エルドレイン次元のトロール(Troll)と童話「三びきのやぎのがらがらどん」モチーフのカードについて解説する。
追記(2023年9月16日):「エルドレインの森」に対応するため、記事全体の再編集を行った。なお、MTG30周年記念展示で公開された「エルドレインの森ワールドガイド」の記述を参考としている。
エルドレインのトロールの解説
トロール(Troll)はMTGでは定番の人型種族であり、様々な次元に存在している。エルドレイン次元にもトロールは生息しているが、その特徴は童話「三びきのやぎのがらがらどん」に出てくるトロールの影響を色濃く受けている。
エルドレイン次元のトロールは醜い巨人であり、童話のように橋やその周辺に住んでいることが多い。
トロールの外見は、各トロールのイラストを見比べてみて気付くことだが、統一感がなくバラバラに見える。大食いトロール(Gluttonous Troll)は人間に近いが、貪るトロールの王(Feasting Troll King)はヒヒのような姿だ。カタカタ橋のトロール(Clackbridge Troll)に至っては、トロールとは別種族であるオーガの方によく似ている。……といった具合だ。
「エルドレインの森ワールドガイド」によると、トロールはエルドレイン次元中の知的生物1の中で最も知能が低く、全員が肉食である。
参考:童話「三びきのやぎのがらがらどん」の概要
ノルウェーの童話「三びきのやぎのがらがらどん」では、トロールは橋の下に住む恐ろしくも醜い怪物で、橋を渡る山羊を食べようとする。
一番目の小さい山羊は次にもっと大きい山羊が来るからとトロールに見逃してもらう。二番目の中くらいの山羊も同じことを言って見逃される。そして、三匹目の一番大きな山羊によって、襲い掛かるトロールは逆に退治されてしまう。
この三匹の山羊の名前が「がらがらどん」である(三匹とも同じ名前)。
小説「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」のトロール
カードセット「エルドレインの王権」の小説「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」では、橋の下のトロールが軽く言及される。時代設定はAR4560年。
僻境中心部の周りを流れる川に架かる橋は、5種類の材質がある。その材質が黒曜石の橋であった場合には、恐ろしい番人である怪物のねぐらになっている。番人となる怪物には種類があるが、トロールもそれに含まれると語られている。
だが、作中で黒曜石の橋から出現した怪物はトロールではなく、怪物ハウルバック(Howl-back)であった。
絡み架かりのトロール
AR4562年の新ファイレクシア侵略戦争後、トロールは新たな住み処と新たな宿敵を得ることになった。「エルドレインの森ワールドガイド」の情報をまとめると以下の通りだ。
王国と僻境を隔てている裂け目に初めて橋の交通網が架けられると、沢山のトロールが絡み架かり(Tanglespan)の地へと群がっていった。
トロールは絡み架かりを旅する者を餌食にしており、裂け目の岸壁にある洞窟に住み、しばしば橋の真下に潜んでいるのだ。
現在の絡み架かりのトロールは、橋を管理し旅人の安全を守るフォーン(Faun)と敵対関係となっている。
絡み架かりのトロールとフォーン
以上のような設定が、カードセット「エルドレインの森」においてトロールには新規に持たされたのだ。
明らかに童話「三びきのやぎのがらがらどん」の山羊を、山羊系人型種族フォーンへと置き換えてデザインしたものと読み取れる。フォーンのカードの方には、「三びきのやぎのがらがらどん」を直接的なモチーフにしたカードも存在している。
トロールは前回「エルドレインの王権」ではふんわりとした印象の種族だったけれど、宿敵フォーンを得たことで種族としてのまとまりが生まれ、「三びきのやぎのがらがらどん」の特性を維持したまま、MTG独自の魅力を深めている。
エルドレインのトロールに該当するカード
エルドレイン次元のトロールは4種類カード化されている。
カードセット「エルドレインの王権」時点では、トロールは3種類だった。それら全てに共通する特徴があり、醜い巨人であり、橋に住んでおり、何かを食べることに関するメカニズム(食物トークンなど)とトランプルを持っていた。
カードセット「エルドレインの森」で新たに1種類が追加されたが、こちらはフォーンとの種族間対立に焦点を当てたデザインとなっている。
大食いトロール
大食いトロール(Gluttonous Troll)はカードセット「エルドレインの王権」のブロールデッキに収録されたクリーチャー・カードである。
トロールらしく橋の下にいて何かを貪り食っている。
カタカタ橋のトロール
カタカタ橋のトロール(Clackbridge Troll)はカードセット「エルドレインの王権」に収録されたクリーチャー・カードである。
カタカタ橋のトロールは童話「三びきのやぎのがらがらどん」に出てくるトロールに一番近いカードである。
このカードが対戦相手に与える山羊トークン3体がMTG版「がらがらどん」たちだ。そして、トロールはクリーチャーを生け贄に捧げられたターンの間は、貪り食うのに夢中になるのかタップして攻撃に参加できなくなる。幸いなことに、童話と違って山羊と戦ってもやっつけられる心配なさそうだ。
カード名の「カタカタ橋(Clackbridge)」はこのトロールが住む僻境の橋の名前と考えられる。元ネタの「がらがらどん」は山羊の鳴き声だが、このカードの「カタカタ」は橋が鳴らす音のようだ。
貪るトロールの王
貪るトロールの王(Feasting Troll King)はカードセット「エルドレインの王権」に収録されたクリーチャー・カードである。
エルドレインの王権ではトロールの王も収録されている。この貪るトロールの王はイラストでは石造りの橋の上に陣取っている。
フォーン忌みのトロール
フォーン忌みのトロール(Faunsbane Troll)はカードセット「エルドレインの森」に収録されたクリーチャー・カードである。
新ファイレクシア侵略戦争後、大勢のトロールが絡み架かりに住み着きフォーンと対立を深めるようになった。このトロールはカード名通りに種族間の対立関係を体現したカードだ。
イラストを見ると、トロールの周囲にはフォーンの頭蓋骨を串刺しにした杭が林立している。トロールの両肩口には鋭く弧を描く角があるが、これはトロール自身のものかあるいは装備品なのかちょっと判断がつかない(他のトロールには角はない)。
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