ドミナリア地理:南西ジャムーラの地図作成その4

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南西ジャムーラ地域の地図作成の第4回目。(→第1回目記事第2回目記事第3回目記事

前回に引き続き小説Johan付属地図をベースに地理情報を書き込んでいく。現在の状態はこれ。

この地図はAR34-35世紀頃のジャムーラ大陸である。

今回の方針

レジェンドサイクル1三部作などを情報源に南西部地域を埋めてきたが、すでに記載できる地名は無くなってしまった。でも折角だからこの機会に、南西部以外の地域にも地名を書き入れたいと思う。



ジャムーラ北西部

ジャムーラ北西部はカードセット「ミラージュ」と「ビジョンズ」の主要舞台となって登場した地域である。

AR4560年現在のジャムーラ北西部
現在ドミナリア地図より抜粋引用

ザルファーの虚空(Zhalfirin Void):この海域はAR4205年まで陸地であり、ザルファー(Zhalfir)という国が存在していた。したがって、レジェンドサイクル1三部作の時代(AR34-35世紀頃)には当然この地域は陸地である。
フェメレフ(Femeref):ザルファーから離脱した宗教国家。
スークアタ(Suq’Ata):フェメレフの豊かな山岳資源の情報に目を付けたスークアタ帝国(Suq’Ata Empire)1が、ザルファーの北東部を侵略して興した交易州。
クーケムッサ海(Kukemssa Sea):ジャムーラ北西地域の北側、炎熱諸島(Burning Isles)2との間の海。
イーカンドゥー山脈(Ekundu Mountains):フェメレフとスークアタを南と北に分ける山脈地帯。ミラージュ当時のカレンダー地図に位置が記載されていた。

ザルファー・フェメレフ・スークアタの時代検証

レジェンドサイクル1三部作の時代(AR34-35世紀頃)に、ザルファー・フェメレフ・スークアタは存在していたか?

ザルファーは間違いなく存在していた。ザルファーの起源はドミナリア伝説時代中である(AR-5000年~0年)。

フェメレフとスークアタは時代的に怪しいところだが十分に可能性はある。

ミラージュ・ブロック当時の各種公式記事(The Story of JamuraaCharacter Profiles)によると、ザルファーからのフェメレフの離脱そしてスークアタの侵略を受けて、ザルファーでは貴族から王家への批判が高まり争いが起こっていたが、プレインズウォーカーのテフェリーが帰還して事態を収拾したとされる。テフェリーがザルファーに5つの魔法ギルドを構築したのがフェメレフ離脱から30年くらい後である。

ではテフェリーのザルファー帰還はいつの出来事か?

小説Time Streamsによると、テフェリーがトレイリアのアカデミーを離れて争いの起こっている故郷ザルファーに帰るのは、おおよそAR3355年かその前後と計算できる。そして、掌編遺産の傷(Scars of the Legacy)によると、AR3360年にはテフェリーは王室魔導師に就任して国政に関わっている。

以上の出来事が発生した時期はレジェンドサイクル1三部作の時代(AR34-35世紀頃)と被っている、あるいは、近い時代の出来事であると考えると辻褄があう。したがって、フェメレフとスークアタが地図上に記載してあってもおかしくはないだろう。



北ジャムーラ亜大陸

北ジャムーラ亜大陸はカードセット「プロフェシー」の舞台となった。

AR4560年現在の北ジャムーラ
現在ドミナリア地図より抜粋引用

広大な大地であり、カードセットの舞台として取り上げられはしたものの、実は各地域の詳細な設定や描写はそれほど多くはない。プロフェシーの物語を描く小説Prophecyと公式サイトの掌編Barrin’s Journal、特にカードセットとの関わりのない短編集The Dragons of Magic収録の作品The Blood of a Dragonでしか扱われていない地域である(ちなみに小説Prophecyを読んでも地図上の地名はほぼ出てこない)。

AR4205年当時の北ジャムーラ
掌編Barrin’s Journalより引用

AR4205年当時のジャムーラ大陸
インベイジョン・ブロック期の特設サイトより引用

キパム都市国家群(Kipamu City-States):この都市国家群の連盟はカードセット「プロフェシー」の時にはキパム連盟(Kipamu League)と呼称され、当時の地図には「連盟領土(League Territory)」と記されていた。「Kipamu City-States」はカードセット「ドミナリア」期に設定された新名称である。
ナカイヤ(Nakaya):沼沢地帯。ナカイヤとヴィンタラ短編The Blood of a Dragonに描写がある。
ヴィンタラ(Vintara)森林地帯。
ゼラパ(Zerapa)山脈地帯。このゼラパだけはまだどの作品にも登場していない地域のはずである。
北ジャムーラ湾(North Jamuraan Bight):北海岸の湾曲地域。AR4205年にケルドの侵略軍が上陸した。
工廠都市(Arsenal City):北ジャムーラ湾地域にあるキパム連盟の都市。

北ジャムーラの時代考証

レジェンドサイクル1三部作の時代(AR34-35世紀頃)に、北ジャムーラ亜大陸はどのような状況であったのだろう。キパム都市国家群は存在したのだろうか?

