レジェンドサイクル1小説三部作(小説Johan、小説Jedit、小説Hazezon)の時系列を整理する。
レジェンドサイクル1は、本サイトでは度々言及するストーリーアークなので、後々の利便性を考慮して1つの記事にまとめておく。
発端
ビジュアルガイドで「ジェディット・オジャネンの伝説」がAR3334年と記載された。ここまで明確な年数に切り込んだ公式記述は初である。
これをベースとして、レジェンドサイクル1小説三部作のより詳細な時系列を特定していきたい。
本記事の前提
現実世界の地球には、季節の巡りがある。これは地軸が傾いていることで起きる。
また、現実世界の地球では、北半球と南半球で季節が逆転する。一方が夏なら、他方は冬だ。これも地軸の傾きが原因で起こる。
それを踏まえてMTGの話。
ドミナリア惑星には明確に季節の巡りがある。
ドミナリア惑星は、北半球と南半球で季節が逆になるのかは分かっていないし、地軸が傾いているかも不明だ。少なくともそのような描写は見当たらなかった。
MTG世界は魔法のある世界なので、ドミナリア次元では現実世界とは異なる理屈が働いている可能性は否定できない。しかし、現実世界の地球と同じとするなら、ドミナリア惑星の南半球は北半球とは季節が逆転するはずである。
本記事では話を単純化するために、現実世界に合わせて判断することに定めた。ドミナリア惑星も地軸の傾きが原因で季節の巡りがあり、北半球と南半球の季節が逆になると仮定する。
次に、ドミナリアの1年は12か月に分かれている。どの月がどの季節に対応しているか、公的な設定は見つからないものの、概ね北米基準で書かれていると私には感じられる。こちらも仮に北米と同じく季節を振り分けて考えることにする。北半球では冬12-2月、春3-5月、夏6-8月、秋9-11月となり、南半球は逆にして夏12-2月、秋3-5月、冬6-8月、春9-11月である。
- 仮定1:ドミナリア惑星は地球と同じく、季節の巡りがあり、北と南の半球で季節が逆になる。
- 仮定2:南半球の季節は夏12-2月、秋3-5月、冬6-8月、春9-11月とする。
レジェンドサイクル1の時系列検証
では、レジェンドサイクル1小説三部作(小説Johan、小説Jedit、小説Hazezon)の時系列を1冊ずつ順に調べていこう。
小説Johan
フレイアリーズの世界呪文から400年と読める記述が確認できる。世界呪文すなわち氷河期の終焉はAR2934年なので、2934+400=3334で、AR3334年となる。ビジュアルガイドの年代とぴったり合うので、小説の記述をおおよそ400年でなく、400年ちょうどと素直に解釈して計算したのは明らかである。この小説はAR3334年と定まる。
小説Johanは冬に始まる。序盤はブライスでの戦いで、それから12日(かもう少し)かけてパルミラに場面が移動する。仮に冒頭からパルミラまでの時間経過は2週間程度としておく。
マーフォークが春半ばを過ぎたとの発言をしている。その少し前の場面で、アディラ・ストロングハートが3か月前にパルミラ付近にマーフォークなんて居なかったとの発言もある。これは、ロバラン傭兵団が海洋冒険をした第7-8章の直前、パルミラの出発時点が3か月前だったことを意味する。
つまり、春半ば過ぎのこの時点は10月下旬辺りとすると、パルミラから出発は7月下旬となる。さらに、パルミラの出発場面の2週間前が小説の始まりなので、物語のスタートはAR3334年7月上旬と置くことができる。
小説の終わりは、春半ば過ぎとの記述が出た場面からそう長くはかからずに訪れる。
小説Jedit
小説Jeditは、前作小説Johan直後から始まり、秋に終わる物語だ。特に難しく考える必要はない。
この第2作目から本格的に主人公がジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)になる。
小説Hazezon
小説Hazezonは冬から始まる。前作からの時間経過が分からないが、前作終了時とは場面が大きく転換し、主人公一行にハゼゾン・タマル(Hazezon Tamar)が合流している。
小説中盤で、ハゼゾンがブライスに帰還し、9か月以上この街を離れていたとの記述が差し込まれる。つまり、小説冒頭の少し前にブライスから旅立ち、戻ってくるまでが9か月以上だということだ。
ここから南部同盟の飛翔艦隊建造が始まり、同時にロバラン傭兵団の飛翔艦に必須のパワーストーンを求めての南洋冒険が挿入される。この期間は不明瞭だが少なくとも数か月は経過しないと不自然である(これで小説冒頭からおよそ1年は経過している計算)。
