「Cathedral of Serra」つまり「セラの大聖堂」はカードセット「レジェンド」収録の土地カードである。
今回は、ドミナリア次元のセラ信仰の中心地の1つであるサーシの大聖堂を解説する。
セラの大聖堂の解説
「Cathedral of Serra」つまり「セラの大聖堂」はカードセット「レジェンド」収録の土地カードである。
セラの大聖堂と呼ばれるに値する場所は、ドミナリアの歴史ではいくつか存在している。しかし、その中でも特にこのカードはサーシ(Sursi)の地の大聖堂と結び付けられる。
サーシのセラの大聖堂は、ドミナリア次元におけるセラ信仰の中心地の1つである。AR3780年頃、この地でプレインズウォーカーのセラ(Serra)が亡くなり、彼女の力はサーシの大地に捧げられ聖なる土地となったのだ。セラの没後に修道士ブラザー・アンガス(Brother Angus)が建てた神殿が大聖堂の始まりである。
サーシの大地にはセラが捧げた力が封じられているため、邪悪の侵略を許さぬ聖なる土地となっている。セラ信仰の中心地たる大聖堂には信者の天使や人間、エイヴン1がおり、メサ・ペガサスに騎乗するサーシ騎士団(Knights of Sursi)によって守られている。
セラの大聖堂のストーリー
サーシのセラの大聖堂に関するストーリーを紹介しよう。
原典であるコミック版ホームランドをベースに、設定集The Art of Magic: The Gathering – Dominariaで再整理された設定情報を反映させた。
セラの最期と大聖堂の興り
AR3780年頃、プレインズウォーカーのセラ(Serra)は夫フェロッズ(Feroz)を不慮の事故で亡くし、長年暮らしたウルグローサ次元を離れてドミナリア次元を再訪した。
サーシのベナリア植民地ではセラの信奉者が苦難を受け2さすらい人となっていた。セラは正体を隠したまま、修道士に協力して人々を助けると、やがてセラの化身、再来、聖人とみなされるようになった。
セラは亡き夫フェロッズとの結婚指輪をはめていた。あるとき、黒の敵対プレインズウォーカー3がセラの指輪を強力なアーティファクトと目星をつけて襲ってきた。
最愛のフェロッズを喪い、戦いの人生に疲れていたセラは抵抗らしい抵抗もせずマナを手放し、敵の放った闇のエネルギーに呑み込まれ致命傷を負ってしまった。しかし、命果てる前に自身の力をこの土地に捧げるのだった。こうしてサーシは外敵から守られるセラの聖地となった。
セラの最期を看取ったブラザー・アンガス(Brother Angus)はセラの神殿4を建てた。これがサーシのセラ大聖堂の始まりである。
余談だが、カードセット「基本セット第5版」に再録されたセラの聖騎士(Serra Paladin)の新規イラストには、セラのイメージと共に、背後にコミック版ホームランドと同一デザインの神殿が描かれている。あるいは、このイラストはサーシなのかもしれない。
セラの天使が生まれる聖地
セラの聖地となったサーシでは信者の願いに応えて、新たなセラの天使が誕生することがある。
そもそもセラの天使は、セラ自身の手で創造された天使達であり、その死後には新たに生まれるはずがなかった種族だ。新たな天使の誕生は、セラの力が遺されたサーシの地だからこその奇跡であろう。
他の土地でのセラの天使の誕生は不可能と予想される。
艦の整備士、ティアナ
“Nothing is too broken to mend.”
