瓦礫読み(Rubble Reading)はカードセット「ラヴニカの献身」収録のソーサリー・カード。
そんなタイミングでありますが、今回はラヴニカの献身のカードから1枚を取り上げてみました。フレイバー・テキストの和訳が少し奇妙じゃないか?という視点の、まあ、いつもの記事です。
瓦礫読みの解説
Gruul oracles see omens in all forms of destruction: the entrails of a maaka’s prey, the flight of vultures over a battlefield, the scattering of toppled stone.
グルールの神託者はあらゆる形の破壊から予兆を読み取る。マーカの獲物のはらわた、戦場を飛ぶ禿鷹の小競り合い、倒壊した石の散らばり具合。
引用:瓦礫読み(Rubble Reading)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
瓦礫読み(Rubble Reading)は、ラヴニカ次元グルール族の神託者について言及している。神託者は「あらゆる形の破壊から予兆を読み取る」という。
カードのメカニズムでは、土地を破壊して占術を実行する機能があり、見事に破壊から予兆を読み取る流れができている。カード名の「瓦礫(Rubble)」は破壊されたものの残骸であると共に、グルールの縄張りである「瓦礫帯(Rubblebelt)」の意味も含ませているように思える。
瓦礫読みのフレイバー・テキスト
次はフレイバー・テキストに注目したい。
グルールの神託者が予兆を読み取る具体例が3つ挙げられている。
- マーカの獲物のはらわた(the entrails of a maaka’s prey)
- 戦場を飛ぶ禿鷹の小競り合い(the flight of vultures over a battlefield)
- 倒壊した石の散らばり具合(the scattering of toppled stone)
予兆その1とその3
その1とその3は問題ないので「マーカ」についてだけ軽く説明(そこを除けば読んでそのままの意味なので説明するところがない)。
マーカ(Maaka)とはラヴニカの瓦礫帯に生息するネコ科の大型獣。体長15フィート(約4.5m)で6つの目を持つ剣士虎である(Guildmasters’ Guide to Ravnicaより)。
予兆その2
戦場を飛ぶ禿鷹の小競り合い(the flight of vultures over a battlefield)
さて予兆のその2について。
和訳製品版では「戦場を飛ぶ禿鷹の小競り合い」から予兆を読み取ると書かれている。だが、「小競り合い」の部分になにか違和感を覚えてしまう。その理由は原文と照らし合わせて判明した。
「禿鷹の小競り合い」は原文では「the flight of vultures」である。この「flight of (鳥)」という表現は、「鳥の群れ」を表すよく見かけるものだ。つまり、原文では「戦場を飛ぶ禿鷹の群れ」から予兆を読み取るとしか書いておらず、「小競り合い」なんて起こっていなかった。
どうして「群れ」を「小競り合い」と翻訳したのだろうか?あえて味付け訳をしたにしても、単に間違ったにしても、何らかの理由があるはずだ。こうして首を捻っていたところ、英語版のカードを遠目で眺めてて、やっと今日理由に気付くことができた。
おそらく「flight」を「fight(戦い)」に読み間違ってしまったのだ。小文字の「l」を見落としてしまえば「the fight of vultures」となって「禿鷹の戦い=小競り合い」と誤読してもおかしくない。しかも飛んでいるのは「over a battlefield(戦場の空)」なので、「戦場」に対して「戦い」は意味的につながりが強いために、禿鷹が「fight(戦い)」をしていても違和感がない。とまあ、こんな所ではないだろうか?
グルールの神託者はあらゆる形の破壊から予兆を読み取る。マーカの獲物のはらわた、戦場を飛ぶ禿鷹の群れ、倒壊した石の散らばり具合。
再録時にはこう修正してほしいものだ。
余談:瓦礫読み
「エルドレインの王権」発売直前に、今さらながら、このカードが気になってしまった理由が実はありまして…。それが「Magic: The Gathering Arena(マジック:ザ・ギャザリング アリーナ)」でプレイした「ラヴニカの献身」のドラフト戦でした(ドラフト好きな私にとってはオンラインで好きな時間で遊べるのがとてもありがたいです)。
しかし、この瓦礫読みというカードはドラフトでピックされないで、よく最後の方まで回ってくるのですよね…。デッキに入れないけれど頻繁に目にするカードになっていたわけで、じゃあどういうフレイバー・テキストなのかな、と気になって調べてみたら…和訳が変じゃないか?、と気付いてしまったのでした。