AR4205年が時代設定の小説Prophecyによると、キパム連盟は伝説的なロード・キパムの名前から命名されたもので、ロード・キパムは何世紀も昔(ただし数千年前とまでは昔ではない)の人物である。つまり、4205年時点で200年以上2000年未満の昔と考えられる。かなり曖昧で特定の手がかりにほとんどならない。

見方を変えよう。ミラージュ・ブロック期の記事The Story of Jamuraaの記述を読むと、古のザルファーの領土はより広い範囲に及んでいた。フェメレフ分離を経てスークアタの侵略が起こると、ザルファー貴族と王族との諍いが勃発する(上述のジャムーラ北西部の検証も参照)。その諍いの結果、ザルファーはいくつかの独立国家へと分裂してしまった。

ここでなぜ西ジャムーラ亜大陸の国家ザルファーの歴史を紐解いたのかというと、ザルファーの首都もまたキパム(Kipamu)と呼ばれているからだ。この首都もロード・キパムに由来するなら、ザルファーとキパム連盟は元々同一のザルファー王国であったと考えられないだろうか。つまりスークアタの侵略後に分裂した独立国家群がキパム都市国家群の始まりだったとする説である。

この仮説が正しいとするなら、レジェンドサイクル1三部作の時代(AR34-35世紀頃)の地図に記載しても間違いではないことになる。



東ジャムーラ亜大陸

東ジャムーラ亜大陸が特にカードセットの舞台となったことはない。この亜大陸はカードセット「ドミナリア」期に、ほとんど初めて地理と設定が開示された地域である。過去のカードや記事、作品から拾い上げた設定と地名でザックリと埋められている。詳細不明の地域がまだ多い。

AR4560年現在の東ジャムーラ
現在ドミナリア地図より抜粋引用

ティヴァン砂漠(Tivan Desert)大砂漠地帯。AR4500年まではラバイア次元に繋がる大竜巻状の次元門が複数存在していた。

ティヴァン砂漠は元々は小説Ashes of the Sunに短い1文だけ名称と説明が出ただけの土地である。その名称に加えて、Duelist Onlineの記事The Assassins of Suq’Ataのラバイア次元とドミナリア次元を繋ぐ大竜巻の次元門の設定が合わさって、現在のこの大砂漠地帯ができ上っている。

東ジャムーラの未記載情報

カードセット「ドミナリア」時点の公式ポッドキャストで明かされた地名もある。

AR4560年現在のイシャン湾以東
現在ドミナリア地図より抜粋引用

ポッドキャストでは、東西ジャムーラ亜大陸を繋ぐ地峡瑪瑙橋(Onyx Bridge)その南の海岸線イシャン湾(Bight of Ishan)の解説をする流れで、イシャン湾の東海岸線の地名が開示された。

カラカス(Karakas)

エターナル・マスターズ版の
データベースGathererより引用

カラカス(Karakas)イシャン湾東海岸を南に下ると突き出た半島がカラカスである。カードセット「レジェンド」に初収録した場所であり、ポッドキャストで初めて位置が確定した。→カラカスの個別解説記事

ジラ・エリアン(Xira Arien)

伝説のユーミディアン、ジラ・エリアン(Xira Arien)
データベースGathererより引用

東海岸に沿って細長く伸びる密林は、蜂に似た特徴を備えた昆虫系人型種族ユーミディアン(Eumidian)の生息地である。ユーミディアンはレジェンドサイクル2三部作で登場した種族で、作中ではジラ・エリアン(Xira Arien)が敵役の1人として活躍した。このユーミディアンの故郷の名称は言及がない。

ユーミディアンの密林の北側で、ティヴァン砂漠と密林を隔てる山地帯がマイアー山脈(Myar Mountains)である。これは短編集The Monsters of Magic収録の作品Who Is Queen?に登場した地名。

ネコルーの女王、ワシトラ(Wasitora, Nekoru Queen)

ネコルーの女王、ワシトラ(Wasitora, Nekoru Queen)
データベースGathererより引用

そして、マイアー山脈の南東端にある密林はネコルー(Nekoru)の交配地3である。ここも短編Who Is Queen?に出てきた地域である。猫とドラゴンの両方の特徴を併せ持つネコルーをここで見ることができる。ユーミディアンの生息地と同様に、ネコルーの生息地にもまだ固有の名称がない。マイアー山脈とネコルーの交配地との位置関係は短編と同じである。

ネコルーはレジェンドサイクル2三部作が初出であるが、その作中でユーミディアンのジラ・エリアンがマダラ地方に来る以前にネコルーを見たことがあったことから、おそらく両者の生息地が近い位置に設定されたのであろう。



ジャムーラ地図最終版

以上の情報をすべて追加した最終版の地図がこちら。

AR34-35世紀頃のジャムーラ地図 最終版
小説Johan付属地図を改造

現時点で書き込めるだけの地名を詰め込んでみた。なかなか見ごたえのある出来栄えになった。→次回

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  2. 既存の公式訳は「炎熱の島々」だが本サイトでは「炎熱諸島」と表記する
  3. ポッドキャストで「mating place」と紹介していた