カードセット「基本セット2020」の黒のプレインズウォーカー・デッキ。主役はソリン・マルコフ(Sorin Markov)である。
黒のプレインズウォーカー・デッキの限定カード
カードセット「基本セット2020」の黒のプレインズウォーカー・デッキ限定で収録されている新規のカードは5種類ある。
また、基本セット2020でないカードセットからの再録は墓起こし(Gravewaker)、日和見吸血鬼(Vampire Opportunist)、ソリンの渇き(Sorin’s Thirst)の3種類がある。その中で墓起こしはフレイバー・テキストが新規になっている。他は据え置きである。
吸血鬼の王、ソリン(Sorin, Vampire Lord)
吸血鬼の王、ソリン(Sorin, Vampire Lord)は神話レアのプレインズウォーカー・カード。カードセット「基本セット2020」のプレインズウォーカーデッキ用に調整されたソリン・マルコフ。
基本セット2020本体には、別バージョンのソリン・マルコフである「傲慢な血王、ソリン(Sorin, Imperious Bloodlord)」が収録されている。
基本セット2020本体では、ソリンは他のカードからの言及がまったくされていなかったが、流石にプレインズウォーカー・デッキでは関連カードが色々と収録されている。
ソリンの案内人(Sorin’s Guide)
“My people serve the dragon Kolaghan, but I give my blood for a greater lord.”
「我が一族は龍王コラガンに仕えてきたが、私はそれよりも偉大な王に我が血を捧げる。」
引用:ソリンの案内人(Sorin’s Guide)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ソリンの案内人(Sorin’s Guide)はレアのクリーチャー・カード。
このカードのメカニズムでは、プレインズウォーカーデッキらしく製品の主役「吸血鬼の王、ソリン(Sorin, Vampire Lord)」をライブラリーや墓地から探して手札に入れる機能がある。
イラストを担当したJason Rainvilleは、このイラストを仕上げるにあたって指示された内容や途中経過のラフ画について、ツイッターに一連のコメントや画像を公開している1。
イラストの指定によると、このカードはタルキール次元のマルドゥ族がソリンによって吸血鬼化された姿である。フレイバー・テキスト英語原文によると、ソリンの下僕となる前には「ドラゴンのコラガン」に仕えていたという。ここで掌編Sorin’s Restoration(公式和訳版ソリンの修復)の記述を確かめると、ソリンはウギンを探しに来るまで、一度もタルキール次元を訪問したことがない。となると、マルドゥ族が存在している歴史改変前のタルキール次元で、ソリンがこのカードのような吸血鬼を生み出すには、タルキール初来訪時しかありえない。マルドゥがコラガンに仕えるという記述はやや不自然ではあるが、千年以上も昔に滅んだドラゴンのコラガンの名を語り継ぎ、崇めているマルドゥというのは十分にあり得る姿だ。
したがって、フレイバー・テキスト和訳製品版で「the dragon Kolaghan」を「龍王コラガン」と訳してしまったのは誤りだったことになる。なぜなら「龍王」は「dragonlord」の訳であり歴史改変後のタルキールでの用語だからだ(さらに言うと、改変後の現在ではマルドゥ族はもう存在していない)。
実は、このカードによく似た、しかし、明確に別の「ソリンの案内人」がかつてある作品に登場したことがある。それが掌編Sorin’s Revelation(公式和訳版ソリンの黙示)に登場したタルキールの現地民である。ソリンは吸血鬼に変化させて案内人とするのだが、この作品では「マルドゥ族」ではなく「ティムール族」であった。歴史改変後の世界を描く掌編Sorin’s Restorationでは、その「ティムール族」の案内人は「アタルカ氏族」へと改変されている。
