エルドレイン:三匹の子豚

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エルドレイン次元の童話「三匹の子豚」モチーフのカードをまとめた。

再編集(2023年10月5日):本記事は元々は「三匹の子豚」だけに留まらず、童話の定番悪役「大きな悪い狼」も併せて取り上げる内容であった。しかし記事投稿より4年が経過。カードセット「エルドレインの森」になって狼カードの種類が増えており、ここで取り扱うには窮屈になってきた。そこで狼に関する記事を独立させて、本記事は「三匹の子豚」を中心に据える方向で再構成したのである。

追記(2023年10月10日):カードセット「アルケミー:エルドレイン」の公式カードギャラリーが公開されたため、複数の「三匹の子豚」モチーフのカードを追加した。

追記(2023年10月11日):MTGアリーナにカードセット「アルケミー:エルドレイン」が実装されたことでフレイバー・テキストが確認できるようになった。豚の群追い(Drover of the Swine)豚の反乱(Swine Rebellion)にフレイバー・テキストを追加した。

小説「Throne of Eldraine: The Wildered Quest」



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三匹の子豚の解説

「三匹の子豚」モチーフ
狼の獲物(Wolf’s Quarry)

エルドレイン次元は騎士とおとぎ話をイメージした世界だ。その中には、グリム童話「三匹の子豚」をモチーフとしたカードが含まれている。

カードセット「エルドレインの王権」には、童話「三匹の子豚」をあまりアレンジを加えずにMTGのカードに落とし込んだものが複数収録されている。

カードセット「アルケミー:エルドレイン」では、「三匹の子豚」が個別の3種類のカードとなった。しかも、その3種類の子豚を参照するカードも複数種類、同時に収録されている。



三匹の子豚の関連カード

カードセット「エルドレインの王権」の収録カードの中から、童話「三匹の子豚」モチーフと考えられる3種類をピックアップした。

悪役となる「大きな悪い狼」に相当するカードは複数あるのだが、ここではイラストの関連性から1種類だけを紹介することにした。

カードセット「エルドレインの森」の方には、童話「三匹の子豚」を特にモチーフとしているカードは見つけられなかった。だが、エルドレイン次元のクリーチャー・タイプ「猪」という繋がりで1種類ここで取り上げている。

カードセット「アルケミー:エルドレイン」では童話「三匹の子豚」モチーフのカード群6種類が収録されていて、このセットの5分の1を占めている。三匹の子豚のカード化(3種類)と、それに言及する3種類のカードである。

狼の獲物

“The monster was gaining on them. Twice it had found them. There was only one place left to hide.”
–Tales of the Fae
「怪物が近くに迫っていた。もう二回見つかっていた。残る逃げ場は一つだけだった。」
–フェイの物語
引用:狼の獲物(Wolf’s Quarry)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

狼の獲物(Wolf's Quarry)

狼の獲物(Wolf’s Quarry)
データベースGathererより引用

狼の獲物(Wolf’s Quarry)カードセット「エルドレインの王権」に収録されたソーサリー・カードである。

カードのメカニズムを見ると、猪クリーチャー・トークンを3体生み出す。この猪は死亡誘発で食物トークンに変わる機能がある。

これは明らかにグリム童話「三匹の子豚」の子豚たちのカード化だ。イラストにも逃げ惑う3匹の子猪に迫る狼の影があるし、捕まったら食べられてしまうのだ(食物トークン)。

エルドレインの王権の猪トークン

エルドレインの王権の猪トークン
公式記事The Tokens of Throne of Eldraineより引用

クリーチャー・タイプとイラストが猪な理由は、おそらくMTGには「猪」はあっても「豚」というクリーチャー・タイプが存在しないせいだろう。

また、童話「三匹の子豚」の子豚たちは人間のように家を建てて生活していた。一方、エルドレインの世界構築ではそういう人間に近い喋る動物はNGとして、それらが存在しない方針のもとにデザインされた世界なのだ。だから、エルドレイン版「三匹の子豚」は普通の動物の猪なのである。

