氷河期(Ice Age)は、狭義の意味では、ドミナリアの時代区分でAR450年頃~AR2934年の時代。
現在の定義にある「広い意味での氷河期」は「暗黒時代」も含んでいるので注意。
氷河期の概略
ドミナリアの氷河期はAR450年頃にドミナリアの大部分が氷に覆われた時点から始まる。AR600年頃には「12世界のシャード」が形成され、ドミナリアと近隣11次元が多元宇宙のその他から隔離される。氷河期の終焉はAR2934年のフレイアリーズの世界呪文によって訪れた。
次元規模の寒冷化で氷河が進出し、地形が変化し、大陸同士が氷河で地続きになったりもした。北極の北方大陸1からは氷河を渡って、北欧風の名前を持つ人々や北方大陸の原住生物(ルアゴイフやイエティ、アロサウルスなど)が移住してきた。次元中で生存に必死になっている中で、赤道付近のザルファーでは植物が繁茂していた。
氷河期のザルファーの記述は出典は「The Art of Magic: The Gathering – Dominaria」だが、その記述の元となったであろうソースはファンの間で定説化していた非公式設定と考えられる。調査したところ、(またもや)2000年頃の熱心なファンによる個人サイト「The Legends of Magic」に行きついた。そこで「ザルファーはドミナリアにおける5色のマナの先駆者であり、(ドミナリア)惑星の他地域と異なり、アンティキティー戦争期、暗黒時代、氷河期、洪水時代の崩壊を免れていた」との旨が掲示されたのが、遡れる限りの最初である。ファンの非公式設定が表現を緩和して公式で採用された例の1つとなるだろう。
いくつもの文明が滅んだが、一方で数々の国や組織の勃興期でもある。ケルドやセラ教会の原型はこの時期に形作られたものだ。
12世界のシャード
AR600年頃「12世界のシャード(The Shard of Twelve Worlds)」が形成された。「12世界のシャード」はドミナリアとその近隣11次元を、その他の多元宇宙から切り離してしまった状態で、シャード内外への移動は禁止されてしまう。プレインズウォーカーはシャード内に侵入することも、そこから脱出することも不可能であった。
12世界のシャードに封じられてしまったプレインズウォーカーたちは、最後には協働してシャードを破壊する虚月の頂上会議を開催した。会議でのクリスティナの発想からヒントを得たフレイアリーズは、世界呪文を行使してシャードを元の状態へと回復し、ドミナリア氷河期を終わらせることに成功した。
小説Planeswalkerにおいて、ウルザはシャードに封じられた世界が12よりも遥かに多いという旨の分析を行っている。これはシャード外から観察したウルザの分析が情報不足で単に間違っていた、と考えられる。あるいは、次元と言うものは惑星1つきりに限らず1つの次元内には宇宙そのものが内包されている場合もあることから、ウルザが計測したのは次元の数ではなく惑星や文明圏の1つ1つを世界として数えていた、とも考えられる。当時のウルザの私見はともかく、現在の公式設定ではシャードは12の次元で確定している。
シャードの多元宇宙的な影響
大修復前のドミナリアは「多元宇宙の中心・ネクサス2」であり、最も多くの次元と繋がりを持っていた。
次元間の移動とは、入り組んだ複雑な迷路を進むようなもので、プレインズウォーカーはその中から自分が知っている経路を選んで利用しているに過ぎない。多元宇宙のネクサスが存在した当時には、ドミナリアを経由して移動するのが最も選択肢・利便性・確実性の面で優れていた。
シャードがドミナリアを多元宇宙から隔離したことで、ドミナリア氷河期のおよそ2300年間、多元宇宙のネクサスが失われていたことになる。これは多元宇宙の視点でも大異変であった。
氷河期のドミナリア各地方
氷河期のテリシア
