今月末にカードセット「基本セット2021」の発売が迫っている。
前回に引き続き、マーク・ローズウォーターのヒントからカードセット「基本セット2021」に再録されるカードを予想したい(出典)。
今回取り上げるヒントがこれ。
フレイバー・テキストで初登場した人気キャラクター(A popular character first introduced in flavor text.)
人気キャラクターが再録されるというのだが、そのキャラクターが初登場したのはフレイバー・テキストだという。該当するカードって何があるのだろうか?再録カードを予想してみた。
フレイバー・テキスト初出の人気キャラクター
フレイバー・テキスト初出の人気キャラクターにはどのカードが当てはまるのか考えてみる。
まず、特定個人のカード化であるから、当然カード・タイプは「伝説のクリーチャー」あるいは「伝説のプレインズウォーカー」ということになる。該当するカードは膨大だ。
MTGの伝説のクリーチャー・カードというと1000種類近くもある。そこにプレインズウォーカー・カード200種類以上が加わるとなると、とてもカード・リストを1枚ずつチェックして探してなんていられない。
網羅的に当たるのは止めて記憶を頼りに「フレイバー・テキスト初出」のカードを上げていってみることにする。当然チェック抜けは出てしまうだろうが、再録カード当てなんてのは発表前のお祭りなのでまああまり気にしないで行こう。
ちなみに、「フレイバー・テキスト」と同時に「カード名」の両方で初登場したキャラクターはあらかじめ除外することにした。例えば、パシャリク・モンス(Pashalik Mons)とかコロンドールのマンガラ(Mangara of Corondor)とか屍術師リム=ドゥール(Lim-Dûl the Necromancer)、そしてドラゴン・エンジン、レイモス(Ramos, Dragon Engine)などだ。
二の足踏みのノリン
では、MTG史上最古のキャラクターの1人からスタートだ。
二の足踏みのノリン(Norin the Wary)はMTG初の基本セットの翡翠像(Jade Statue)が初出のキャラクターだ。カードセット「時のらせん」でカード化された。ノリンはドミナリア次元の愚かな臆病者だ。
正直言うと、ノリンの再録はあり得ない。このカードは臆病者設定を再現するためにとにかく役に立たないようにデザインされていて、ネタと割り切って、なんとか工夫して遊ぼうとしてもぶっちゃけあまり面白くないのだ。カードセット「時のらせん」期に挑戦した人はもうやりつくしているだろうし、貴重なレア枠をノリンが埋めたら不満の声が上がるだろう。
…それに、そもそもノリンは「人気キャラクター」ではなかった。選考外。
フブルスプ
2人目もノリンと同じ臆病者設定のキャラクターだ。迷い子、フブルスプ(Fblthp, the Lost)を候補に挙げてみる。
ノリンから一気に20年も時代が下って、カードセット「ギルド門侵犯」のフレイバー・テキストが初出のキャラクターだ。カード化は昨年のカードセット「灯争大戦」である。
フブルスプはとにかく人気が高く、多くの人に愛されているキャラクターだ。カードの方もノリンと違ってメリット能力があるのでそれなりに使われていた。
ただし、カードセット「灯争大戦」の発売は去年でまだスタンダードでは現役である(今年秋にローテーション落ち)。フブルスプがいくら愛されキャラとは言え近い時期に再録するのは、返って飽きられる要因になるかもしれない。私はフブルスプの再録は薄いと思う。
虐殺少女
虐殺少女(Massacre Girl)も人気があるキャラクターだ。カードセット「ラヴニカへの回帰」のフレイバー・テキストで登場しカードセット「灯争大戦」で待望のカードになった。
キャラクターとしての人気も、カードとしての能力も再録するには申し分ないと思われる。だが、フブルスプと同じで時期が近すぎるという理由で再録の可能性は高くないだろう。
ギサとゲラルフ
次の候補は2人1組だ。ギサとゲラルフ(Gisa and Geralf)はカードセット「イニストラード」のフレイバー・テキスト初出の姉弟である。人気が出たために、カードセット「統率者2014」で2人は個別にカード化された。1その後に、カードセット「異界月」では2人1組でカードになった。
この姉弟は2人1組で扱うべきキャラクターなので個別カードのレア2枠になるか、神話レア1枠を埋めることになるだろう。2枠は取り過ぎなので、可能性があるなら神話レア版か。だが、スタンダード環境にかつて存在したカードの再録に貴重な神話レア枠をあてがうのは、ちょっとやりそうにないと思われる。したがって、この姉弟も除外。
ウギン
プレインズウォーカーのウギン(Ugin)もフレイバー・テキストが初登場だ。カードセット「未来予知」で登場しカード化は2回されている。現在は牢獄領土次元に隔離されている状態だ。つい最近ストーリーから退場したばかりなので、もし将来的に表舞台に復活するにしても今は時期が早すぎるだろう。
ちなみに灯争大戦の後日談の小説War of the Spark: Forsakenで、極めてまれで特殊な状況が発生したとはいえ、ウギンはドミナリアの登場人物とテレパシー的に会話できてしまった。私は個人的に、短時間かつ限定的であってもすぐに再登場してしまったこと自体がやり過ぎだったと思っている。
サッフィー・エリクスドッター
古参プレイヤーにとってフレイバー・テキストの有名な人物といったら、サッフィー・エリクスドッター(Saffi Eriksdotter)を上げる人は少なくないはずだ。カードセット「アイスエイジ」のルアゴイフ(Lhurgoyf)でたった1回しか登場しなかったのに強烈な印象を残したキャラクターだ。カードセット「時のらせん」でカード化されている。
サッフィーは古くからのユーザー向けなら大いにありだが、ここ十年内の新規層への訴求力は低い気がする。
ヤヤ・バラード
ドミナリア次元の特務魔道士ヤヤ・バラード(Jaya Ballard, Task Mage)もカードセット「アイスエイジ」のフレイバー・テキストが初出で人気の高いキャラクターだ。カードセット「時のらせん」で初カード化し、その後もプレインズウォーカーとしてカード化されている。
ヤヤ・バラードの場合は現行ストーリーで活躍中のキャラクターという点がネックである。もし収録されるならクリーチャーの再録ではなく、新規のプレインズウォーカー・カードとしてではないだろうか。過去の姿だけが再録されても今のユーザーは当惑するだけだ。
再録予想:フブルスプ
本記事では「フレイバー・テキストで初登場した人気キャラクター」の再録枠を考えてきた。以上のように、私としてはめぼしいキャラクターを拾い上げてみたのが、これなら間違いない!という人物に思い至らなかった。
カードリストを眺めていて、再録候補に上げたいと思ったキャラクターはどれも「人気・知名度」の点で選考外として弾かざるを得なかった。残念だ。本心を言えば、個人的には偽善者、メアシル(Mairsil, the Pretender)とか練達の育種師、エンドレク・サール(Endrek Sahr, Master Breeder)なんかを候補に入れたいのだが、世間的にはマイナー・キャラクターだろうからなあ…。
でもまあ取りあえず1人選んでおこう。
最近のセットに収録されてはいるが、ある程度幅広い層に受けるという点で考えて、私は迷い子、フブルスプ(Fblthp, the Lost)がカードセット「基本セット2021」に再録されるキャラクターとして、1票を投じておく。
では今回はこれでおしまい。
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本格的なカードプレビューが始まったらリスト化を予定。