団結のドミナリア:MTGアリーナの豆知識

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今回MTGアリーナで試合前にランダム表示される豆知識の中から、カードセット「団結のドミナリア」に関する内容を取り上げる。

豆知識にはドミナリアの各勢力などに関する貴重な情報を見ることができる。

MTGアリーナの豆知識がどんなものかは前回取り上げた記事(リンク)を参照のこと。

ニューカペナ:MTGアリーナの豆知識
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のカードセット「ニューカペナの街角」のストーリーや設定に関係した『MTGアリーナの豆知識』を収集してまとめた。

※ 進捗状況:2022年9月8現在、豆知識10種類の英語原文・和訳文を収集した。おそらくこの10種類で全パターン揃ったと思われるが、しばらくは他のパターンもある可能性を見込んで収集作業は継続する。

追記(2023年4月11日):豆知識その5:陰謀団の内容で、和訳の誤りに気付いたため加筆した。

団結のドミナリアの豆知識

カードセット「団結のドミナリア」の豆知識は、現在確認できた限りでは、ドミナリアの各勢力を各色につき2つ、合計10勢力を取り上げているようだ。

数日間調査し続けているが10種類までしかパターンは見つかっていない。前回、前々回の豆知識はそれぞれ全10種類だったことからも考えて、恐らく今回も同じだと思われる。



豆知識その1:新アルガイヴ

国王ダリアン四十八世(King Darien XLVIII)

国王ダリアン四十八世(King Darien XLVIII)
公式カードギャラリーより引用

The great island of New Argive is part of the archipelago of Terisiare, which was shattered at the end of the Brothers’ War. It’s currently ruled by King Darien XLVIII, but the dragon Prossh reigns over its Kher ridges.
新アルガイヴの巨大な島は、兄弟戦争の末期に壊滅的な影響を受けたテリシア大陸に位置する群島の一部です。現在は国王ダリアン四十八世がこの地を治めていますが、カー峠にはドラゴンのプローシュが君臨しています。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

気になる部分は2か所。

まず1つ目は氷河期以降のテリシア地方の地勢に関する部分だ。「兄弟戦争の末期に壊滅的な影響を受けたテリシア大陸に位置する群島の一部」と訳されている。「壊滅的な影響」とぼかされていて、テリシア大陸が現存しておりそこの群島の一部が新アルガイヴ島だ、とも読めるような曖昧さがある。

原文の「part of the archipelago of Terisiare, which was shattered at the end of the Brothers’ War」の意味は、「兄弟戦争終焉時に大陸が引き裂かれて生まれたテリシア群島の一部」である。ゴーゴスの酒杯の爆発で、大陸プレートは引き裂かれ、テリシア大陸は大小の群島になってしまったのだ(完全な群島化は氷河期を経て洪水時代になってからになる)。

次に2つ目。昔からのMTG和訳を受け継いだ「カー峠」だが、世界地図にもはっきりと記されるほどの山脈地帯を「峠」と訳す感覚は普通ではないだろう。本サイトでは、この山脈を「カー山脈」と呼称することにしている。1

新アルガイヴの巨大な島は、兄弟戦争終焉時に大陸が引き裂かれて生まれたテリシア群島の一部です。現在は国王ダリアン四十八世がこの地を治めていますが、カー山脈にはドラゴンのプローシュが君臨しています。

豆知識その2:新ベナリア

ベナリアの建国者、トルステン(Torsten, Founder of Benalia)

ベナリアの建国者、トルステン(Torsten, Founder of Benalia)
公式カードギャラリーより引用

The Seven Great Houses rule New Benalia and attempt to live up to a thousand years of heroic ancestors. The current Highest House is House Capashen, the first house to accept the Serran faith.
新ベナリアを統治する七大家は、1000年前の英雄的な先祖に恥じぬ生き方を目指しています。現在の最上位家はキャパシェン家。初めてセラの教義を受け入れた家です。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

和訳文に難ありだ。「1000年前の英雄的な先祖」と訳されている部分が問題で、この公式和訳では1000年前の先祖「しか」含まれていない内容である。しかし、原文は「a thousand years of heroic ancestors」なので「1000年にわたる英雄的な先祖たち」、つまり1000年前から今までの代々の先祖たちが含まれる意味合いなのだ。

新ベナリアを統治する七大家は、1000年にわたる代々の英雄的な先祖に恥じぬ生き方を目指しています。現在の最上位家はキャパシェン家。初めてセラの教義を受け入れた家です。

ベナリアはAR36-37世紀頃に、トルステン・フォン・ウルサス(Torsten Von Ursus)が建国し、以来およそ1000年の歴史を重ねた大国である。トルステンの死後はその遺志を継いだ七候家がベナリアを支えてきたのだ(ただし、七候家の顔ぶれは建国当初から一部入れ替わって入る)。

