エルドレインの王権:シンデレラ

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カードセット「エルドレインの王権」「シンデレラ」モチーフのカードをまとめた。

小説「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」



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シンデレラの解説

カードセット「エルドレインの王権」は騎士とおとぎ話をイメージした世界だ。その中には、おとぎ話をモチーフとしたカードが収録されている。前回までに「ジャックと豆の木」「ヘンゼルとグレーテル」「三匹の子豚」を紹介している。今回は「シンデレラ」について調べてまとめてみた。

「シンデレラ」モチーフについては、マーク・ローズウォーターのカードプレビュー記事Eldraine or Shineで詳しく解説されている。こうして公式がきちんとネタ元を明かして説明してくれているので非常に助かった。この記事の公式和訳が何があってもエルドレイン。こちらも参考になった1

おとぎ話「シンデレラ」はシャルル・ペローの作品やグリム童話などバージョン違いがたくさん存在しており、劇や映画、アニメ、漫画などやアレンジ作品も含めると膨大な量にのぼる。



シンデレラをモチーフとするカード群

カードセット「エルドレインの王権」では、複数のおとぎ話に共通する要素を持つテーマの場合、1つのカードにまとめて製品化している。例えば、お姫様や王子様、意地悪な継母、フェアリー・ゴッドマザーなどの登場人物や、むかしむかしやめでたしめでたしといった決まり文句などだ。

シンデレラは他のおとぎ話と共通している要素は非常に多い。そのため、以下では特にシンデレラ的な要素の濃いものを取り上げてみた。

意地悪な後見人(Wicked Guardian)

“Some are born to greatness. You were born to scrub greatness’s floors.”
「生まれながらに偉大な者もいるけど、お前は生まれながらに、偉大な者の床を磨くことになっているんだよ。」
引用:意地悪な後見人(Wicked Guardian)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

意地悪な後見人(Wicked Guardian)

データベースGathererより引用

おとぎ話では、継母や継父は継子をいじめる役回りでしばしば登場する。意地悪な後見人(Wicked Guardian)は「意地悪な継母」のMTG版カードである。継子を召使い同然に扱って、床磨きの雑用を強制している。シンデレラの継母要素が色濃く出ている。

イラストを見ると、部屋に飾られた紋章はゴブレット、つまり、この家はロークスワイン貴族である。エルドレインのシンデレラはロークスワインの空飛ぶお城舞踏会に行くのだろうか?ちなみに、ロークスワインには舞踏会で勝ち残ることを誇りとする女性騎士カードが存在する(乱闘の華(Belle of the Brawl)を参照)。

フェアリーの導母(Faerie Guidemother)

No one is so lost that a faerie can’t find them.
どれほど道に迷ってもフェアリーに見つけられないはずはない。
引用:フェアリーの導母(Faerie Guidemother)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

フェアリーの導母(Faerie Guidemother)

データベースGathererより引用

フェアリーの導母(Faerie Guidemother)はMTG版のフェアリー・ゴッドマザー(Faerie Godmother:妖精の代母)である。フェアリー・ゴッドマザーはおとぎ話に出てくる定番のキャラクターであり、魔法を使い、助言を与え、導き手となり、しばしば親代わりの役目も果たす。

おとぎ話「シンデレラ」では、お城の舞踏会に行くための準備を魔法で揃えてくれる。有名なカボチャの馬車がその一部だ(エルドレインの王権でカード化されている)。この魔法は夜零時には解けて元に戻ってしまう。

このカードの出来事の方は「フェイの贈り物(Gift of the Fae)」で、空を飛ぶ力を与えてくれる。これはシンデレラとは別のお姫様「ラプンツェル」を助けられるようにするためと思われる。公式記事Eldraine Check, Part 3によれば、グリム童話「ラプンツェル」をモチーフにした塔への閉じ込め(Trapped in the Tower)は飛行によって脱出することができるようにデザインしたという。2元ネタのおとぎ話とは違う展開ではあるが、フェアリー・ゴッドマザーがお姫様を助ける力を持つことは当然であろうか。

魔法の馬車(Enchanted Carriage)

魔法の馬車(Enchanted Carriage)

