ドミナリア史:神話時代

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神話時代(Mythohistory)1はドミナリアの時代区分でAR-20000年頃~AR-15000年の時代である。

神話時代の概略

神話時代(Mythohistory)AR-20000年頃、始祖ドラゴンがドミナリア次元を来訪して卵石を産み落とし、ドミナリア最初のドラゴンであるエルダー・ドラゴン(The Elder Dragons)が誕生する。これが神話時代の始まりである。

ドミナリア:エルダー・ドラゴン(古龍)
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の「エルダー・ドラゴン(古龍)」を紹介。ドミナリア次元のドラゴンの始祖である始まりの世代の情報をまとめた。既知のエルダー・ドラゴンを網羅した。



古龍戦争

エルダー・ドラゴンの勃興を経て、エルダー・ドラゴン同士が殺し合った古龍戦争(The Elder Dragon War)が発生した。古龍戦争を生き残ったエルダー・ドラゴンはわずかである(アルカデス・サボス、クロミウム=ルエル、ヴァエヴィクティス・アスマディ、ニコル・ボーラス、ウギン、パラディア=モルス、ピルー(Piru)が確認できる)。

ドミナリア史:古龍戦争(巨竜戦争)
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)の「古龍戦争(The Elder Dragon War)」を紹介。別名:巨竜戦争。団結のドミナリアでは英雄譚カードとなった。ドミナリア史のエルダー・ドラゴン同士の戦争を取り上げる。

上古族の支配

エルダー・ドラゴンの子供世代の中には上古族(Primevals)と呼ばれる特別なドラゴン5体が存在した(デアリガズ、リース、トリーヴァ、ドロマー、クローシス)。古龍戦争後、上古族はドミナリアのドラゴンと定命の種族を300年間にわたって支配した。

ドミナリア史:上古族の支配
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のドミナリア次元の上古族ドラゴンを取り上げる。神話時代にドミナリアを支配した5体の上古族と、封印した神霊。そしてその時代の「黒曜石の井戸の都市」について語る。

神霊の支配

上古族の支配を打ち破ったのが神霊(The Numena)と呼ばれる魔術師たちだが、上古族の力を受け継いだ神霊3人(クベール、ロワリン、アヴェール)はドラゴンに成り代わっておよそ千年間ドミナリアを支配する。神霊は母なる存在としてドミナリアの魔力の化身であるカローナを生み出すも、カローナともども破滅し、神霊の支配は終焉を迎える。

史上初のプレインズウォーカー同士の決闘

また神話時代には、プレインズウォーカーとなったニコル・ボーラスがマダラ地域において、悪魔的なリバイアサンと戦って倒した。史上初のプレインズウォーカー同士の決闘として語り継がれる。戦いの余波でマダラには世界初の時の裂け目が生じた。

神話時代のストーリーはどこで読める?

神話時代を舞台にしたストーリー作品、あるいは、神話時代に言及するストーリー作品は次のものが挙げられる。

ボーラス年代記

エルダー・ドラゴンの誕生から古龍戦争は、公式サイトの連載ストーリー「ボーラス年代記」2で読める。

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この連載ストーリーで、エルダー・ドラゴンを生み出した者は「始祖ドラゴン(Ur-Dragon)」で確定である。英語原文は「Ur-Dragon」ではなく「progenitor3」としか書かれていないが、統率者2017の解説文で始祖ドラゴンは多元宇宙のドラゴンを生んだ「祖先(progenitor)」とあり、小説中のprogenitorは始祖ドラゴンと判明する。小説和訳版はこの「progenitor」を常に「始祖」と訳している。

その他、ボーラス年代記で描かれた神話時代については、こちらの記事で検証を行っている。

小説Planeshift

上古族ドラゴンのストーリーは小説Planeshiftで読めるが、小説の本筋とは少し離れたサイドストーリー的な扱いである。この小説は時代設定は「神話時代ではない」ファイレクシア侵略戦争の時なので、上古族が現代に復活していく過程で、過去の情報が断片的に明かされていく感じとなっている。ただし、上古族ドラゴン本人(しかも5体全員)が登場するストーリーは現時点でこれ1冊しかないため、上古族ドラゴンを知るには必読書となってる。

小説では人間のセメウス王(King Themeus)が上古族を封じたと記述されているが、オンスロート・ブロック小説で、セメウス王の5人の魔術師が封じたことが明かされる。その時、生き残った魔術師3人が神霊クベール、アヴェール、ロワリンである。

また、上古族が封印された時期はこの小説ではAR-6000年頃とされているが、後のオンスロート・ブロック小説三部作時に設定の上書きがされ更に1万年昔にされている(インベイジョン・ブロックとオンスロート・ブロックの小説三部作は、作者は同じJ・ロバート・キング。この手の時系列のあやふやさはキング作品でたまに出てくる)。

短編Hero of the People

短編Hero of the Peopleでは上古族ドラゴンが支配していた神話時代と、ドラゴンの時代が終焉を迎えた瞬間が描かれている。上古族本人らは登場しないが副王的なドラゴン5体と、ドラゴンに支配された人間のミトロキン村(Mitrokin village)が登場する。ミトロキンがドラゴンに支配されて300年間、上古族の時代が終わりを迎える…。

