ヴラスカの懐刀(Vraska’s Finisher)はカードセット「灯争大戦」収録のクリーチャー・カードである。
カード名とフレイバー・テキストで何かおかしいぞと引っ掛かりを覚えたカードをピックアップする。
ヴラスカの懐刀の解説
“You might have pleaded your case with my queen earlier. Now I am here, and it is far too late.”
「お前たち、女王陛下に嘆願したでしょう。だから来た。もうまったくの手遅れよ。」
引用:ヴラスカの懐刀(Vraska’s Finisher)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ヴラスカの懐刀(Vraska’s Finisher)はプレインズウォーカー「ヴラスカ(Vraska)」の名前を冠するカード。ゴルガリ団所属のゴルゴンの暗殺者である。
ヴラスカはギルドマスターになる以前からオクラン(Ochran)という暗殺団を配下としている。構成員はデヴカリン・エルフが多いとされるが他の種族も交じっている。このカードのゴルゴンもエルフでないオクランの暗殺者と考えられる。
ヴラスカの懐刀のカード名とフレイバー・テキスト
このカードのカード名とフレイバー・テキストの和訳は不可解である。
カード名の「Finisher」とは「何かを終わらせる者・仕上げる者」という意味で、和名の「懐刀」つまり「頼みになる腹心の部下」と言った含みはない。
“You might have pleaded your case with my queen earlier. Now I am here, and it is far too late.”
「お前たち、女王陛下に嘆願したでしょう。だから来た。もうまったくの手遅れよ。」
視点を変えてフレイバー・テキストを見ると、原文の1文目は非難を込めた仮定(「…しててもよさそうなのに」)であるのに、和訳製品版は推量(「…したかもしれない」)のように訳している。しかも「嘆願した」「だから来た。」つまり、ヴラスカに何らかの願いを頼むとそれを理由に暗殺される、という理不尽な流れとなっている(下々が女王に嘆願するのが命を取られるほど不遜だとでもいう解釈だろうか)。
それに「嘆願する」と訳されている「plead」は、もし自動詞なら「plead with O」で「(人に)嘆願する」となるのだが、これは他動詞なので「弁護する・弁解する」の意味になる。「plead your case with my queen」なら「私の女王にあなたの問題を弁解する」くらいに訳される。
以上のような不可解な訳が重なり合ったせいで、和訳製品版からはこのカードが何の役目を担っている者なのか見えにくくなっている。
フレイバー・テキストを仮に訳してみる。
「せめてもっと早くに女王陛下に弁解でもしていればよかったのに。私が来てしまったからからには、もう何もかも手遅れ。」
つまり、このカードはヴラスカの名のもとに「相手に最期を告げに来る者」だったのだ。
ヴラスカの登場するカード
カードセット「灯争大戦」の中でヴラスカが関係するカード
- 群集の威光、ヴラスカ(Vraska, Swarm’s Eminence)本人
- ヴラスカの懐刀(Vraska’s Finisher)名前付きカード
- 死の芽吹き(Deathsprout)フレイバー・テキスト
- 論議を呼ぶ計画(Contentious Plan)イラストでジェイス、ラル・ザレックと共に
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