ラト=ナム島では「見えざる者」と自称する魔術師の共同体が「影の都」から「見えざる者の学び舎」へと名称を変更した。永遠の大魔導師ジョダーが長となって学び舎の最期まで統治する。見えざる者たちはラト=ナムとテリシア本土を氷河の壁で隔離し、幻影で領域に接近するものに対処した。
氷河を渡ってサーペイディアからの移住者がコイロス付近に氷河王国ストーガードを築いていた。ストーガードの建国はいつ頃かは不明だが、AR25世紀頃に王国は崩壊した。崩壊前にオリエル・キイェルドスらに率いられてストーガードを離れた者たちがキイェルドーの建国者となった。ストーガードの周辺には後にキイェルドーの都市ソルデヴと発掘場が作られている。
コミック情報によると、氷河期最後のキイェルドー王ダリアンの王子時代が「ストーガード王国の崩壊から500年近くが経過」となっている。ダリアン王子時代と世界呪文まではそれほど期間が開いていないと思われる。コミック2巻でリム=ドゥールが氷の牢に閉じ込められた際、レシュラックは「虚月の頂上会議開催まで今から1年か…5年かかるだろう」と発言している。頂上会議がAR2934年なので、コミック2巻はAR2929年~AR2933年に発生した出来事と考えられる。したがって、1巻は単純計算で500年前としてAR2429年~AR2433年となるが、500年近くという表現を加味して、ストーガード王国の崩壊はおおよそAR25世紀中の出来事と考えられる。
テリシア北東のバルデュヴィア大草原には蛮族のバルデュヴィア人の諸部族が支配していた。バルデュヴィアはキイェルドーと対立し、両国間ではしばしば武力衝突が発生していた。バルデュヴィア大草原の北部フラーグ山脈には暗黒時代からゴブリンが勢力を持っていた。バルデュヴィアには人間だけでなくオークの部族も含まれている。3
氷河期の末期には、テリシア北部にある暗黒時代の魔導士議事会廃墟は屍術師リム=ドゥールの居城トレッサーホーン城塞となった。リム=ドゥールがメアシルの遺骸と指輪を発見して屍術師となるのはマートン・ストロームガルドがキイェルドーの将軍であった時代であり、それはAR2934年時点で数十年前4の出来事である。20年よりは前で1世紀は過ぎていないと考えて、AR2834年~AR2914年の間のいずれかの時点からリム=ドゥールは活動を開始していることになる。
氷河期のアルマーズ
テリシア南西アルマーズ地方は東部地域とは独立したやや複雑な歴史を辿る。氷河期のアルマーズは暗黒時代から引き続き「彷徨いの時」あるいは「アーグの盗賊団時代」に分類される時代で始まる。
AR53年~AR56年頃に首都スミファが消失した後から氷河期の終わりまでは「彷徨いの時(The Wandering)」と呼ばれる時代である。
それと同時に、
工匠戦争終結後AR64年からは「アーグの盗賊団時代(Time of the Erg Raiders)」と呼ばれる。飢餓に錯乱した諸部族や略奪団が失われた指導者を求めて砂丘を放浪し、都市へと襲撃する時代でもある。
アルマーズ王国は首都スミファを失い、正統な旧王族の血統が途絶えたまま過酷な氷河期へと突入する。アルマーズ全土が氷河に包まれた頃5、アルマーズ境界地域の山に氷の種族リジダの氷河王国が興り、アルマーズのほとんどを支配下に収める。氷河期の間は氷の魔法を操るリジダの支配が継続するが、AR2934年に「雪解けの時(The Thaw)」が始まると氷河王国は山の周辺を除いて支配力を失ってしまう。
氷河王国の支配下ではあったものの、アルマーズ王国の人々は国と伝統を存続させていた。アルマーズの影の支配者が荒鷲ポロスであった。旧王家正統後継者で元歌魔導士のポロスは他の王族諸共に首都スミファを砂嵐で粛清してから、人あらざる者として君臨していた。アルマーズの民はポロスの存在を知らなかったがいにしえの邪悪なジンとして密かに語り伝えていた。AR11世紀頃、スミファの時の神カイルス・ニンを信仰するニン派がカルト化した荒鷲の暗殺団・秘密結社となり、荒鷲にとって邪魔者を狩り出し排除する役目を負った。新たな王族を求めていたアルマーズの民に対して、荒鷲は自分の傀儡となる一族を新王族として据えて代理統治を始め、AR13世紀かAR14世紀頃に旧スミファの西方に新たなスミファが建設される。新王族が後のファシニ族である。
