新カードセット「エルドレインの森」が間近に迫って来たので、新ファイレクシア侵略戦争を振り返って、エルドレイン次元のおさらいをしよう。全4回シリーズの第3回。
侵略戦争の第3段階：忌まわしき眠り
忌まわしき眠り（Wicked Slumber）（一部拡大図）
AR4562年、新ファイレクシアの侵略軍がエルドレイン次元にも侵攻を開始した。王国（The Realm）の5つの宮廷の騎士団は侵略軍に敗れ、1つまた1つと宮廷は陥落してしまった。次なる戦場は僻境（The Wilds）であった。フェイたちが罠やゲリラ戦術で侵略者に立ち向かった。
戦争がエルドレインを荒廃させる中、フェイの王タリオン（Talion）はファイレクシアンを撃退する大魔法を決行した。タリオンは三魔女姉妹（アガサ（Agatha）、ヒルダ（Hylda）、エリエット（Eriette））の協力を取りつけ、4人の力を合わせて「忌まわしき眠り（Wicked Slumber）」の魔法をエルドレイン中に解き放ったのである。
エッジウォールの街の近くの谷に裂け目が開き、眠りをもたらす紫色の靄が広がっていった。このただ中に敵を誘導する使命は、当初ドワーフのトーブラン（Torbran）に託されていた。しかし、忌まわしき眠りが始まったその土壇場において、彼の同伴者となったフェアリーのランクル（Rankle）がその身を犠牲にしてファイレクシア軍を谷の底へと誘き寄せ、一網打尽にしたのであった。
こうしてファイレクシア侵略軍は、目覚めることのない魔法の眠りに取り巻かれ無力化されたのである。侵略戦争は終わった。
忌まわしき眠り
忌まわしき眠り（Wicked Slumber）データベースGathererより引用
忌まわしき眠り（Wicked Slumber）はカードセット「機械兵団の進軍」に収録されたインスタント・カードである。
エルドレイン次元において、新ファイレクシアの侵攻を止める決定打となった大魔法である。タリオンと三魔女姉妹の4人の力が揃ってはじめて実現可能となった。
イラストには、赤紫色の靄に取り巻かれたファイレクシアン2人がおり、強制的な眠りに落ちるところである。画面の左上、奥には武装したフェアリー3人のシルエットも見える。
忌まわしき眠りの関係者
この節では、「忌まわしき眠り」の魔法に携わったキャラクターを紹介する。エルドレイン次元を救った者たちだ。
魔法をかけたフェイの王タリオン（Talion）、魔女姉妹のアガサ（Agatha）、ヒルダ（Hylda）、エリエット（Eriette）の4人。
それ加えて、戦場で貢献したランクル（Rankle）とトーブラン（Torbran）の2人組だ。
慈愛の王、タリオン
慈愛の王、タリオン（Talion, the Kindly Lord）公式カードギャラリーより引用
慈愛の王、タリオン（Talion, the Kindly Lord）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のクリーチャー・カードである。
タリオンは僻境のハイフェイを統べる王である。タリオンはノンバイナリーのようで、三人称は「he」でも「she」でもなく、単数の「they」が用いられている。
タリオンは侵略を退けるためには三魔女姉妹の協力が必要だと悟り、3人に王国を救う機会を提供しようと持ち掛け、その上で更に、3人にそれぞれ見返りとして魔法の宝を賜物として授けたのであった。
また、タリオンは長い間不在であったとされ、ファイレクシアの侵略に際して再び姿を現したという。どこで何をしていたのか現時点では不明である。あるいは、タリオンはプレインズウォーカーであるためエルドレインを離れていて、故郷の危機に帰還した（戦後にプレインズウォーカーの灯を失った）、という可能性だってなくはない。
穢れの大釜、アガサ
穢れの大釜、アガサ（Agatha of the Vile Cauldron）公式カードギャラリーより引用
穢れの大釜、アガサ（Agatha of the Vile Cauldron）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のクリーチャー・カードである。アガサは三魔女姉妹の1人だ。
「エルドレインの森」では、黒緑アーキタイプは「ヘンゼルとグレーテル」をモチーフにデザインされている。そして、アガサは黒緑の「ヘンゼルとグレーテル」の魔女に相当するキャラクターだと紹介されていた。連載ストーリーでの描写も「ヘンゼルとグレーテル」の魔女らしいものであった。
ところが、アガサのカードが公開されると、その色は「黒緑」ではなく「赤緑」だったのである。予告やストーリーと、カードの色が合わないのだ。
これは単なる想像だが、当初予定では黒緑だったものを、制作過程のどこか非常に遅い時期に赤緑に調整し直してしまい、広報やストーリー部分でフォローできない齟齬が生まれたのではないだろうか？本当のところは分からないものの、制作現場の混乱は伺える。
アガサの魂の大釜
アガサの魂の大釜（Agatha’s Soul Cauldron）公式カードギャラリーより引用
アガサの魂の大釜（Agatha’s Soul Cauldron）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のアーティファクト・カードである。
魂の大釜は、アガサが協力の見返りとしてタリオンより賜った魔法の宝である。
氷冠のヒルダ
氷冠のヒルダ（Hylda of the Icy Crown）公式カードギャラリーより引用
氷冠のヒルダ（Hylda of the Icy Crown）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のクリーチャー・カードである。ヒルダは三魔女姉妹の1人だ。
ヒルダは他の姉妹と違って、ただ孤独を望む性格である。
「エルドレインの森」では、白青アーキタイプはアンデルセンの「雪の女王」をモチーフにデザインされている。ヒルダは明らかにエルドレイン版の「雪の女王」その人だ。
ヒルダの冬の王冠
With each day she wore the crown, her icy kingdom spread, and her heart grew ever colder.
