ドラゴンの運命(Draconic Destiny)はカードセット「兄弟戦争」収録のエンチャント・カードである。
今回は、このカードがどんな背景を持っているのか読み解いていく。
ドラゴンの運命の解説
ドラゴンの運命(Draconic Destiny)は、エンチャントしたクリーチャーをドラゴンに変身させる機能が持たされたカードである。
カード名には固有名詞もなく、フレイバー・テキストも持たされておらず、イラストを見ても特定のキャラクターでもないし、所属を示す装備もなさそうだ。
手掛かりがほとんどないカードではあるのだが、兄弟戦争という背景を基に解釈は出来そうだ、と目星をつけた。
ドラゴンの運命の読み解き
このカードはドラゴンに変身する魔法である。これは動かせない。
イラストでは、胡坐をかいた人物が精神集中あるいは瞑想をしており、その体の周りにはドラゴンのシルエットを成す赤い姿が浮かび上がっている。したがって、この人物が魔法でドラゴン化する魔術師だ。
ハーキルの瞑想法
カードセット「兄弟戦争」において、魔術の行使は第三の道陣営に割り振られている。特に瞑想を通じたアプローチは、第三の道のハーキル(Hurkyl)が切り拓いた分野だ。
ハーキルの瞑想法は、小説The Brothers’ Warおよびセット内の様々なカードにおいて語られている。精神を集中して土地あるいは出来事の記憶を呼び覚ますことでマナを引き出し魔法をかけられるのだ。第三の道ではハーキルの知識が共有されて、この方法に則って多くの魔術師が魔法を扱えるようになった。
ドラゴンの運命の魔術師も同じだろう。ハーキルの瞑想法を実践しているのだ。岩の上に座して瞑想し、記憶の中から引き出したドラゴンの力をその身に宿そうとしている。
ドラゴンの姿
ドラゴンの運命は第三の道のハーキルの瞑想法を実践した魔法らしいと分かった。では、次に着目したいのは、魔術師が変身するドラゴンの姿である。
魔術師はどんな姿のドラゴンに変身するのだろうか?
赤の魔術師が変身する先は赤のドラゴンだろう。兄弟戦争期のテリシア大陸ならば、カー山脈に赤のドラゴンが確認できる。
カー山脈のドラゴンは4500年未来のプローシュ(Prossh)とも共通する角がある。うねりを伴い曲がる細長い角だ。
しかし、ドラゴンの運命のイラストと比較すると、角の形が全く違うのである。
こちらのイラストの角は羊の角に似ていて、頭部の両脇から前方に向かって湾曲して生えており、しかもカー山脈の典型的なドラゴンの角よりも太いのだ。生え方も太さも全然違う。
赤の魔術師は一体どんな姿のドラゴンをイメージして変身しようとしているのだろうか?
カード・リストを調べていくと、兄弟戦争期の赤のドラゴンに合致するカードを発見できた。爆発炉のヘルカイト(Blast-Furnace Hellkite)だ。
爆発炉のヘルカイト
爆発炉のヘルカイト(Blast-Furnace Hellkite)はカードセット「兄弟戦争」統率者デッキ収録のクリーチャー・カードである。
御覧の通り、ドラゴンの運命のイラストと角が同じである。画面右上に顔を向けて、両翼を左右に広げているポーズも、合わせたように一緒だ。
ドラゴンの運命の解釈
ドラゴンの運命(Draconic Destiny)はドラゴンに変身する赤の魔法である。
赤の魔術師は第三の道でハーキルの瞑想法を学んだ。魔術師は岩の上に胡坐を組んで瞑想し、かつて目撃した爆発炉のヘルカイトの記憶を呼び覚ました。
そして山の赤マナで魔法を唱えると、自分自身の姿をヘルカイトに変化させたのである。
さいごに
というわけで、ヒントが無いながらも私なりに読解してみた。
実は、書いている途中でドミナリア次元の赤ドラゴンの角の系譜の調査にハマってしまった。爆発炉のヘルカイトはテリシアとは別系統のドラゴンじゃないか云々……と。見返してみたら、かなり脱線した文章を書き連ねていたのでバッサリとカットして軽い感じに仕上げてみた。
では、今回はここまで。
ドラゴンの運命の関連記事
カードセット「兄弟戦争」の関連記事