ドミナリア:トルステン・フォン・ウルサス
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の「トルステン・フォン・ウルサス(Torsten Von Ursus)」を紹介。レジェンドで収録され、団結のドミナリアでリデザインされた。ドミナリアを代表する強国ベナリアの開祖。トルステンの設定を解説する。

豆知識その3:トレイリアのアカデミー

統べるもの、ジョダー(Jodah, the Unifier)

統べるもの、ジョダー(Jodah, the Unifier)
公式カードギャラリーより引用

While original Tolaria was utterly destroyed by Phyrexian Invasion, the idea of unfettered magical learning lives on among the various campuses of the Tolarian Academies. Each wizard school is protected by a magical barrier called the Perimeter.
元のトレイリアはファイレクシアの侵攻によって完全に破壊されてしまいましたが、自由に魔法を学べる場所という理念は現在のトレイリアのアカデミーのさまざまなキャンパスに受け継がれています。魔法学校はそれぞれ、「境界」と呼ばれる魔法のバリアで守られています。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

魔法学校を守る障壁「the Perimeter」が「境界」と訳されている。これはおそらく初和訳ではないだろうか?

豆知識その4:ヴォーデイリア

皇帝ミハイル二世(Emperor Mihail II)

皇帝ミハイル二世(Emperor Mihail II)
公式カードギャラリーより引用

Most of Dominaria is covered in water, and therein lies the global empire of Vodalia. The center of this society dwells in the Voda Sea and modern Vodalia still keeps a wary eye on the activities of the homarids.
ドミナリアのほとんどは水に覆われており、そこにはヴォーデイリア帝国があります。この社会の中心はヴォーダ海にあり、現代のヴォーデイリアもホマリッドの活動に目を光らせ続けています。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

気になる部分が1つ。公式和訳で単に「ヴォーデイリア帝国」と訳している原文は「the global empire of Vodalia」なので、世界的規模の帝国という含みがある。いわば「世界帝国ヴォーデイリア」といったところではないだろうか。

豆知識その5:陰謀団

甦りし悪夢、ブレイズ(Braids, Arisen Nightmare)

甦りし悪夢、ブレイズ(Braids, Arisen Nightmare)
公式カードギャラリーより引用

With Belzenlok and the rest of the Cabal’s leadership slain, a conclave of dementia sorcerers have brought Braids, the Cabal’s former second-in-command, back from dementia space–a place of created nightmares and horrors.
ベルゼンロックをはじめとする陰謀団の指導者たちの死を受けて、狂気の魔術師による集会はかつて陰謀団のNo.2であったブレイズを狂気空間(悪夢や恐怖の怪物が生み出される場所)から引き戻しました。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

陰謀団独特の魔法「狂気魔術(Dementia Magic)」に関係する「狂気空間(Dementia Space)」への簡単な説明がされている。和訳では「悪夢や恐怖の怪物が生み出される場所」となっているが、これは間違いだ。原文は「a place of created nightmares and horrors」なので、「作り出された悪夢や恐怖のいる場所」が正しい。

狂気魔術の使い手は各人ごとに自分の狂気空間を有しており、自分が生み出した悪夢や恐怖をそこにしまっておき、必要に応じて狂気魔術クリーチャーとして召喚して使役するのである。AR4310年、ブレイズは自分の狂気空間内で、自分が従えていた狂気魔術クリーチャーに襲われて命を落としたのだ。

AR4562年現在、復活したブレイズは彼女自身が狂気魔術クリーチャーの悪夢そのものとなっている。

豆知識その6:アーボーグ

ウィンドグレイスの魂(Soul of Windgrace)

ウィンドグレイスの魂(Soul of Windgrace)
公式カードギャラリーより引用

Urborg is now dominated by the Cabal’s enormous Stronghold, but used to be home to Crosis, the Primeval Dragon of death, the infamous necromancer Nevinyrral, and the noble panther planeswalker Lord Windgrace.
現在は陰謀団の巨大要塞に支配されているアーボーグは、かつて死を司る上古族ドラゴンのクローシスや悪名高き屍術師ネビニラル、そして高貴な黒豹のプレインズウォーカーであるウィンドグレイス卿が拠点としていた地です。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

参考までに、暗黒時代にアーボーグを支配した屍術師ネビニラル(Necromancer Nevinyrral)に関しては過去に記事にまとめてある。

統率者レジェンズ:アーボーグの暴君、ネビニラル
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の「アーボーグの暴君、ネビニラル(Nevinyrral, Urborg Tyrant)」を紹介。MTG最古のキャラクター、統率者レジェンズでカード化。有名な「円盤」やストーリーなどを解説する。

豆知識その7:ケルド

連合の大将軍、ラーダ(Radha, Coalition Warlord)