データベースGathererより引用

魔法の馬車(Enchanted Carriage)はシンデレラのカボチャの馬車のMTG版である。馬車を引く白馬に変身するハツカネズミも一緒に登場する。このカードのためだけにわざわざクリーチャー・タイプ「ハツカネズミ」が新設されたほどのこだわりようだ。

エルドレインの王権のハツカネズミ・トークン

エルドレインの王権の
ハツカネズミ・トークン
公式記事より引用

カボチャ変化(Turn to Pumpkin)

カボチャ変化(Turn to Pumpkin)

データベースGathererより引用

カボチャ変化(Turn to Pumpkin)はパーマネントを手札に戻して、食物トークンを得る可能性もあるカードである。魔法が解けるとカボチャに戻ってしまうのだ。

自然への回帰(Return to Nature)

“Long after the magic wore off, the mice still dreamed of glorious galloping.”
–Tales of the Fae
「魔法が解けたしばらく後も、ハツカネズミはあの壮大な疾走を思い返していた。」
–フェイの物語
引用:自然への回帰(Return to Nature)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

自然への回帰(Return to Nature)

データベースGathererより引用

自然への回帰(Return to Nature)は真夜中の零時に魔法が解けたカボチャの馬車を描いている。全ては元通りに、自然な姿に戻された。

水晶の靴(Crystal Slipper)

“After the death of her mother, Cassia found that things that appear fragile can be very strong indeed.”
–Beyond the Great Henge
「母親が死んでから、カシアは一見壊れやすいものでも立派に強くなれるということを知った。」
–グレートヘンジを超えて
引用:水晶の靴(Crystal Slipper)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

水晶の靴(Crystal Slipper)

データベースGathererより引用

水晶の靴(Crystal Slipper)はMTG版のガラスの靴である。舞踏会から走り去ったシンデレラはガラスの靴を残して行った。

フレイバー・テキストによると、エルドレイン版シンデレラはカシア(Cassia)という女性のようだ。カードの繋がりに注目してみると、意地悪な後見人(Wicked Guardian)のイラストの継子がカシアなのかもしれない。

元ネタのシンデレラのガラスの靴は単なる忘れ物であって特に特殊な魔法機能はないために、カード開発で苦労したようだ。時々脱げてしまう機能などを試した結果、ごく単純なパワー強化と速攻付与に落ち着いた。(出典

僻森の追跡者(Wildwood Tracker)

“This one was wearing shoes made of glass. She’ll be no ordinary prey.”
「ガラスでできた靴を履いていた。普通の獲物じゃない。」
引用:僻森の追跡者(Wildwood Tracker)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

僻森の追跡者(Wildwood Tracker)

データベースGathererより引用

僻森の追跡者(Wildwood Tracker)はエルドレイン次元の僻境に住むエルフの追跡者である。

おとぎ話ではガラスの靴を手掛かりにシンデレラの捜索が開始される。シンデレラでは王子あるいは家来が探しに出るが、MTG版ではエルフの追跡者となっている。マーク・ローズウォーターは記事で「狼を連れた追跡者(a tracker with a Wolf)」と解説をしているがそれは間違いであり、このカードに描かれているのは「狼」でなく「狐」である。僻境のエルフは大型の狐を連れているのだ。

これまでの一連の流れを振り返る。ロークスワイン貴族家の継子がお城の舞踏会に行き、その消息を僻境のエルフが探索している。王国の宮廷と僻境は対立する設定にあるので、これは少し変な感じがする。しかし、合理的な解釈ができると私は考える。

ロークスワインと僻境のエルフは、はるか昔に分かたれたとはいえ、その源流は同じである。小説「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」でもロークスワインから僻境の同族に使節を送るなど(頻繁でなくともある程度の)交流があることが分かっている。とするなら、エルドレイン版シンデレラのストーリーでは、ロークスワイン陣営からの要請を受けて僻境のエルフがカシアの探索に乗り出した、と解釈が成立できることになる。これで物語に一本の筋道が通った(かな?)。

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  1. 「Royal Ball(宮廷舞踏会)」を「王宮の鐘(BallをBellと間違ってる)」と誤訳するなど、首を傾げる翻訳がいつも通りいくつかありはしたけれど
  2. エルドレインの王権のカードで、対象の制限なく任意のクリーチャーに飛行を与えられるカードはフェアリーの導母しかいない。