秋の新カードセット「エルドレインの王権(Throne of Eldraine)」の情報がサンディエゴ・コミコンで発表された(日本時間の日曜日21日午前10時半からのパネル発表)。
前回の記事:エルドレインの王権:初報
エルドレインの王権の概要
「エルドレインの王権(Throne of Eldraine)」は「アーサー王伝説とグリム童話」をモチーフにしている。たくさんの騎士と城、そこにおとぎ話も加わったハイファンタジーの中世世界だ。「キャメロットがグリム童話と出会ったら(Camelot meets Grimms’ Fairy Tales)1」想像してみよう。出典記事
同時に日本語のタイトルが「エルドレインの王権」であることも明らかになった。
以下、情報の追記。
- 「エルドレインの王権」ではキャッチコピーのように「キャメロットがグリム童話と出会う(Camelot meets Grimms’ Fairy Tales)」と繰り返されている。ただし、マーク・ローズウォーターによると、グリム童話だけに限らず、色々な時代の様々なソースから広範囲の西洋童話を取り込んだ、という(出典1、出典2)。
- 「エルドレインの王権」はトップダウン型のデザインのカードセットである。トップダウン型とは「クリエイティブ的着想からデザインされた」という意味。(出典)
- 「大きな悪い狼(big, bad wolf)」は登場する(出典)。大きな悪いオオカミとは、グリム童話やイソップ寓話などに出てくる狼のようなキャラクターのこと。
ケンリス双子の故郷
プレインズウォーカーのローアン・ケンリス(Rowan Kenrith)が、エルドレイン次元出身であることが明らかとなった。
ローアン・ケンリスと兄弟のウィル・ケンリス(Will Kenrith)は、2018年発売のカードセット「バトルボンド」に登場したプレインズウォーカーの双子である。経歴不詳であったが今回、双子の故郷がエルドレインと確定された。
バトルボンド時のローアンのイラスト(右はウィル)。髪の色、顔貌、左手から迸る火花、そして、右手に構えた剣が完全に一致する。衣服や装身具が紅色基調なのも同じである。
以下、情報の追記。
- 「エルドレインの王権」の顔となるプレインズウォーカーは「ローアン・ケンリス」である(出典)。
- ケンリス双子は元々「エルドレインの王権」のためにデザインされたキャラクター。バトルボンドで共闘メカニズムを持つプレインズウォーカーが必要になったので、双子に白羽の矢が立った。(出典)
- プレインズウォーカー・デッキにローアンは採用される(出典)。
- ウィル・ケンリスがプレインズウォーカーでなくクリーチャーになってるのではと予想する人たちもいるが、このセットのウィルはプレインズウォーカーである(出典)。
第3のプレインズウォーカー
ケンリス双子が「エルドレインの王権」のプレインズウォーカーであるが、このセットにはプレインズウォーカーは2人だけではない。第3のプレインズウォーカーは新規のキャラクターである。(出典1、出典2)
注意:マーク・ローズウォーターはプレインズウォーカーは3人で全員とまでは明言していない。また、4人目のプレインズウォーカーはいない、とも言っていない。
カードセット「統率者2018」に登場したプレインズウォーカーに「アミナトゥ(Aminatou)」がいるが、エルドレインはアミナトゥの故郷ではない(出典)。
公開されたイラスト
MTGのTwitter公式アカウントで公開されたイラストを以下に挙げる。各イラストには私の個人的な感想や「キャメロットとグリム童話」から関連しそうな事柄をピックアップして書き加えた。
本の中のおとぎの世界に
騎士
アーサー王伝説と言えば「円卓の騎士たち」を外すことはできない。このイラストに描かれた騎士は「5人」。MTGでは「5」という数字は「5色の色」と関連付けられるものだが、この騎士たちが各色の代表者…という可能性はあるかもしれない。
塔の姫君
高い建物の窓から身を乗り出す、非常に長い髪の姫君。グリム童話「ラプンツェル」がモチーフであろう。
水上の都
アーサー王伝説の「アヴァロン島」がモチーフかもしれない。
お菓子の家
薄気味悪い森の中のお菓子の家。グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」で間違いなさそうだ。
カエル
豪華な食卓と王冠、卓上にいるカエル。グリム童話の「カエルの王様」ではないか。
高貴な女戦士?
パイの中の怪物
大きなパイの中から人ならざる者の太い指がはみ出している。殺した者を食べて(食べさせて)しまうとか、かまどや暖炉に生きたまま放り込んでしまうとか、残酷描写はグリム童話に思い当たるだろう。その手のイメージか。
聖なる光
アーサー王の騎士物語では聖杯探索の聖なる光、奇跡は定番であろう。
剣のイメージ
アーサー王伝説の剣ならエクスカリバーのエピソードは有名だ。
口づけ
高貴な者の口づけで呪いが解かれるパターンは童話でお馴染み。
いじわるな継母?
贅沢な格好の年配女性と、床に這いつくばるみすぼらしい若い男性。いじわるな継母に虐げられる「シンデレラ」が思い浮かぶ。
リンゴ
リンゴを差し出す女性。そして、リンゴをかじって眠りについた、あるいは、息絶えた騎士。このリンゴで繋がる2枚のイラストはグリム童話の「白雪姫」を想起させる。毒リンゴを食べるのが王女でなく男性騎士に差し替えたのか?
イラスト中央の、藪と人物の隙間で切り取られた景色だが、5つの塔を持つ街(城?)が見える。MTGの「プレインズウォーカー・シンボル」にそっくりである。
湖の人魚?
女性の人魚、そして彼女に向き合う人間となった姿。アンデルセンの童話「人魚姫」のイメージだろうか。
1つ上のイラストと同じ人魚女性に見える。水中から剣を携えて現れるというと、アーサー王伝説の「湖の貴婦人」が思い浮かぶ。
このイラストは「剣」ではあるが、もしかするとイソップ寓話「金の斧」の方のイメージである可能性は否定できない。
ジンジャーブレッドマン
ジンジャーブレッドマンは人形型の生姜を用いたビスケットやクッキー菓子。このイラストのジンジャーブレッドマンは人間ほども大きい上に、まるで生きているように動いている。
金髪少女と熊
金髪の少女と3匹の熊から考えて、イギリス童話「ゴルディロックスと3匹の熊」がモチーフではないだろうか?
壁に熊3匹の彫り物。
こちらのイラストでは、熊は壁の剥製、床の敷物、少女が肩にかけた毛皮として描かれている。
仕掛け罠と刃物でもって熊を殺してしまうのは「ゴルディロックスと3匹の熊」らしくないが、グリム童話には獣を仕留める狩人と少女の両方が出てくる話がある。「赤ずきん」である。
土地イラスト
エルドレインの土地という説明付きで公開されたイラスト。
一面に広がる茨の園からはグリム童話「茨姫(眠れる森の美女)」が想起される。
燃え柳?
この土地のイラストはカードセット「未来予知」収録の「燃え柳の木立ち(Grove of the Burnwillows)」に特徴が似ている。