荒鷲の傀儡となるファシニ族の先祖が新王族として代理統治を行いAR13世紀かAR14世紀に新スミファが建設された。
アルマーズにはネフィア族もいる。ネフィア族の起源は、旧都スミファ崩壊時にネフィア断崖の洞窟に避難した難民である。難民の中には荒鷲ポロスの粛清を生き残った息子の1人がおり、奴隷階級だった妻との間に子を残したことで、旧王家の血統が密かにネフィア族には受け継がれている。難民の末裔ネフィア族は平和な牧羊の民として国を成していたが、新スミファ建設に労働力を必要とした新王族に征服されて、スミファの奴隷階級へと落とされてしまう。
氷河期の北方大陸
北極の北方大陸は氷河の進出によってテリシア大陸と繋がったことで、北欧風の名前を持つ人々や寒冷を好む居住生物が南下して移住した。北欧風の名称や単語が広範囲に一般的に用いられてることから、氷河期のテリシア文明に多大な影響を与えていることは明らかである。
北方大陸の生息生物であるルアゴイフや恐竜はテリシアだけでなく、AR46世紀のオタリア大陸でも存在が確認されており、氷河期のテリシアと同様に氷河を渡ってきた可能性がある。→関連記事おまけ:ルアゴイフと生息域
また、オタリア大陸タミンガジン地方や北東ジャムーラ亜大陸に住むガラン・エルフ(Garan Elf)はアンバー(Umber)かあるいはより北の地域(すなわち北方大陸)を起源とする種族と言われている。ボリアルのドルイド(Boreal Druid)は、カードセット「コールドスナップ」収録のテリシア北西部6ボリアルに居住していたエルフだが、身体的特徴(特に目)にガラン・エルフとの類似点がある。両者は氷河期での北方大陸からの移住者かもしれない。→関連記事北ジャムーラ亜大陸のエルフ
氷河期のドメインズ
シオールタン帝国は氷河期中に成立した。氷河期7のいくつかの商業船団の組織がシオールタンの起源である。シオールタン帝国は中央エローナを勢力下に治め、ドミナリア近代の初期まで権勢を振るった。シオールタン帝国初期の偉人がトバイアス・アンドリオンである。トバイアスは香辛料諸島の海賊を討伐した。
ラノワールのエルフは氷河期に森に侵入して破壊行為を行う略奪者に厳しく対処するようになった。AR25世紀以降(フレイアリーズのプレインズウォーカーの覚醒後)のいずれかの時点でフレイアリーズがラノワール・エルフに助力し、ラノワールの鉄葉教団が創設される。
クラダクに率いられたパルマからの移民がケルドを建国する。
氷河期のドメインズ(ミノタウルス)
スタハーン島のミノタウルスは元々地上生活者であったが、氷河期到来時に山脈地下に迷宮上の居住地を作って移り住んだ。氷河期が終わり1000年以上経った近代になってもなお地下生活を継承している。スタハーン島のミノタウルスは少なくとも暗黒時代には存在していることになり、より古い歴史を有する可能性がある。
ハールーン・ミノタウルスの起源は、氷河に侵食された北の故郷からエローナ大陸のハールーン山脈に移住したミノタウルスである。これは1997年ドメインズ地図付きカレンダーの解説文で語られた設定である。
スタハーン島のミノタウルス(スタハーン族もミルティーン族も)は、ハールーン族を追放者・異端者とみなしている。4本指のスタハーン系、5本指のハールーン系と身体的な違いや、文化や精神性の違いも差別意識の原因であった可能性がある。スタハーン族はスタハーン島の北部山脈に住んでおり、世界地図を見るとAR4560年現在でも雪と氷の寒冷地であることが見て取れる。このスタハーン山脈とハールーン山脈の緯度を比較すると、スタハーンの方が明らかに北に位置している。