彼女が王冠を被ると、氷の王国は日に日に広がり、彼女の心はそれ以上に冷酷さが増していった。
引用：ヒルダの冬の王冠（Hylda’s Crown of Winter）のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ヒルダの冬の王冠（Hylda’s Crown of Winter）公式カードギャラリーより引用
ヒルダの冬の王冠（Hylda’s Crown of Winter）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のアーティファクト・カードである。
冬の王冠は、ヒルダが協力の見返りとしてタリオンより賜った魔法の宝である。
魔法の林檎のエリエット
“Hush now, I need your beauty sleep.”
「ねんねんころりよ、おころりよ。よく寝てもらわないとね。」
引用：魔法の林檎のエリエット（Eriette of the Charmed Apple）のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
魔法の林檎のエリエット（Eriette of the Charmed Apple）公式カードギャラリーより引用
魔法の林檎のエリエット（Eriette of the Charmed Apple）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のクリーチャー・カードである。エリエットは三魔女姉妹の1人だ。
ファイレクシア侵略軍を撃退するにあたって、タリオンはエリエットの魔法の呪いの力を最も有望視していた。それを基に「忌まわしき眠り」の魔法が構築されたに違いあるまい。
「エルドレインの森」では、白黒アーキタイプは「白雪姫」をモチーフにデザインされている。エリエットは、林檎を持っていることからも明らかなように、毒林檎を食べさせる継母相当のキャラクターである。
エリエットの誘う林檎
エリエットの誘う林檎（Eriette’s Tempting Apple）公式カードギャラリーより引用
エリエットの誘う林檎（Eriette’s Tempting Apple）は、カードセット「エルドレインの森」で収録された伝説のアーティファクト・カードである。
この林檎は、エリエットが協力の見返りとしてタリオンより賜った魔法の宝である。
ランクルとトーブラン
ランクルとトーブラン（Rankle and Torbran）データベースGathererより引用
ランクルとトーブラン（Rankle and Torbran）はカードセット「機械兵団の進軍」に収録された伝説のクリーチャー・カードである。
タリオンと三魔女姉妹によって「忌まわしき眠り」の魔法がかけられた。けれど、そのままでファイレクシア侵略軍が眠りの靄の中へと入ってくれるはずもない。
そこで、ドワーフのトーブランが使命を受けた。ファイレクシアンを忌まわしき眠りの発生する谷へと誘導する使命である。トーブランは旅の途中でランクルを同道者として迎え入れたが、ランクルの気まぐれな行動のおかげであわや使命の失敗となりかけた。結果として、ランクルの自己犠牲（？）によって、ファイレクシア侵略軍を眠らせ無力化することに成功したのだ。詳細はランクルとトーブランの個別記事参照。
ランクルとトーブランの短編中では、誰がトーブランに忌まわしき眠りについて教え、誘導任務を命じたのか、言及されていなかった。しかし、タリオンと魔女の事実関係が明らかになった今では、トーブランに任務を託すような人物はおそらくタリオンの他にはいない。願いの指輪もタリオンからの賜物と考えられる。
ランクルとトーブランの詳細はこちらの記事を参照。
さいごに
忌まわしき眠り（Wicked Slumber）（一部拡大図）
エルドレイン次元の侵略戦争を整理するシリーズその3を語り終えた。
これでエルドレイン次元の侵略戦争は終結へと向かい、新ファイレクシア次元において侵略の首脳陣である法務官が全滅したことで、多元宇宙を巻き込んだ戦乱は終戦を迎えたのであった。次回記事の侵略戦争第4段階は「戦後」を取り上げることになる。
では、今回はここまで。
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