発売間近のカードセット「基本セット2020」のカードプレビューが始まった。筆頭でプレビューされたのがプレインズウォーカーの「チャンドラ・ナラー(Chandra Nalaar)」の新カード化である。
チャンドラのカード化はもう何度も行われているのでそれ自体では新鮮味に欠ける…そこで、ウィザーズ社はチャンドラを売り込むべく、新たな試みを仕掛けてきた。
3種類のチャンドラ・ナラー
基本セット2020は今年2019年7月12日に発売して来年2020年までの最新基本セットになるが、このセットではチャンドラ・ナラーを主軸にすえている。
主軸となるキャラクターであることから、ウィザーズ社は新しい仕掛けでチャンドラを新カード化してきている。それが同一セットに、同じキャラを、複数の希少度で、複数枚プレインズウォーカー・カードとして収録することだ。
新米紅蓮術師、チャンドラ
希少度アンコモンのチャンドラが新米紅蓮術師、チャンドラ(Chandra, Novice Pyromancer)である。プレインズウォーカーに目覚めたまだ若い頃のチャンドラを描いてる。
チャンドラが左の腰と右腕に装備している装置は、両親から授かったもので、紅蓮術を制御する助けとなる道具である。これも今回、基本セット2020でカード化されている。
このチャンドラの調圧器(Chandra’s Regulator)がチャンドラの装備している装置である。
炎の侍祭、チャンドラ
希少度レアの炎の侍祭、チャンドラ(Chandra, Acolyte of Flame)は、新米紅蓮術師、チャンドラより後の姿だ。
故郷カラデシュ次元からプレインズウォークしたレガーサ次元には、紅蓮術師の修道院であるケラル砦があった。チャンドラはケラル砦で修練を積むことになった。
カード名が「侍祭1(Acolyte)」となっているのはケラル砦が修道院だからである。「侍祭」とは下位の聖職者である。チャンドラは紅蓮術師の修道院ケラルに所属して侍祭になったのだ。
ちなみに「Acolyte」には修道院などの「侍祭・侍僧」の他にも「見習い」「従者」「助手」など文脈で色々な意味が出てくる言葉。だから、MTG公式でも翻訳が1つの定まらずに、カードやストーリー記事でかなりバリエーション豊かに訳されている。そんな中には首を傾げる訳語選択のものも少なくはない。例えば、教団組織の下部構成員とか、教義や人物に従う求道者的な人々を指しての「Acolyte」が「見習い」というただの未熟者に訳されてしまったのを目にするのだ(ウィンドグレイスの見習い(Windgrace Acolyte)とか)。
侍祭の訳語ブレについての追記
「Acolyte」の翻訳ブレに関して好例を見つけた。掌編「炎への献身」がその好例だ。これは2015年のカードセット「マジック・オリジン」の時の掌編「Offers to the Fire」の公式和訳版である。
この掌編は、成長したチャンドラ・ナラーがケラル砦に一旦帰還して、修道士長セレノックの下で学んでいるという物語。時系列的にはゲートウォッチのストーリーシリーズが始まる直前に当たる。
では、この掌編1本の中でケラル砦の「Acolyte」の訳語のバリエーションを確認してみよう。
Acolyteは作中で9回出てくる。翻訳の内訳は以下の通り。
「弟子」3回
「見習い僧」5回
「侍祭」1回
ちなみに全部同じ「ケラル砦の侍祭」を指して用いられている。
目覚めた猛火、チャンドラ
希少度神話レアのチャンドラが、目覚めた猛火、チャンドラ(Chandra, Awakened Inferno)である。炎の侍祭、チャンドラよりも後の姿だが、「目覚めた」と言うカード名のように、一人前のプレインズウォーカーあるいは紅蓮術師として真の実力に覚醒したチャンドラ・ナラーといえるだろう。
チャンドラが現在のMTGの主役扱いかも?
MTGを販売するウィザーズ社は現在、チャンドラ・ナラーをぐいぐい推してきている。
現在展開中のIDW Publishingコミックシリーズではチャンドラが主役である。
先日、告知されたNetflix (ネットフリックス) でのMTGアニメシリーズでは、メインビジュアルがチャンドラだった。主役級の1人なのは間違いないだろう。
ちなみにNetflix (ネットフリックス) でのMTGアニメシリーズは、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」や「アベンジャーズ/エンドゲーム」などを監督したルッソ兄弟(Joe and Anthony Russo)が手掛けることになるとのこと。(Netflixによる告知)