ハールーンとスタハーンの以上の情報を確認した上で、あくまで仮説であるが、ハールーン族の故郷とはスタハーンであったのではないだろうか?世界的寒冷化でスタハーンのミノタウルスは地下生活を開始するが、被差別層のハールーン族の祖先は口減らしで追放されエローナ大陸の山脈に移住した、というのは筋が通っているように思える。
氷河期のジャムーラ
赤道付近であるザルファーでは植物が繁茂するほどで氷河期の影響はなかったと考えられる(同緯度のジャムーラや他の地域についての言及はない)。
少なくとも西ジャムーラ亜大陸の南部は氷河期には氷に覆われていた。
AR27世紀頃、ジャムーラ南西部のスカーウッドの森では、最初のオジャネンが創造神テレント・アメス(Terrent Amese)に反逆した。オジャネンは猫人族を率いてスカーウッドの森を出て、森の西に横たわるスクールヴィア砂漠のオアシスへと移住した。このオジャネンの名を受け継いだ一族はその7世紀後に英雄ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)を輩出することになる。→ペンドレル峡谷の礼拝堂(The Tabernacle at Pendrell Vale)の記事も参照。
氷河期のシヴ
シヴは他大陸から遠方に隔絶しており、ゴーゴスの酒杯の影響とも氷河期とも無縁であった。
遠方であっても次元規模の寒冷化の影響が到達していなかったとは考えにくいが、赤マナが次元一豊かであり、火山と炎と熱の土地であるため、シヴは気温の低下や海や土地の氷結を防いでいたと考えられる。
掌編「追憶の時(A Time for Remembrance)」によると、氷河期にシヴの山脈地域で行き詰ったヴィーアシーノの共同体がマナ掘削施設に居住した。掌編執筆時には氷河期の影響がシヴにも及んでいた想定であったように読めるが、「The Art of Magic: The Gathering – Dominaria」によってシヴに氷河期は訪れなかったことに設定されたので、何らかの未知の理由で行き詰ってしまって移住したのだろう。
氷河期のストーリーはどこで読める?
コミックIce Age
アルマダ・コミックのアイスエイジ・シリーズ全4巻はいくつかの重要な物語が描かれている。「ストーガード王国の崩壊と、プレインズウォーカー・フレイアリーズの覚醒」は1巻で読める。第2巻から最終4巻は「氷河期末期のキイェルドー、バルデュヴィア、リム=ドゥール、プレインズウォーカーたちの頂上会談、世界呪文による氷河期の終焉」が連続した物語として綴られている。
後に正史として出版された小説The Eternal Iceとの大小の齟齬はあるものの、小説によって設定が改訂されたと考えれば、おおむねコミックの出来事は小説と並行して発生していたと考えて問題はなく読めてしまう。ただし、リム=ドゥールの扱いだけは除く(連続性の大問題なので後に別記事で言及したい)。
For Want of Ink
The Secrets of Magic収録の短編For Want of Inkは後世の大魔術師バリンの若いころの物語。19歳のキイェルドー人の書記バリナロがいかにして抹消呪文「破滅の響き(The Blare of Doom)」を習得し、名前をバリンに変えてキイェルドーを旅立ったかが語られている。
キイェルドーの建国から4世紀後の時代設定となっている。この時代を描いた作品は他になく、建国初期から4世紀の状況が少ないながらも語られている作品もまた他にはない。この物語が具体的にアルガイヴ暦で何年に当たるかは、ストーガード王国の崩壊=キイェルドー建国と同時期と考えられることから、25+4=AR29世紀頃と推測できる。
Ach! Hans, Run!