以上すべての整合性を取って説明をすると、ソリンは歴史改変前のタルキール次元を初めて訪れた際に、最初にマルドゥ族を吸血鬼の案内人とするものの何らかの理由で手放す。その後、掌編Sorin’s Revelationで描かれたように遭遇したティムール族を吸血鬼に変えてウギンの下に案内させた、ということになる。ただし、サルカン・ヴォルが1280年前の過去にさかのぼって歴史を書き換えたことで、それらの出来事はそのままの姿では発生しなかったことになった。ティムール族はアタルカ氏族に書き替わったように、マルドゥ族はコラガン氏族に置き換えられたと考えられる。
このように、歴史改変の複雑な事情がこのカード1枚に詰め込まれているのだ。
血に飢えた血王(Thirsting Bloodlord)
「思い出と経験、愛と悲哀、そういった一生のすべてが一滴ずつこのボトルに凝縮しているのだ。これほどの壮麗な饗宴が他にあるだろうか?」
引用:血に飢えた血王(Thirsting Bloodlord)のフレイバー・テキスト
血に飢えた血王(Thirsting Bloodlord)はアンコモンのクリーチャー・カード。
闇の療法(Dark Remedy)
「彼の体は蠢く闇の蔓で縫い合わされていた。意志も肉体も壊れているというのに、屍術師の魔法が眠りにつくことを許さなかった。」
–クリネア著「骨塔の包囲戦」
引用:闇の療法(Dark Remedy)のフレイバー・テキスト
闇の療法(Dark Remedy)はコモンのインスタント・カード。
フレイバー・テキストはクリネア著「骨塔の包囲戦」(Krinnea, Siege of the Bone Spire)のシリーズの1つ。→詳細は基本セット2020:クリネア著「骨塔の包囲戦」を参照のこと。
野蛮な大喰らい(Savage Gorger)
「水晶のゴブレットから血をすするなんて悠長なのはご免だ。ガブっと噛みついて引き裂きたいんだよ。」
引用:野蛮な大喰らい(Savage Gorger)のフレイバー・テキスト
野蛮な大喰らい(Savage Gorger)はコモンのクリーチャー・カード。
墓起こし(Gravewaker)
それが音を立てずに真夜中の空を飛ぶと、恐ろしい者たちが目覚めて後を追う。
引用:墓起こし(Gravewaker)のフレイバー・テキスト
墓起こし(Gravewaker)はカードセット「基本セット2019」からの再録カード。プレインズウォーカー・デッキにのみ収録で基本セット2020本体には入っていない。イラストは据え置き。フレイバー・テキストは新規のものに差し変わっている。
日和見吸血鬼(Vampire Opportunist)
「牙が欠けちゃったかも。」
引用:日和見吸血鬼(Vampire Opportunist)のフレイバー・テキスト
日和見吸血鬼(Vampire Opportunist)はカードセット「灯争大戦」からの再録カード。プレインズウォーカー・デッキにのみ収録で基本セット2020本体には入っていない。イラストもフレイバー・テキストも据え置きである。
灯争大戦初出時の情報は灯争大戦:日和見吸血鬼を参照のこと。
ソリンの渇き(Sorin’s Thirst)
「意思弱き者の鋼など守りの役には立たぬ。」
引用:ソリンの渇き(Sorin’s Thirst)のフレイバー・テキスト
ソリンの渇き(Sorin’s Thirst)はカードセット「基本セット2012」からの再録カード。プレインズウォーカー・デッキにのみ収録で基本セット2020本体には入っていない。イラストもフレイバー・テキストも据え置きである。
黒のプレインズウォーカー・デッキのカードリスト
1 吸血鬼の王、ソリン(Sorin, Vampire Lord)
クリーチャー(25枚)
2 日和見吸血鬼(Vampire Opportunist)
1 墓起こし(Gravewaker)
4 凶月の吸血鬼(Vampire of the Dire Moon)
4 血に飢えた曲芸師(Bloodthirsty Aerialist)
4 血の強盗(Blood Burglar)
4 野蛮な大喰らい(Savage Gorger)
3 血に飢えた血王(Thirsting Bloodlord)
2 ソリンの案内人(Sorin’s Guide)
1 戦慄の存在(Dread Presence)
インスタント(9枚)
2 闇の療法(Dark Remedy)
4 ソリンの渇き(Sorin’s Thirst)
3 殺害(Murder)
土地(25枚)
25 沼(Swamp)
合計60枚