基本セット2021:外交官、マンガラ

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カードセット「基本セット2021」のカードプレビューがいよいよ始まった。

最初に判明した収録カードが「外交官、マンガラ(Mangara, the Diplomat)」である(MA NOAHのカードプレビューのツイート)。カードプレビュー時点では日本語名が不明だ。仮に「外交官マンガラ」と呼んでおく。

今回は、マンガラという人物の来歴や、テフェリー(Teferi)との関係について確認してみよう。

※ 本記事はまだ完全ではありませんが、2020/06/08時点の状態で最低限の情報は書き込めたので公開します。

外交官、マンガラ

外交官、マンガラ(Mangara, the Diplomat)

データベースGathererより引用

この外交官、マンガラ(Mangara, the Diplomat)は完全新規カードであるが、マンガラは既存キャラクターで、カード化は今回で2度目になる。

マンガラ(Mangara)の初登場は24年前のカードセット「ミラージュ」にさかのぼり、ストーリー上のキーパーソンではあったものの、当時はカードにはならなかった。最初のカード化はミラージュから10年後のカードセット「時のらせん」においてである。

2度目のカード化となる今回のマンガラは、カード名通りマンガラの優れた外交手腕に着眼している。マンガラはかつてジャムーラ北西地方の国々の諸問題を外交によって治め、「マンガラの調和」という平和な一時代をもたらしたほどなのだ。

では続いて、マンガラがどのような経歴の人物かを解説する。



マンガラのバイオグラフィ

マンガラはドミナリア次元コロンドール大陸の魔術師で人間男性である。強力な力を有するため、老化が極めて遅く確認できる限りで少なくとも200年以上を生きている(おそらく2-300年程度ではすまない)。プレインズウォーカーのエスキル(Eskil)の弟子であると言われている。

コロンドール大陸
赤丸で囲んだ地域が白き森(White Woods)
現代ドミナリア地図より抜粋引用

マンガラは長年1、コロンドールの白き森(White Wood)地方で主に暮らしていた。AR4000年頃、テフェリーの島がフェイズアウトした事件に興味を示し、ジャムーラ大陸北西部に移住する。この事件に際し、同じく関心を持った魔術師のケアヴェクジョルレイルの2人と知り合った。

マンガラは外交手腕を発揮して、ジャムーラ北西三国であるザルファー、フェメレフ、スークアタのこじれた対立関係を改善していく。フェメレフとザルファーの国境にはクウィリーオン・エルフの一団を入植させて、そこを両国の緩衝地帯とした。

こうして、AR4100年頃までにジャムーラ北西地方は主要三国とエルフ、ドワーフまでも含んだ平和の時代、通称「マンガラの調和」が訪れた。

AR4195年、マンガラの成功を妬むケアヴェクはジョルレイルをだまして協力関係を構築すると、マンガラを琥珀の牢に閉じ込めた。ケアヴェクは配下や同盟者の軍をけしかけ、ジャムーラ北西部は戦争に突入した。翌年のAR4196年、英雄たちの活躍で琥珀の牢から解放されたマンガラはケアヴェクを屈服させて、逆に琥珀の牢に封じた。後にミラージュ戦争と呼ばれる戦乱はこうして終結した。

そして、マンガラは戦後のザルファーとフェメレフ両国の平和的関係の再構築に尽力している。…というところまでで、マンガラの物語は終わっている。それ以降、カードセットや小説などでマンガラの物語は語られてはいない。

マンガラは数世紀を生きる魔術師であるため、AR4560年現在のドミナリアに生存していても何ら不思議ではない。カードセット「基本セット2021」での再登場で、彼の現在の姿が語られるかもしれない。

マンガラのクリーチャー・タイプ

外交官マンガラのクリーチャー・タイプは「人間・クレリック」だ。前回のコロンドールのマンガラ(Mangara of Corondor)の時は「人間・ウィザード」であった。魔術師(ウィザード)から聖職者(クレリック)に変化している。これは一体どういうことなのだろうか?

これまでのマンガラに関するストーリー記事を調査してみたが、魔導士(mage)や魔術師(wizard)と解説されており、有能な外交家という旨の表現も確認できる。一方で、聖職者的な表現は皆無であった。

MTGのクリーチャー・タイプには「アドバイザー」という種類ものもある。外交家的な要素はクレリックよりもむしろこちらのアドバイザーの方がふさわしいものだ。

マンガラに関連する歴史・人物・種族

エスキル

エスキル(Eskil)はドミナリア次元コロンドール大陸出身の人間男性のプレインズウォーカーである。ドミナリア伝説時代の生まれで、セラの天使との関りを持ったことで天啓を受け、セラの慈悲に倣って孤児や弱者を救済する生き方を選んだ。エスキルの働きはドミナリアのセラ信仰における源流の1つともいえるだろう。