短編Ach! Hans, Run!はルアゴイフの有名なフレイバー・テキストのフレーズを題材にした物語。サッフィー・エリクスドッターやハンス・エリクソン、ヤヤ・バラードなど有名キャラクターが登場する。小説The Eternal Iceの少し前の物語である。The Monsters of Magic収録。
The Eternal Ice
アイスエイジ小説三部作の二作目「小説The Eternal Ice」は氷河期末期のテリシアを描いた物語である。ジョダーやヤヤ・バラード、リム=ドゥール、フレイアリーズ、レシュラック、ロヴィサ、ダリアン、ヴァーチャイルド、ストロームガルドなどなどカードに登場する有名キャラが登場している。
Feast of Kjeld
Duelist誌5号掲載の掌編Feast of Kjeld。屍術師リム=ドゥールの軍から、ミッケル村の教会に逃げ込んだキイェルドー騎士。彼女らはそこで少女ケイサと遭遇し、また、ストロームガルド騎士団がすでに屍術師によって堕落したアンデッドとなってしまっていることを知る。ケイサは後に氷河期の救い主となる上座ドルイドの血統を継ぐ運命にあった。
小説The Eternal Iceの第14章の冒頭部で発生した事件として時系列に自然に収まる。
Time of Ice
掌編Time of Iceはテイジーアがミノラッド賢人暦117年に作成した文書である。アイスエイジのコミックシリーズを簡略化したまとめにすぎないものの、注目すべき点が2つある。
第一に、リム=ドゥールがキイェルドーの元騎士であると明記していることである。第二は、テヴェシュ・ザット(Tevesh Szat)が虚月の頂上会議で(フレイアリーズとは逆の)ヒントを得て氷河期を加速させようとしていたと、コミック4巻の行動目的が明確化されていることである。
掌編の内容からは離れるが。イーサン・フライシャーによるとカードセット「ドミナリア」に収録されている「氷河期(Time of Ice)」は、カード名をこの掌編のタイトルから引用したものである。
Carthalions of the Ice Age
掌編Carthalions of the Ice Ageはコロンドール大陸エフレンのロード・カルサリオンの呪文従者エザーがミノラッド賢人暦1248年に作成した文書という体裁の作品。内容は氷河期テリシアのカルサリオン一族から3人を解説するもの。ジェイソン、ジェウール、そしてジャシャ(Jasha)の3人。
この掌編の大部分はジェイソンとジェウールのコミックでの活躍をまとめたものである。そして最後に、少しだけジャシャについて語られている。ジェウールはケイサと結婚して娘を授かるそれがジャシャだ。ジャシャは強く勇敢な女性に成長して、テリシアの上座ドルイドの地位を母から継承した。
ジェウールとケイサの娘ジャシャの名前はおそらくこの作品でだけ見ることができる。また、ジェウールとケイサの結婚やジャシャの誕生は世界呪文以後であり、氷河期でなく洪水時代の出来事ではあるが、ここでまとめて触れておく。
Song of Time & 未出版の続編
氷河期のアルマーズは小説Song of Timeにおいて、歴史や伝承として荒鷲ポロスとニン派、ファシニ族、ネフィア族の起源が語られている。記述が散発的に書かれているが概形は十分把握できるだけの分量がある。
一方、リジダの氷河王国は物語現在での状況を除くと、隆盛を極めていた氷河期の情報は曖昧で分量もそう多くはない。ヴォーソスの中で定着している種族名リジダもこの作品中には登場しない。実はこの作品は当初三部作構想であり、続編Shadows of Timeがすでに書きあがっていたが未出版に終わってしまった。作者の友人でありファンでもあるジェフ・リーによると、続編では氷河王国とリジダはより詳細が描かれていた、と伝えられている。
Keldon Fire
