戦闘バエの群れ(Battlefly Swarm)はカードセット「団結のドミナリア」収録のクリーチャー・カードである。
今回は3世紀半昔の侵略戦争にも表れていた戦闘バエについて取り上げる。この羽虫型ファイレクシアンにはスクイー(Squee)は何かトラウマを抱いているようだが……?
追記(2022年9月1日):大型の戦闘バエが描かれたカード抑止(Restrain)と、小説Invasionでの戦闘バエについて追記した。
戦闘バエの群れの解説
Having encountered the bitter Phyrexian battleflies before, Squee knew not to bother eating them–or at least to stop after the fifth.
ファイレクシアの苦い戦闘バエを口にしたことのあるスクイーは、なるべく食べないか、少なくとも五匹目以降は手を出さないと心得ている。
引用:戦闘バエの群れ(Battlefly Swarm)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
戦闘バエの群れ(Battlefly Swarm)は、AR4562年の新ファイレクシアによる侵略で3世紀半ぶりに登場した羽虫型のファイレクシアンである。
戦闘バエという種類のファイレクシアンは、AR4205年の侵略戦争時点でカード化されていたものだ。当時のカードを次の節で紹介しよう。
ファイレクシアの戦闘バエ
After encountering them, Squee finally lost his appetite for bugs.
そのハエに出会ってから、スクイーは虫には食欲が湧かなくなってしまった。
引用:ファイレクシアの戦闘バエ(Phyrexian Battleflies)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ファイレクシアの戦闘バエ(Phyrexian Battleflies)はカードセット「インベイジョン」収録のクリーチャー・カードである。
AR4205年のファイレクシア侵略戦争でドミナリア次元を襲ったファイレクシアンの1種だ。
イラストを見ると、鉄葉教団(Order of the Steel Leaf)のラノワールのエルフが戦闘バエの群れに取り巻かれて攻撃されている。
抑止
“Hanna would give up her own life before she’d abandon the Weatherlight.”
–Sisay
ハナは、ウェザーライトを捨てるぐらいなら、その前に自分の命を捨てるでしょう。
–シッセイ
引用:抑止(Restrain)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
抑止(Restrain)はカードセット「インベイジョン」収録のインスタント・カードである。
ウェザーライト号の甲板で、乗組員のハナ(Hanna)が槍でファイレクシアンを抑え込んでいる。人間の胴体よりも1回り大きいものの、このファイレクシアンの外見は、同時代の戦闘バエと完全な同型である。戦闘バエの特別な個体なのかもしれない。
これが戦闘バエの1種ならば、おそらくこの時に通常の戦闘バエの群れもウェザーライト号に襲来して、スクイーと遭遇することになったのであろう。
スクイーとファイレクシアの戦闘バエ
以上のように、新旧2つの時代のファイレクシアで戦闘バエは登場していた。そして、両方の戦闘バエはフレイバー・テキストで緩く繋がりを見せている。ただ同種というだけでなく、「とある人物」とのミニストーリーがあるのだ。
3世紀半を越えて時代を繋いでいる「とある人物」とは、ドミナリアで最も長命なゴブリン、スクイー(Squee)その人である。
ファイレクシアの戦闘バエのフレイバー・テキスト
After encountering them, Squee finally lost his appetite for bugs.
そのハエに出会ってから、スクイーは虫には食欲が湧かなくなってしまった。
引用:ファイレクシアの戦闘バエ(Phyrexian Battleflies)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
AR4205年、スクイーはファイレクシア侵略戦争でこの戦闘バエに遭遇したことがあり、それ以来、虫に食欲が湧かなくなってしまったという。
ゴブリンの食事
ここで少し脱線する。
ファイレクシアの戦闘バエのフレイバー・テキストでは、「虫」と訳されている原文は「bugs」である。つまり、昆虫だけでなく蜘蛛やムカデやその他の小さい生き物を含んだ、そういう意味合いの「虫」である。
The goblin diet consisted mostly of slugs, grubs, and snails.
ゴブリンの食事は大部分がナメクジや地虫やカタツムリだ。
引用:上は短編Death and Salvation、下は公式和訳版の短編「死と救済」
そしてスクイーが主人公の短編では上記のような文章が出てくる。スクイーが王となる集落では、ゴブリンの主食は「ナメクジや地虫やカタツムリ」つまり「虫」だというのだ。
スクイーは戦闘バエに遭遇して以来、主食である「虫」に対して食欲が湧かなくなってしまった。これは一大事ではあったろう。いったいどんな経験をして、あるいはどんな光景を目撃して、食欲減退してしまったのだろうか?
その答えは最初の遭遇から3世紀半後に判明した。
戦闘バエの群れのフレイバー・テキスト
Having encountered the bitter Phyrexian battleflies before, Squee knew not to bother eating them–or at least to stop after the fifth.
ファイレクシアの苦い戦闘バエを口にしたことのあるスクイーは、なるべく食べないか、少なくとも五匹目以降は手を出さないと心得ている。
引用:戦闘バエの群れ(Battlefly Swarm)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
AR4562年、またもやファイレクシアの侵略が起こり、スクイーは戦闘バエに遭遇した。
スクイーが3世紀半前に遭遇した経験によると、なんと戦闘バエを食べたことがあり、味が苦いので、わざわざ食べるものじゃないと身をもって知った、というのである。
戦闘バエの苦い味わい……これこそが虫に食欲が湧かなくなった原因だったのだ。
とはいえ、そんな味でもスクイーは戦闘バエを5匹目までなら食べられはするようだ。いやそれなら深刻ぶるほど食欲減退してないんじゃない!?これがゴブリンの悪食というべきか、逞しさというべきか……。
ちなみに、和訳製品版のフレイバー・テキストでは「五匹目以降は手を出さない」となっているが、これでは「5匹目まで手を出して大丈夫」なのか「4匹目まではOKで、5匹目以上は駄目」なのか、あやふやな表現だ。原文は「at least to stop after the fifth」なので、私は「5匹目までは大丈夫」と解釈した。
小説Invasionの戦闘バエ
AR4205年のファイレクシア侵略戦争を描いた小説Invasionでは、2つの戦場において戦闘バエが投入されていると確認できる。2つの戦場とはヤヴィマヤの戦いと、コイロスの洞窟の戦いだ。
戦闘バエは個体としては貧弱で簡単に退けられるような脅威である。しかし、大群を成して雹の嵐のように叩きつけてくると話が違う。鋭い翼で鎧や皮膚や肉を骨から削ぎ取ったり、頭蓋骨に穴を開けることもあった。
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