白き森に居住するエスキルはマンガラの師匠であると噂されている。

もともとエスキルはコミック「Fallen Angel」に登場したキャラクターで、カード上で登場したことはない。

クウィリーオン・エルフ

Centuries ago, Mangara won the loyalty of the Quirion not by ruling their minds but by supporting their independence.
数百年の昔、マンガラは相手の心を操るのではなく、自立を助けることによって、クウィリーオン・エルフたちの信頼を得た。
引用:精神支配(Mind Harness)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

クウィリーオン・エルフ(Quirion Elves)

クウィリーオン・エルフ(Quirion Elves)
データベースGathererより引用

クウィリーオン・エルフ(Quirion Elves)はコロンドール大陸白き森に住むエルフの一派である。マンガラは数世紀にわたって、クウィリーオンの自立を手助けしたことで信頼を勝ち取り、友好的な協力関係を結んでいる。

カードセット「ミラージュ」収録のクウィリーオンのエルフは、マンガラの要望でAR41世紀頃にジャムーラ北西部に入植した者たちである。ザルファーとフェメレフの間の緩衝地帯にサラムズーリー(Salamzuri)という都市を築いた。

このクウィリーオン・エルフもコミックに登場している。コミック「Wayfarer」シリーズで出た後に、カードセット「ミラージュ」でカードとなったものだ。

テフェリーの島

The three wizards knew only that this isle held a great mystery–and that patience alone would solve it.
不毛の岩地が、マンガラとケアヴェクとジョルレイルを迎えた。三人のウィザードたちにわかるのは、この島が大いなる謎を秘めていること–そして、根気以外にその謎を解く鍵がないということだけだった。
引用:テフェリーの島(Teferi’s Isle)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

テフェリーの島(Teferi's Isle)

テフェリーの島(Teferi’s Isle)
データベースGathererより引用

テフェリーの島(Teferi’s Isle)はジャムーラ北西地方のどこかに存在している島であり、プレインズウォーカーのテフェリー(Teferi)が住居としていた場所だ。

AR4000年頃に時間流の乱れを残し、主のテフェリーと島の地表部分がドミナリア次元とは違う位相に消失してしまう(フェイズアウトした)。この異変を感じとった3人の魔術師マンガラ、ケアヴェク、ジョルレイルが不毛の土地となった島で一堂に会する。この3人がジャムーラ北西部の歴史を変えていくことになる。

マンガラはテフェリーの島消失事件をきっかけにジャムーラに移住し、外交手腕を発揮して北西三国を平和へと導いていくのだった。

メモ:
ちなみに、テフェリーの島の消失事件がAR4000年頃なのはミラージュ戦争からの逆算である。「マンガラは200年ほど2前にジャムーラに移住した」という内容と、「戦争が勃発した数か月後、ほぼ200年3振りにテフェリーがドミナリアに帰還した」という内容の、2つの記述が存在する。ミラージュ戦争がAR4195-4196年であることから、その200年近く前となるとおよそAR4000年になる。

詳細な検証記事はこちら

ザルファー史その2:テフェリーの関与
前回に続きドミナリア次元ジャムーラ大陸北西部(ザルファー周辺)の歴史について時代検証する。 ザルファーの歴史ではプレインズウォーカーのテフェリーの行動が大きな影響を与えている。あるときは宮廷魔導士として、あるときは事件の発端として、またある...

ケアヴェク

“Rats and jackals feast in his swath, but even they will not walk with him.”
–Mangara
鼠やジャッカルは彼の通り道にたかっているが、それでも共に歩こうとはしていない。
–マンガラ
引用:無慈悲なる者ケアヴェク(Kaervek the Merciless)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

無慈悲なる者ケアヴェク(Kaervek the Merciless)

データベースGathererより引用

ケアヴェク(Kaervek)はドミナリア次元炎熱諸島のボガーダンの人間男性の魔導士である。ミラージュ戦争を起こした張本人である。

フレイバー・テキストで「通り道」と訳された原語は「swath」で「草を刈り取った跡」のことで、ここでは「ケアヴェクが破壊し奪い取った跡」くらいの意味合いだろう。一方、和訳製品版の「通り道」には、ただの「道・通路」だけでなく「通っていく道」つまり「これから通ろうとしている道」の含みも出てしまう言葉であり、原文とのずれが出てしまっている。「彼の通り道」よりむしろ「彼の通った道」であれば誤解が無かった。ケアヴェクの周りには真の仲間はなくお零れにあずかろうと後ろからついてくる者しかいないのだ。

“Cruelty? No. This is necessity.”
–Kaevek
「残虐だと?そうではない。必要なのだ。」
–ケアヴェク
引用:取り除き(Eliminate)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

