船して訪問しており、トレイリアの要人としての立場を明かしていることになる。ザルファー王国がトレイリアに宮廷魔導士の居場所を隠匿する理由はなく、その上、誰も所在を把握できていないのも極めて不自然である。本当にテフェリーがザルファーのどこにもいないとなれば、思い当たる理由は1つだ。テフェリーはプレインズウォーカーの力に目覚め、他次元に旅立ってしまったのだ。

では第4章の年代を割り出して、テフェリーがザルファーを離れた時期を探ろう。

小説Bloodlinesの第1-10章はAR3385-3571年に起きた出来事である。第3章には第1章の出来事から少なくとも42年が経過していることが読み取れる。第4章ではカーンが「ここの最近の10年間(Over the last ten years)、トレイリアがカーンにとって牢獄のように感じ始めてきた」との記述があり、第3章の最後の出来事から10年経過したと捉えると意味が通る。したがって、3385+42+10=3427となるので、第4章は3430年頃と推定できた。ちなみに第4章の続きの第6章3では、第1章の出来事から65年と読み取れるが、これは第4章が3430年頃であることに矛盾しない。

そして、小説Bloodlinesからもう1つ。カーンがザルファーに行く以前にジョイラ(Jhoira)がトレイリアを訪れている。カーンの一番の親友であるジョイラは、アカデミーから故郷のシヴに帰った後もまれにトレイリアにやってきている。しかし、直近の来訪時にはカーンは運悪くすれ違いでジョイラに会うことができず、そのせいでふさぎ込んでしまう。「トレイリアがカーンにとって牢獄のように感じ始めてきた」ところなので尚更堪えたのだろう。ザルファーに寄港するウェザーライト号に乗船したのは、友人のテフェリーと(あわよくばジョイラとも)逢いたいがためであった。

もしジョイラがテフェリーの行方不明を知っていたなら、トレイリア来訪時にカーンに(あるいはウルザやバリンに)知らせたはずだ。つまりその時にはテフェリーはまだザルファーに居たと考えられる。そしてジョイラの訪問はこの10年内の出来事と推測できる。

フェメレフが成立した時期

以上をまとめると以下のようになる。

  1. テフェリーはAR3420-3430年頃にプレインズウォーカーになり他次元に旅立った。フェメレフはおよそ30年後にザルファーから分離した。
  2. ウルザの血統計画の実施地の1つになったためにAR37世紀からフェメレフはファイレクシア人による襲撃(ラースからの次元転移攻撃)を受けていた。

本サイトでの年表ではフェメレフはAR3450-3460年頃に成立となった。

テフェリーの帰還

フェメレフの成立後の歴史は具体的にいつどの出来事が発生したのか特定するには情報不足である。だが、プレインズウォーカーのテフェリーがザルファーに帰還した時期は推定できる。テフェリーの島のフェイズアウトから逆算していけばよい。

まず、テフェリーの島のフェイズアウトがAR4000年頃である(正確にはAR4195年のほぼ200年前)。

記事The Story of Jamuraaによると、テフェリーは島での「何年もの思考錯誤の後(after years of trial and error)」にフェイズアウトの事故が起こったとある。「years」だけでは(ほんの数年とも何十年何百年とも解釈できるので)どの程度の期間か分かりかねるが、同記事中では長期間の場合は「数十年(decades)」や「数世紀(centuries)」と表現しているため、ここでは「years」は10年以内と解釈することにする。

そして、同記事によるとテフェリーは島で研究する以前にザルファーに「a few decades」滞在している。「a few decades」なので20-30年程度で40年まではいかない。

各期間を最大限長く見積もって計算すると4195-200-10-40=3945となる。これでテフェリーの帰還時期は3950年頃から4000年頃の間と推定できた。

  1. AR3950~4000年頃、テフェリーがザルファーに帰還して分裂したザルファーを立て直し、数十年滞在した後に、島に移住して時間魔法の研究を数年間行った。
  2. AR4000年頃、テフェリーの島はフェイズアウトした。

まとめてこうなる。



ミラージュ戦争

AR4195-4196年にはミラージュ戦争が起こり、フェメレフも戦場となった。

夜のスピリット(Spirit of the Night)