連合の大将軍、ラーダ(Radha, Coalition Warlord)
公式カードギャラリーより引用

Hailing from the barren land of Keld on the far northern continent of Icehaven live the courageous and resilient Keldons. The task of restoring Keld has fallen to Radha, granddaughter of the great warlord Astor and an elf of Skyshroud.
アイスヘイヴン大陸の北に位置する不毛の地ケルドには、勇敢で逞しいケルド人が住んでいます。ケルドの地の復興は、偉大な将軍アスターの孫娘でスカイシュラウドのエルフであるラーダの手に委ねられています。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

最初に公式和訳文を読んだ時から内容に違和感があった。やはり原文を確認すると翻訳が誤っていた。

公式和訳で「アイスヘイヴン大陸の北に位置する不毛の地ケルド」とあるが、これは原文を見ても、地理的に言っても正しくはない。原文は「the barren land of Keld on the far northern continent of Icehaven」なので本来は「遥か北の大陸アイスヘイヴンに位置する不毛の地ケルド」という意味である。アイスヘイヴンの北にはもうドミナリアの北極「北方大陸」しかないほど北の果てにある。そして、アイスヘイヴン内のケルドの聖地で発祥の地である「山(The Mountain)」はこの大陸の南部にあるのだ。

もう1か所はラーダの血統の箇所だ。「偉大な将軍アスターの孫娘でスカイシュラウドのエルフであるラーダ」となっているが、原文は「Radha, granddaughter of the great warlord Astor and an elf of Skyshroud」である。ラーダは「偉大な将軍アスター」を祖父に、「スカイシュラウド・エルフ」を祖母に持つということだ。

刃を持つ者、アスター(Astor, Bearer of Blades)

刃を持つ者、アスター(Astor, Bearer of Blades)
公式カードギャラリーより引用

北の果ての大陸アイスヘイヴンに位置する不毛の地ケルドには、勇敢で逞しいケルド人が住んでいます。ケルドの復興は、偉大な将軍アスターとスカイシュラウド・エルフ女性の孫娘である、ラーダの手に委ねられています。

以上を踏まえて訳し直した。

豆知識その8:シヴ

老いざる革新者、ジョイラ(Jhoira, Ageless Innovator)

老いざる革新者、ジョイラ(Jhoira, Ageless Innovator)
公式カードギャラリーより引用

The isolated continent of Shiv is home to dragons, Ghitu pyromancers, goblins, and viashino, and is nominally lead by the Shivan Nation. Teferi once phased out most of Shiv to save it from the Phyrexians and it is home to the imperative Mana Rig.
隔絶されたシヴ大陸にはドラゴンやギトゥの紅蓮術士、ゴブリン、そしてヴィーアシーノが住んでおり、名目上はシヴ国が統治しています。テフェリーはかつて、ファイレクシアンからシヴを救うためにこの地の大部分をフェイズ・アウトさせました。また、ここには必要不可欠なマナ・リグが存在します。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

「シヴ国」という名称が登場している。これは「Shiv Nation」を訳したものだが、既存の公式ソースでは「シヴの国家」などとされてきたものである。ちなみに英語表記は単数の「Shiv Nation」であったり、複数の「Shiv Nations」であったりとなかなか一定していない用語だ。

豆知識その9:ラノワール

ルアダッハの女王オーリナル(Queen Allenal of Ruadach)

ルアダッハの女王オーリナル(Queen Allenal of Ruadach)
公式カードギャラリーより引用

Some of the reclusive Llanowar Elves are still wholly devoted to Gaea, the Dominaria nature goddess, while many others are more pragmatic. But despite differences in their beliefs they all still punish transgressions of their unwritten laws, often by breaking bones.
ラノワールのエルフの中には、ドミナリアの自然を司る女神ガイアに献身的な者もいれば、より現実的な者もいます。しかし、その信仰に違いはあれども、不文律に違反した者には骨を折るなどの罰を与えています。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

またラノワールのエルフが骨を折っている。

豆知識その10:ヤヴィマヤ

古代学者、メリア(Meria, Scholar of Antiquity)

古代学者、メリア(Meria, Scholar of Antiquity)
公式カードギャラリーより引用

The tremendous coastal forest of Yavimaya has a collective consciousness and remembers the harm it has suffered at the hands of artificers. In the heart of Yavimaya, the largest and oldest magnigoth trees grow nearly a mile high.
ヤヴィマヤの巨大な海岸の森は集合意識を持っており、工匠たちの手によって受けた被害を記憶しています。ヤヴィマヤの中心部では、最大かつ最古のマグニゴスの木が1マイル近い高さにまで成長しています。
引用:上が英語原文、下が公式和訳版

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カードセット「団結のドミナリア」収録のカードの中からピックアップしてストーリーや設定を解説。
  1. 本サイトは以前は「カー分水嶺」と訳していたが、やや日本語的に不自然だったため「カー山脈」に改めた。