ギデオンの「オリジン」:アクロスのキテオン・イオラ

スポンサーリンク

掌編「Gideon’s Origin: Kytheon Iora of Akros」は2015年7月1日に公式サイトで発表されたストーリー。日本公式サイトでは和訳版として「ギデオンの「オリジン」:アクロスのキテオン・イオラ」が公開されている。

以下リンク(上が英語原文版、下が公式和訳版)。

Gideon’s Origin: Kytheon Iora of Akros
Before he was Gideon Jura, a young man named Kytheon learned about honor and loyalty on the streets of Akros.
ギデオンの「オリジン」:アクロスのキテオン・イオラ|読み物|マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト
世界中で2千万人を超えるプレイヤーとファンを持つ世界最高の戦略トレーディングカードゲーム、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式ウェブサイト。

ギデオンの最期からオリジンを振り返る

アクロスの英雄、キテオン(Kytheon, Hero of Akros)

データベースGathererより引用

カードセット「灯争大戦」のストーリーでギデオン・ジュラ(Gideon Jura)が生涯の幕を閉じた。昨日、ギデオンの最期を描いた「心温まる贖罪(Heartwarming Redemption)」の記事をまとめた時に、ギデオンのオリジン・ストーリーを改めて調べた。

ギデオンのオリジンすなわちギデオンという人物の始まりは、カードセット「マジック・オリジン」の際に語られたものだ。

ギデオンがプレインズウォーカーとなる前の少年期から、灯が点火する契機となった事件、そして最初にプレインズウォークするまでが通して、カードセットの各種カードと掌編ストーリーで描かれている。



ギデオンの「オリジン」の簡単なまとめ

ギデオンのオリジン掌編が、Ari Levitch作の「Gideon’s Origin: Kytheon Iora of Akros」である。2015年7月1日に公式サイトで発表された。日本公式サイトには和訳版の「ギデオンの「オリジン」:アクロスのキテオン・イオラ」が公開されている。以下に簡単にまとめてみた。

キテオンの不正規軍(Kytheon's Irregulars)

データベースGathererより引用

ギデオン・ジュラは元々名前をキテオン・イオラ(Kytheon Iora)といった。テーロス次元出身で都市国家アクロスの外国人居住区に住み、13歳の時には同居住区の悪童たちを集めた「キテオンの不正規軍(Kytheon’s Irregulars)」のリーダーを務めていた。灯争大戦の小説中で何度も言及されるギデオンの「不死身性(invulnerability)」はすでにこの時には備わっていた。

13歳のキテオンは投獄され、そこで「牢獄の管理人、ヒクサス(Hixus, Prison Warden)」に見込まれて弟子となり、ヒクサスの課す訓練と囚人の務めである肉体労働とで鍛え上げられた。4年後、都市国家アクロスにハーピーの大群、さらにサイクロプスの集団が襲来する。

エレボスのタイタン(Erebos's Titan)

データベースGathererより引用

アクロスを守るためキテオンは牢獄から解放されて怪物と戦い、仲間の「キテオンの不正規軍」を結集してアクロスの門外でサイクロプスを撃退する。怪物の更なる襲撃が無いかキテオンはアクロスの周辺を見回っていると、テーロスの主神ヘリオッドが現れキテオンに真相を話す。アクロスへの怪物の襲来は前触れに過ぎず、死の国の神エレボスの巨人「エレボスのタイタン(Erebos’s Titan)」が迫っている。タイタンの打倒の試練がキテオンに課せられた。

キテオンと仲間4人の不正規軍はタイタンを倒すが、この日に成し遂げた功績に傲慢になったキテオンは死の神エレボス自身へと槍を投擲してしまう。キテオンの愚かで傲慢な行為の代償が仲間の死であった。キテオンは自身の「不死身性」で助かったが仲間は耐えられなかったのだ。