ケルド建国のストーリーは短編集The Myths of Magic収録のKeldon Fireで読める。この短編の時代設定はAR4200年前後頃だが、後のケルドの英雄アスターが大将軍となる試練を通じて、ケルドの祖クラダクの建国史が語られていく形式をとっている。ケルドの起源、建国者クラダク、「山(The Mountain)」、黄昏の書とは。短編の作者スコット・マクゴフは、アスターとケルド自身関係を掘り下げる短編Keldon Staredownを短編集The Dragons of Magicで書いている。ちなみにアスターの子孫がAR4560年現在のケルドの総将軍ラーダである。
Ashes of the Sun
小説Ashes of the Sunでは、氷河期のスタハーンのミノタウルスが歩んだ歴史と、スタハーンからハールーンへの差別意識が語られている。ただし分量はそう多くない。
Hazezon
小説Hazezonでは氷河期の猫族と最初のオジャネンについて語られている。こちらの記事も参照のこと。
関連するストーリー
セラ教会の起源
セラ教会の創設は作品としては存在していない。既存作品からの類推からの氷河期創設設定と考えられる。ケリー・ディグズによる「セラがテリシア来訪した説」がThe Art of Magic: The Gathering – Dominariaに記載されたことで公式設定として一般化したというところだろう。
氷河期のカードセット
「アイスエイジ」がまさにこの時代のテリシア大陸を扱ったカードセットである。Duelist誌に初掲載された年表ではアイスエイジはAR450年頃~AR2934年と定義されていた。この年表が現在の時系列の基幹になっている。
実際のところ、アイスエイジ収録の個々のカードを検証していくと、そのほとんどはAR450年頃~AR2934年の期間中でも末期の出来事を描いたものであると判明している。
氷河期の年表
AR450年頃
ドミナリアの大部分が氷に覆われる。
リジダの氷河王国がアルマーズの大部分を支配する。
AR25世紀頃
フレイアリーズがジェイソン・カルサリオンと決闘し敗死するがプレインズウォーカーの灯が点火して復活する。
ストーガードの崩壊。キイェルドーの建国。
マリット・レイジが(おそらく無尽海の)海底で眠りにつく。
AR29世紀頃
バリンが抹消呪文を習得してキイェルドーを旅立つ。
AR2934年
ジョダーがリム=ドゥールの記憶操作で虜囚となっていたがヤヤ・バラードが救出する。
キイェルドーの戦い。リム=ドゥール軍との最終決戦でキイェルドー・バルデュヴィア連合軍が勝利する。
ヤヤ・バラードがメアシルの指輪の所有者となる。
フレイアリーズの世界呪文により氷河期が終わる。
氷河期のまとめ
- ドミナリアの氷河期はAR450年頃~AR2934年。
- AR450年頃にドミナリアの大部分が氷に覆われた。
- AR600年頃に12世界のシャードが形成された。
- AR2934年のフレイアリーズの世界呪文で終焉を迎えた。
- 氷河期の大まかな年表を作成した。
ドミナリア氷河期の関連記事
ドミナリアの時代区分全体図はこちら。
広義の氷河期の解説はこちら。
狭義の氷河期の前の時代はこちら。
- Northland:現状での公式訳は「北方」であるが、ものすごく紛らわしいので本サイトでは「北方大陸」で統一する
- centerまたはnexus:ネクサスは「結合・繋がり」などの意味。各種ソースではcenterよりもnexusの方が多用されていた
- フラーグのゴブリンと、バルデュヴィアのオークの出典は短編The Crusible of the Orcs
- 小説The Eternal Iceでのダリアン王の台詞「(マートン・ストロームガルドは)亡くなってから何十年も経っている(he’s been dead for decades!)」より
- AR450年頃の氷河期到来と同時期と推定される
- 北方大陸の半島部である可能性もある
- 広義の意味での氷河期である可能性もある