取り除き(Eliminate)

取り除き(Eliminate)
データベースGathererより引用

ケアヴェクは今回のカードセット「基本セット2021」収録の取り除き(Eliminate)のフレイバー・テキストでも名前が出てきている。

ジョルレイル

“I need no army. I have Jamuraa.”
私に軍隊なぞいらぬ。私にはジャムーラがある。
引用:獣たちの女帝ジョルレイル(Jolrael, Empress of Beasts)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

獣たちの女帝ジョルレイル(Jolrael, Empress of Beasts)

データベースGathererより引用

ジョルレイル(Jolrael)はジャムーラ北西のムウォンヴーリー・ジャングルに隠遁する人間女性の魔導士である。世事に疎い性格なためケアヴェクに騙されてマンガラを幽閉した。さらに、ジョルレイルが同盟するジャムーラ北西大砂漠のヴィーアシーノ族とドラゴンもケアヴェクの戦争に利用されてしまった。

基本セット2021:ムウォンヴーリーの世捨て人、ジョルレイル
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の「ムウォンヴーリーの世捨て人、ジョルレイル(Jolrael, Mwonvuli Recluse)」を紹介。カードセット「基本セット2021」で久々の登場となったドミナリアの獣たちの女帝である。

琥珀の牢

琥珀の牢(Amber Prison)

琥珀の牢(Amber Prison)
データベースGathererより引用

琥珀の牢(Amber Prison)はマンガラが封印されたアーティファクトである。ムウォンヴーリーにあるジョルレイルの宮殿に招かれたマンガラは、ケアヴェクとジョルレイルの不意打ちでこの牢獄に捕らわれてしまった。ミラージュ戦争勃発から数か月後、ほぼ200年ぶり4にドミナリアに帰還したテフェリーは戦争状況を把握し、英雄たちに幻視(ビジョン)を送って道を示し、琥珀の牢からマンガラを解放させた。

ミラージュ・ビジョンズの後に発行された小説Jeditにおいて、琥珀の牢はドミナリア惑星外からもたらされた物質と技術由来だと語られている。→こちらの記事を参照。

ドミナリア:星界からの恐怖
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のクリーチャー・カード「星界からの恐怖(Cosmic Horror)」を紹介。レジェンドに初収録。惑星ドミナリアに飛来した宇宙生物である。かつてジャムーラ南西部アルボリアに宇宙船が不時着した記録が残る。

ザルファーの消失

テフェリーの防御(Teferi's Protection)

ザルファーをフェイズアウトさせるテフェリーを描いたテフェリーの防御(Teferi’s Protection)
データベースGathererより引用

ミラージュ戦争からおよそ10年後、AR4205年、ドミナリアはファイレクシアによる次元を超えた侵略戦争の脅威にさらされた。ドミナリア全土が戦場とならんとしていたその時、テフェリーは戦争の災禍からザルファーを守ることを決意した。テフェリーの選んだ手段は前代未聞であり、ジャムーラ大陸北西地方にあるザルファー周辺の大地の一切合切を、ドミナリア上から位相の違う時空へと避難させる(フェイズアウトさせる)というものだった。

AR4560年現在、ザルファーは永遠にドミナリア上から失われてしまっている。テフェリーの計画は失敗に終わり、ザルファーをドミナリアに戻すことができなかったのだ。

ザルファーが消えたとき、マンガラの所在は語られていない。もしザルファーに居たなら現代のストーリーに再登場することは叶いそうにないが…果たして?



裂け目時代のマンガラ

マンガラ(Mangara)はカードセット「時のらせん」において、コロンドールのマンガラ(Mangara of Corondor)としてカード化されている。

コロンドールのマンガラ(Mangara of Corondor)

コロンドールのマンガラ(Mangara of Corondor)
データベースGathererより引用

裂け目時代(AR4305-4500年)ではドミナリアの過去の人物が「時の裂け目(Time Rift)」から現代に出現する現象が発生していた。フレイバー・テキストを読めば明らかなように、コロンドールのマンガラ(Mangara of Corondor)も同様に過去からやって来た人物であった。

時の裂け目から出現した別時代の人物たちが何をして、その後どうなったのかは全く語られていない。マンガラに限らずどのキャラクターも同様でほとんど何の情報もない。時の裂け目消失で元の時代に戻ったのかもしれないし、歴史への影響はなかったのかもしれない。あるいは、これから語られるべき物語があるのかも…。

ちなみに、カードの機能はマンガラと一緒にパーマネント1つを追放するものだが、かつてマンガラ自身が閉じ込められた琥珀の牢(Amber Prison)を想起させる。

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本格的なカードプレビューが始まったらリスト化を予定。

  1. 原文「many years」
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