「修復できないほど壊れるなんて物ないわ。」
引用:艦の整備士、ティアナ(Tiana, Ship’s Caretaker)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
艦の整備士、ティアナ(Tiana, Ship’s Caretaker)は修復時代(AR4500年以降)のサーシで誕生したセラの天使である。
ドミナリア期の連載ストーリー、ドミナリアへの帰還の第4話(原文、公式和訳版)によると、セラの大聖堂で覚醒したティアナは灌漑設備「大機構(The Great Machine)」の守護天使を生来の役目として負っていた。この大機構は、プラトーの頂上に作られたとある街の巨大施設で、遠い川から運河を通して引き入れた水をプラトーの上まで引き上げる生活の要であった。民人は大機構を守護する天使を望み、その願いを受けてティアナが生まれたのである。
ところが、誕生してすぐに任地に赴いた時には、すでに街も大機構も陰謀団の襲撃で廃墟となっており、ティアナはその存在理由を失ってしまった。これはティアナがAR4560年に新生ウェザーライト号の乗組員になる前の出来事である。
大聖堂上空の浮遊する建造物群
カードセット「ドミナリア」のDimitar Marinskiイラスト版の平地(Plains)は、AR4560年頃のサーシの大聖堂上空を表現していると考えられている。
連載ストーリー、ドミナリアへの帰還の第4話(原文、公式和訳版)ではサーシのセラ大聖堂が舞台になり、このイラストが大聖堂上空の建造物群として挿入されたのだ。
浮遊建造物はセラの領土次元と現代ベナリアのステンドグラスの両様式が組み合わさた、修復時代(AR4500年以降)らしい様相である。
セラの大聖堂内の描写でもステンドグラスが言及されていたが、幾たびの大異変の数世紀を乗り越えた大聖堂の現在の姿はどうなっているのだろう。現代らしく改修されたのか、最初のカードイラスト通りのまま残っているのか…。
セラの大聖堂の関連カード
セラの大聖堂のストーリーの次は、その他の関連カードを紹介しよう。
サーシの騎士
サーシの騎士(Knight of Sursi)はカードセット「未来予知」に収録されたクリーチャー・カードである。裂け目時代(AR4306-4500年)のドミナリアに、時の裂け目をくぐり抜けて未来から出現した。
サーシの地の名高いメサ・ペガサス(Mesa Pegasus)にまたがるセラ教の騎士なのだ。
設定集The Art of Magic: The Gathering – Dominariaによると、サーシのセラ大聖堂は「サーシ騎士団(Knights of Sursi)」が防衛しており、団員は高名なメサ・ペガサスをほぼ独占的に騎馬としている。
未来の姿として初登場した経緯を考慮すると、その後の修復時代(AR4500年以降)にサーシ騎士団が結成されたか、既に存在していた騎士団が新たにメサ・ペガサスに騎乗するようになったかのいずれかと考えられる。
ペガサスの駿馬
A pegasus chooses its rider, bearing the worthy into the clouds and tossing all others to the ground.
ペガサスは乗り手を選ぶ。相応しい者を雲上に運び、他の者はすべて地面に落とすのだ。
引用:ペガサスの駿馬(Pegasus Courser)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
ペガサスの駿馬(Pegasus Courser)はカードセット「ドミナリア」に収録されたクリーチャー・カードである。
フレイバー・テキストによれば、ドミナリア次元のペガサスは乗り手を選び、相応しくない者は地上に落とされる。このカードはサーシのメサ・ペガサスに限定されたカードではないが、ドミナリアの一般的なペガサスの性質として紹介しておく。サーシ騎士団はペガサスの厳しい選定眼に合格した騎手なのだ。
孤立した礼拝堂
Serra’s blessing lies strongest upon Sursi, where her holy chapels are untouched even as the Cabal encroaches.
セラの祝福は最も強くサーシに注ぐ。その地にはセラの聖教会があるが、侵入してくる陰謀団も手が出せない。
引用:孤立した礼拝堂(Isolated Chapel)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
孤立した礼拝堂(Isolated Chapel)はカードセット「ドミナリア」で再録され、イラストとフレイバー・テキストが刷新された土地カードである。
この礼拝堂はセラ教を伝えるサーシの教会の1つだ。サーシには大聖堂の他にもこういった地方教会が存在している。
フレイバー・テキストと設定集The Art of Magic: The Gathering – Dominariaによれば、修復時代(AR4500年以降)、大悪魔ベルゼンロック配下の陰謀団がサーシに魔手を伸ばしているが、セラの祝福に守られたこの地にはなかなか手が出せないようだ。
セラの大聖堂のトリビア
マーク・プール(Mark Poole)が担当したセラの大聖堂のイラストには、2つの三日月が描かれている。
ドミナリア次元には月が2つあり、それを示すものであろう。他のカードでもしばしばドミナリアの2つの月は描かれていてお馴染みになっている。
しかし、このカードはその中でも特別な存在である。というのは、この大聖堂こそがドミナリアの2つの月を描出したMTG史上初のカードだからだ。
では、話題も尽きたので今回はここまで。
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- エイヴンはAR4306年以降にオタリア大陸から渡って来た鳥系人型種族だ。それ以前の時代ではまだセラ教の一員ではない
- この時の苦難がどういったきっかけで起こった出来事だったかはいまだ語られていない
- 原典であるコミック版ホームランドの年表で、セラの殺害者は「プレインズウォーカー」と明記しているので確定。その後、別の公式ソースで黒の魔術師などぼかされた表現が行われた。設定集The Art of Magic: The Gathering – Dominariaではそれらすべての可能性を包括して殺害者の正体を曖昧にしている。
- コミック原文は「Temple」