エルドレインの王権の食物トークン

エルドレインの王権の食物トークン
公式記事The Tokens of Throne of Eldraineより引用

ちなみに、「エルドレインの王権」の食物トークンには複数の絵柄があるけれど、その中には調理された猪が描かれたものがある。

家の吹き飛ばし

“You think these walls will protect you? My, you have a dim view of the power of the wilds.”
–Marawen, barrow witch
「そんな壁で防げると思ったのかい?まったく、僻境の力を分かっちゃいないね。」
–墳丘の魔女、マラウェン
引用:家の吹き飛ばし(Blow Your House Dow)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

家の吹き飛ばし(Blow Your House Dow)

家の吹き飛ばし(Blow Your House Dow)
データベースGathererより引用

家の吹き飛ばし(Blow Your House Dow)カードセット「エルドレインの王権」に収録されたソーサリー・カードである。

壁クリーチャーを、家(の壁)に見立てて、「大きな悪い狼」が家を吹き飛ばそうとしているカードだ。

グリム童話「三匹の子豚」では、狼は子豚の建てた家を吹き飛ばしてしまう。最初の子豚はわらの家、次が木の家で、2回とも家を吹き飛ばして子豚を食べてしまう。最後三番目がレンガの家で、今度ばかりは狼は吹き飛ばすことができず、煙突から侵入しようとして鍋の熱湯に飛び込んで死んでしまう。

「三匹の子豚」モチーフとは関係ないが、フレイバー・テキストには墳丘の魔女、マラウェン(Marawen, barrow witch)が登場している。

獰猛な魔女跡追い

While the realm has laws, in the wilds there are other ways of balancing power.
王国に法があるように、僻境には力の均衡を保つ他の手段がある。
引用:獰猛な魔女跡追い(Fierce Witchstalker)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

獰猛な魔女跡追い(Fierce Witchstalker)

データベースGathererより引用

獰猛な魔女跡追い(Fierce Witchstalker)カードセット「エルドレインの王権」に収録されたクリーチャー・カードである。

この狼は魔女を狩りの獲物にする魔女跡追い(Witchstalker)という設定を持たされており、「三匹の子豚」を狙う狼とは違う存在と言える。

ただし、カードのイラストの状況は童話「三匹の子豚」に通じるものにも思える。

「三匹の子豚」では狼は子豚の住む家を順番に襲っていく(わらの家→木の家→レンガの家)。そして、このカードのイラストでは、魔女跡追いの狼は木造の小屋を襲撃して次の標的を求めて駆けているような状況に見える。

ということは、「子豚の2軒目の家から最後の家に向かう場面」に呼応しているようにも見えてこないだろうか?

豪胆なトリュフ嗅ぎ

豪胆なトリュフ嗅ぎ(Intrepid Trufflesnout)

豪胆なトリュフ嗅ぎ(Intrepid Trufflesnout)
データベースGathererより引用

豪胆なトリュフ嗅ぎ(Intrepid Trufflesnout)カードセット「エルドレインの森」の特別ブースターに収録されたクリーチャー・カードである。出来事は猪突猛進(Go Hog Wild)だ。

このカードはトリュフを探すために利用された豚をカード化してものだ。私の見る限りでは、童話をモチーフにしたものではない。

エルドレイン次元のクリーチャー・タイプ「猪」のカードという薄い共通点から、ここで取り上げておきたい(紹介するのに適当な記事が他になかった)。

一番目の子豚

一番目の子豚(First Little Pig)

一番目の子豚(First Little Pig)
公式カードギャラリーより引用

一番目の子豚(First Little Pig)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたクリーチャー・カードである。

「三匹の子豚」の一番目をモチーフにアレンジしたカード化である。色は緑白だ。

イラストを見ると、一番目の子豚はドワーフの果物を食い荒らしている。それを遠巻きに見ている人物が2人右にいるが、一番右がエルフで、その左隣はフォーン(Faun)である。周囲の様子や樹上の家を見るに、ここはエッジウォールの街であろう。

二番目の子豚

二番目の子豚(Second Little Pig)