夜のスピリット(Spirit of the Night)
データベースGathererより引用

記事The Story of Jamuraa記事Character Profiles記事Visions: The Backstoryによると、開戦数か月の内にフェメレフの国土は野生動物とドラゴンに蹂躙され、首脳部である「あまたの声の評議会(Council of Voices)」は夜のスピリット(Spirit of the Night)により虐殺されてしまった。

聖なる報復者アズマイラ(Asmira, Holy Avenger)

ミラージュ戦争期のフェメレフの聖女
聖なる報復者アズマイラ(Asmira, Holy Avenger)
データベースGathererより引用

評議会を失ったフェメレフはアズマイラ(Asmira)を新たな指導者かつシダー(将軍)とした。アズマイラはテフェリーの幻視(ビジョン)を受け取った英雄の1人となり、彼女の犠牲によってマンガラ(Mangara)が解放され、戦争は終結する。

マンガラは戦後のザルファーとフェメレフ両国の平和的関係の再構築に取り組むのだった。ここでミラージュ戦争の物語は終わっている。

ザルファー史その3:フェメレフのまとめ

  1. テフェリーはAR3355年頃にザルファーに帰還し、AR3360年までには内戦を平定し宮廷魔導士となった。
  2. AR3360年、ザルファーはセラの領土次元からの移民を受け入れた。
  3. 宮廷魔導士テフェリーはザルファー王国の複数の王と複数の女王に仕え、最後に魔術師ギルドを創設した。この魔術士ギルド創設が最終的にフェメレフの独立に繋がった。
  4. テフェリーはAR3420-3430年頃にプレインズウォーカーになり他次元に旅立った。およそ30年後、フェメレフは国内の宗教論争が発端でザルファーから分離した属州となった。
  5. AR3420年頃-3950年頃、フェメレフは山脈に豊かな金鉱脈を発見し、独立国家への道を拓いた。フェメレフの鉱物資源を目当てにスークアタ帝国がザルファーの北方国境地帯を侵略し併合した。山脈からのドワーフ難民をフェメレフは受け入れた。ザルファーではスークアタ帝国の侵略に対する王の対応に貴族が不満を爆発させ、ザルファーは複数の独立国に分断した。
  6. AR3655年、ジャムーラ大陸でファイレクシアの襲撃を受けたセラの移民の一派がベナリアに移住した。
  7. ウルザの血統計画の実施地の1つになったためにAR37世紀からフェメレフはファイレクシア人による襲撃(ラースからの次元転移攻撃)を受けていた。
  8. AR3950~4000年頃、テフェリーがザルファーに帰還して分裂したザルファーを立て直し、数十年滞在した後に、島に移住して時間魔法の研究を数年間行った。
  9. AR4000年頃、テフェリーは時間操作した召喚魔法は不安定だと結論し、実験で乱された時間流を正常化しようとしたところで事故が起き、島諸共にフェイズアウトした。
  10. マンガラは外交手段を発揮してザルファー・フェメレフ・スークアタの対立関係を解きほぐし、AR4100年までに「マンガラの調和」と呼ばれる平和を築いた。
  11. AR4195-4196年、ミラージュ戦争。
  12. 開戦数か月の内にフェメレフの国土は野生動物とドラゴンに蹂躙され、首脳部である「あまたの声の評議会」は夜のスピリットにより虐殺された。アズマイラが新たな指導者かつシダー(将軍)となった。
  13. テフェリーはAR4195年にドミナリアにフェイズインして、英雄たちに幻視(ビジョン)を送った。
  14. マンガラはアズマイラの犠牲によって解放され、ケアヴェクを倒して戦争は終結する。マンガラは戦後のザルファーとフェメレフ両国の平和的関係の再構築に取り組んだ。
  15. AR4205年、ザルファーをフェイズアウトさせる(フェメレフとスークアタはフェイズアウトしていない)。