キテオンは家族同然の親友を失ったショックでプレインズウォーカーの灯が点きテーロス次元へとプレインズウォークした。そこで名乗った際に名前を「ギデオン・ジュラ」と聞き違えられて、以後それがキテオンの新たな名前となった。

ギデオンの「オリジン」と「最期」

ギデオンの犠牲(Gideon's Sacrifice)

カードギャラリーより引用

ギデオンの「オリジン」と「最期」にはいくつかの共通点がある。

親友の死とギデオンの「不死身性」である。

キテオンは不正規軍の4人を喪った際に、「不死身性」によって自分1人だけが助かった。それが生涯の罪として苦しめていた。

そして、灯争大戦のストーリーでは目前でリリアナ・ヴェス(Liliana Vess)が死に至ろうとするとき、ギデオンは「不死身性」を手放し自分を犠牲として友の命を救う決断をする。

リリアナに向けられた最期のギデオンの表情は神々しい笑顔であった。



あまりにも気になって仕方がなかったところ

最後に、ギデオンの「オリジン」を調べるために掌編を読んでみたのだが、和訳版の内容にはいくつか首を傾げる部分があった。中でもストーリーの筋が違ってしまうところを以下で抜粋して解説する(4年も前の記事なので恐らく誰かが指摘済みの件だとは思うのだけれど…)。

You were given the task of defending your polis. The monsters that attacked it did not do so out of malice. They were fleeing before something far worse. My brother, Erebos, God of the Underworld, has recruited a cruel titan who now stalks the lands beyond these mountains.
お前は都市を守る務めを与えられた。怪物は悪意から襲いかかったが、遥かに大きな被害をもたらす前に退けられた。我が弟、死の国の神エレボスが、この山々の合間を潜みながら進む残酷な巨人を雇い入れた。
掌編より一部抜粋。上が英語原文。下が公式和訳版

ヘリオッド神がキテオンに対して都市国家アクロスを襲った怪物たちの真相を告げる場面での台詞である。公式和訳版は「怪物は悪意から襲いかかった」もので、エレボスのタイタンとの関連性はまったく示されていない。これが間違い。

修正して訳してみるとこうなった。

お前は都市を守る務めを与えられた。怪物どもは敵意から襲ってきたのではないのだ。やつらより遥かに悪いものから逃げていたにすぎぬ。我が弟、死の国の神エレボスが残酷なタイタンを雇い入れた。それが今やこの山々を超えた土地を闊歩してくる。

アクロスの都市を守る、それが一貫したキテオンの使命である。ハーピーとサイクロプスは真の都市の脅威ではなかった。エレボスのタイタンから逃げてきた途中でアクロスを襲っただけであった。タイタンが迫ってくるぞ、と。キテオンはヘリオッドの試練を受けることも、ヘリオッドがタイタンの打倒をキテオンに託すことも、筋が通っている。

さらに加えて、エレボスのタイタンが怪物襲来の原因であり、したがって、エレボス神がそもそもの事件の引き金なのである。だから、根本原因であるエレボスに対してキテオンが攻撃する流れには、ある程度の正統性があるのだ。和訳版の誤訳はこの流れを完全に消してしまっている。

ギデオンの「オリジン」の関連記事

灯争大戦:ギデオンの犠牲
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のインスタント・カード「ギデオンの犠牲(Gideon's Sacrifice)」を紹介。灯争大戦に収録。ストーリーの第三幕第三場を表すカード。不死身性の加護をリリアナに移して命を救うギデオン。しかしその代償は自身の命…。
灯争大戦:心温まる贖罪
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のインスタント・カード「心温まる贖罪(Heartwarming Redemption)」を紹介。灯争大戦に収録。ストーリーの第三幕第四場を表すカード。ギデオンは死の間際にキテオン・イオラへと戻り旧友たちに再会する。

カードセット「灯争大戦」関連のリスト

カード紹介:灯争大戦
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のカードセット「灯争大戦」収録のカードの中からピックアップしてストーリーや設定を解説する。