更に終盤に差し掛かったところで、第1作目の小説Johan冒頭でイェーガー・オジャネンとハゼゾンが出会ったのが2年前と2回言及される。「虎人を初めて知ったのが2年前」および「3回冬を越した」との旨の記述(小説Johan冒頭の冬から数えて3回で、2年前になるので、計算は合う)。したがって、小説終盤はAR3336年が確定する。
最終章で主要登場人物の後日談が触れられるが数十年後程度の精度でしか計れず、AR34世紀中の出来事とする他はない。
以上を統合すると、小説Hazezonの始まりはAR3335年の冬(6-8月)となり、AR3336年9月以降のどこかの時点で物語は幕を下ろす。
後日談はAR34世紀中の出来事。
その他の時系列
小説三部作本編の時系列が決められたので、その他の過去の出来事を確認する。
ハゼゾン・タマルの年齢
小説Hazezonの初め頃に「barely sixty」とあり、これは60歳になったばかりと解釈できる。この時点でAR3335年の冬だから、3335-60=3275で、ハゼゾンはAR3275年頃の誕生となる。
アディラ・ストロングハートの年齢
作中では何度か、アディラはハゼゾンより数十歳1若いと言及されている。作中でのハゼゾンは59-60歳ほどなので、アディラは40歳未満となる。
物語開始時点で、アディラはロバラン傭兵団の2代目頭領として10年間務めてきており、荒くれどもを力で従えてきた。更にその前から海賊であったが、まだ若かったと描写されている。
以上を鑑みて、アディラは物語現在で30代半ばくらいではないかと思われる。
アディラとハゼゾンの結婚期間
小説Johanにおいて、ハゼゾンはイェーガー・オジャネンに過去を語っている。
ロバラン傭兵団は、10年前にコロンドールの豪族2の邸宅を略奪した後、ハンディング・ギョルナーセンは引退し、アディラが2代目頭目となって再び海原に旅立った。しかし、ハゼゾンはブライスに留まり略奪品を競売にかけて富を築くと、友人の勧めに応じてブライスの統治者の地位に就いた。14か月後にアディラは帰還すると、ハゼゾンの代わり様に憤慨し2人の結婚生活は破局を迎えた。アディラはパルミラの街に移り、そこの統治者となった。
また、アディラとハゼゾンの結婚期間は4年間だとも語っていた。
AR3321年、アディラとハゼゾンが結婚。(アディラが20代初め?ハゼゾンは46歳頃)
AR3324年、コロンドールの豪族邸宅を略奪。ハンディング・ギョルナーセンが引退し、アディラが2代目頭目になった。ハゼゾンはブライスの統治者となった。
AR3325年、アディラとハゼゾンの破局。アディラはパルミラの統治者となり、そこがロバラン傭兵団の本拠地となった。(アディラが20代半ば?ハゼゾンは50歳頃)
無壱弐の預言
レジェンドサイクル1を通しての謎3、無壱弐の預言(むいちにのよげん:The Prophecy of None, One, and Two)の起源は遥か昔に遡れる。
作中の記述を拾い上げれば、「氷河期よりも昔」に宣託されたもので、ジャムーラにはアボリジニ風の原住民が住み「森がまだ密林で、砂漠が海だった頃」だったという。……曖昧に過ぎる。
ジャムーラの森は現在でも大概が密林のイメージである。レジェンドサイクル1に限ると、スカーウッドは密林、東ジャムーラも密林と書かれており、唯一密林でないのは松の生えるアルボリア(Arboria)である。ムウォンヴーリーなどジャムーラの他の地域を見ても密林ばかりなので、「森がまだ密林」だった場所はアルボリアに他ならない。
「砂漠が海だった」場所は見当がつかない。
ただ、猫人の創世神話ではテレント・アメスが「チーターと砂漠の遊牧民」から猫人を創り出したとある。テレント・アメスはスカーウッドの奥地、ペンドレル峡谷に本拠を置いてそこを猫人の国にしていた。スカーウッドに面するスクールヴィア砂漠は創世神話の時代から砂漠であり、そこの遊牧民が猫人の片親にされたというのがそれなりに筋が通るように思える。「砂漠が海だった」場所の候補地からスクールヴィアは除外しておきたい。
東ジャムーラのティヴァン砂漠は、非常に長い時を経て、ラバイア次元から運ばれた砂が堆積してできた広大な砂漠地帯である。ここなら「砂漠が海だった」場所に該当する土地がありそうだ。第一の候補地に挙げておく。
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