おまけ:資料からの引用

2000年以降にはウィザーズ社公式サイトで、カードセット「ミラージュ」と「ビジョンズ」の登場人物とストーリーを詳しく解説する記事3本が公開された(Character ProfilesThe Story of JamuraaVisions: The Backstory)。

引用1

Centuries ago, when the land was ruled entirely by the kingdom of Zhalfir, an internal religious dispute led the church to secede. Though the incident was resolved peacefully, the church created its own province called Femeref–“Judgment,” in their tongue. In time, Femeref grew apart from Zhalfir, aided by the discovery of rich gold deposits that helped establish it as an independent state.

Eventually, tales of mineral wealth within Femeref’s deep mountains spread to the Suq’Ata empire. The empire annexed the lands bordering Zhalfir and began to mine the mountains, pushing the dwarven residents into Femeref. The leaders of Femeref happily accepted the new refugees, as their skills would increase Femeref’s gold yield substantially. The Zhalfirin nobility were angered by the king’s unwillingness to respond to the Suq’Ata invasion of the north reaches, and this bickering splintered Zhalfir into several independent states. Only the intervention of the returning planeswalker Teferi restored Zhalfir to a state of calm. Teferi was an ancient court mage of Zhalfir and his name still commanded respect centuries after his departure for other planes. Sadly, Teferi was no diplomat, and after a few decades he resolved to leave the kingdom to its machinations whilst he took up residence on a small secluded island to begin a series of magical experiments.

数世紀前、この地方が全てザルファー王国に支配されていた時代、国内の宗教論争によって教会は離脱を選んだ。この事件は平和的解決をみたものの、教会は独自の属州フェメレフを作り上げた。フェメレフは現地語で「Judgment(裁判・審判・判断)」を意味する。時が経ち、フェメレフはザルファーと疎遠になっていった。豊かな金鉱脈の発見が独立した国家への道を拓いたのだ。

やがて、フェメレフの山脈奥地にある豊富な鉱物資源の噂がスークアタ帝国にまで伝わることとなった。帝国はザルファーに隣接する土地を併合し、山脈の採鉱に着手したことで、居住者のドワーフがフェメレフに押し出されてきた。ドワーフの技術があれば金の産出量は増大すると見込まれたため、フェメレフの指導陣はこの新たな難民を喜んで受け入れた。ザルファーでは、スークアタの北方侵略に対処を渋る王に貴族が不満を爆発させ、ザルファーは複数の独立国に分断された。プレインズウォーカーのテフェリーが帰還し介入したことで、ようやくザルファーは平穏を取り戻した。テフェリーは古代のザルファーの宮廷魔導士であり、他の次元に旅立って数世紀が経った後でさえ、その名は尊敬を集めていた。ただ残念なことに、テフェリーは外交官ではなく、数十年の後、王国の策謀は王国に任せて去ると決め、小さな離島に移り住み数々の魔法実験を始めたのだった。
引用:記事The Story of Jamuraaより一部抜粋
上が英語原文。下が私家訳

引用2

He was once the counsel to the ancient kings and queens of Zhalfir. His final act before his departure was the creation of the Guilds of Magic, which ultimately resulted in the secession of the Femeref some thirty years later. Teferi remained oblivious to this and continued his research until the day he and all the inhabitants of his island vanished from Dominaria. Returning many decades later to find his beloved land at war with two upstart wizards, he has chosen to refrain from confrontation until necessary.
彼はかつて古代のザルファーの王たち、女王たちの顧問であった。彼が旅立つ前の最後の行動は魔術ギルドの創設であり、それが最終的にはおよそ30年後のフェメレフの分離独立に繋がった。テフェリーはこのことに気付かぬまま、彼と彼の島の住人全てがドミナリアから消失するまで研究を続けたのだった。何十年も経って帰還すると、彼の愛する国は2人の新進気鋭の魔術師との戦争下にあり、彼は必要になるまで衝突を避けることを選んだ。
引用:記事Character Profilesよりテフェリーの解説を一部抜粋
上が英語原文。下が私家訳

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