二番目の子豚(Second Little Pig)
公式カードギャラリーより引用

二番目の子豚(Second Little Pig)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたクリーチャー・カードである。

「三匹の子豚」の二番目をモチーフにアレンジしたカード化である。色は白黒だ。

三番目の子豚

三番目の子豚(Third Little Pig)

三番目の子豚(Third Little Pig)
公式カードギャラリーより引用

三番目の子豚(Third Little Pig)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたクリーチャー・カードである。

「三匹の子豚」の三番目をモチーフにアレンジしたカード化である。色は黒緑だ。

豚の群追い

“Back, fiend! It’s a vegetarian life for you from this day forward!”
「下がれ、この獣!今日からは菜食主義の生活をおくってもらうからね!」
引用:豚の群追い(Drover of the Swine)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下がMTGアリーナの和訳

豚の群追い(Drover of the Swine)

豚の群追い(Drover of the Swine)
公式カードギャラリーより引用

豚の群追い(Drover of the Swine)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたクリーチャー・カードである。

豚の群追いというカード名で畜産業者のようだが、このカードは三匹の子豚を飼う魔女のようだ。イラストでは魔女の小屋の中に三匹の豚がいて、この魔女が守るように立ちはだかってる。

カードの色は白黒緑の3色だが、これは一番目から三番目までの三匹の子豚の色を合せたものと一緒だ。

このカードは戦場に出たときに、2つの中から1つの効果を選べる。その効果は「一番目から三番目の子豚カード3種類の中から1枚を選んで手札に創出する」または「墓地から異なる名前の猪カードを戦場に戻す」のどちらかだ。

フレイバー・テキストは、子豚を狙う者たちに対して金輪際、肉を食べずに菜食主義になれと宣告している。

豚の先触れ

豚の先触れ(Porcine Portent)

豚の先触れ(Porcine Portent)
公式カードギャラリーより引用

豚の先触れ(Porcine Portent)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたエンチャント・カードである。出来事は豚貸し(Lend a Ham)だ。

イラストには一番目から三番目の子豚が描かれている。先頭を走るのが二番目の子豚(Second Little Pig)、次が一番目の子豚(First Little Pig)、最後が三番目の子豚(Third Little Pig)だ。カード名と走っている順番がずれているので注意。

カードの機能では「猪」クリーチャー・タイプにメリットがある効果や、一番目から三番目の子豚の中から1種類を戦場に創出する機能が持たされている。

豚の反乱

“And the pigs called to the wolf, ‘WE’LL RIP YOUR CAVE DOWN STONE BY STONE…'”
–Gylwain, “The Pigs’ Revenge”
「すると豚たちは狼に言いました。『おまえの洞窟を石ころひとつ残さずぶっ崩す』と…」
–ギルウェインの『子豚の復讐』
引用:豚の反乱(Swine Rebellion)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下がMTGアリーナの和訳

豚の反乱(Swine Rebellion)

豚の反乱(Swine Rebellion)
公式カードギャラリーより引用

豚の反乱(Swine Rebellion)はカードセット「アルケミー:エルドレイン」に収録されたソーサリー・カードである。

イラストは人形劇風だ。三匹の子豚と大きな悪い狼がいる。ちなみに、左上を飛んでいるのはマルハナヒツジ(Bumblesheep)だ。

カードのメカニズムは、一番目から三番目の子豚のカードを創出して戦場に出したり手札に入れる機能である。自軍に異なる名前の猪が3体以上いる状態で使うと効果が大きくなる。

フレイバー・テキストは、ギルウェイン(Gylwain)の「子豚の復讐(The Pigs’ Revenge)」という作品からの引用となっていて、表現がかなり物騒である。



さいごに

「三匹の子豚」モチーフ
狼の獲物(Wolf’s Quarry)

冒頭で述べたように、今回は記事全体の再編集を行ってグリム童話「三匹の子豚」を主軸に据えた内容へと構成を変更した。「大きな悪い狼」と「魔女跡追い」を記事から分離したことで大分すっきりと素直な流れに変えられて、個人的に満足している。

では、今回はここまで。

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