短編Hero of the Peopleの本筋とは関係ないが序盤に都市ロサノン(Losanon)が顔見世している。ロサノンは神話時代の次の時代になると、スラン帝国の八大都市に名を連ねることになる都市である。その起源はスラン時代よりも千年以上古いことが判明する。さらに小説The Thranによると、八大都市の1つフェノン(Phoenon)はスラン帝国最古の都市という記述があるため、ロサノンと同様にフェノンもまた、上古族の時代に存在していることになる。

さて、このHero of the Peopleは短編集The Dragons of Magicに収録されている。この本にはドラゴン関係の掌編・短編が色々収録されているのでお得感がある。

Future Sight

ニコル・ボーラスと悪魔的リバイアサンの戦い小説Future Sightで語られたもの。史上初のプレインズウォーカー同士の決闘(デュエル)であり、ボーラスが勝者となりドミナリアから次元移動して去っていく。この戦いでマダラの島の1/3が壊滅し、リバイアサンの遺骸である鉤爪門がマダラ沖に残された。小説でのリバイアサンとの戦いは分量はそれほど多くないものの、ニコル・ボーラスの過去の情報が得られる他、この昔話のすぐ後でボーラスと古代の邪悪なプレインズウォーカー・レシュラックとの対決が始まって次元を連続移動するデュエルがじっくり描かれている。

ニコル・ボーラスと悪魔的リバイアサンとの戦いはこの小説現在の2万年前と記述されており、単純計算で4500-20000=AR-15500年頃となる。

Legions & Scourge

神霊のストーリーは小説Legions小説Scourgeで読める。小説のスタイルは上述の上古族ドラゴンのケースと同じで、裂け目時代初期に復活した神霊を通して太古の歴史として語られていく。ただし、脇役だった上古族の場合と違って、復活した神霊は小説のメインキャラクターとなって物語に直接的に干渉し影響を与えているのが救いである。ちなみにこの物語ではカローナが復活し、またもや神霊を破滅させ、最期に史上最大の時の裂け目を発生させる。

関連するストーリー

公式サイトのストーリー連載「ボーラス年代記」ではプレインズウォーカーとなったウギンやボーラスがドミナリアの外の次元を来訪している。ドミナリア神話時代と同時期の別次元として、タルキール、ケファライ、ラヴニカ、瞑想領土、ゼンディカー、イニストラード、ローウィン、アラーラ、シャンダラーの名前が登場している。ただし、タルキールと瞑想領土を除いてほとんど記述はない。

コミック版黒き剣のダッコンは神話時代ではなく伝説時代の物語だが、古龍戦争を生き残ったクロミウム・ルエルピルーの2体が登場する。ピルー本人が見られるのはこの作品のみである。

コミック版エルダー・ドラゴンもまた神話時代の物語ではない。伝説時代の終わりに近い時代、古龍戦争の生存者3体がドメインズに登場する。ヴァエヴィクティス・アスマディパラディア=モルス、そして再びクロミウム・ルエルが活躍する。このコミックでの描写が基本セット2019時の3体の性格や能力のベースとなっている。コミック版エルダー・ドラゴンは全2冊。

コミック版アイスエイジvol.3では三度クロミウム・ルエルが登場する。このコミックではドミナリア氷河期中でのルエルの行動が分かる。ルエルは死亡してしまうものの、その後の時代を描いたコミックシリーズThe Shadow MageとWayfarerではルエルは形を変えて復活登場している。

神話時代のカードセット

ドミナリアの神話時代を主舞台にしたカードセットはないが、基本セット2019ではエルダー・ドラゴンのニコル・ボーラスをテーマに据えたため、部分的に神話時代が舞台になっている。

エルダー・ドラゴンが初登場したカードセット「レジェンド」は時代も場所も特定しない設定であったため、カードセットとして神話時代を扱っているとはいえない。こちらも部分的に神話時代を扱っているに過ぎない。

インベイジョン・ブロック(インベイジョン、プレーンシフト、アポカリプス)は上古族ドラゴンに言及するカードが多数収録されていているものの、小説Planeshiftに当たらない限り、神話時代の情報はほとんど得られない。プレーンシフト収録の上古族ドラゴンに対応する5種類の棲み家カードは神霊によって上古族が封じられていた土地である。神話時代から2万年以上そこに封じられていた。

オンスロート・ブロック(オンスロート、レギオン、スカージ)の小説版である三部作は神霊3人の物語が語られているが、カードセットでは全く神霊には言及していない。この時期のストーリーと設定には連続性の問題が甚大であり、「カードセット」と「公式サイトの背景世界記事」と「小説」とで整合性が取れていない。一応はオンスロート・ブロックではカローナや神霊のクベール、ロワリン関係のカードが登場してはいる(カローナ以外は小説と突き合わせないとそれとは分からないが)。



神話時代の年表

神話時代の時系列はあやふやで公式の情報量がまだまだ足りない。ここでは確定情報およびそこから導き出される年代だけを記す。時代考証の過程はこちらの記事を参照のこと。

AR-20000年頃AR-20500年頃から-20300年頃)
エルダー・ドラゴンの誕生。

エルダー・ドラゴンの誕生から1世紀未満の期間
アルカデスの王国が成立する。
龍殺しの戦い。
ウギンがプレインズウォーカーに覚醒してドミナリアからタルキールに移動。タルキールの開発。

エルダー・ドラゴンの誕生から少なくとも数世紀が経過
古龍戦争が勃発。

AR-16300年頃まで
ニコル・ボーラスがドミナリアの半分を支配。この時点でも古龍戦争は継続中。
ウギンがドミナリアに帰還してニコル・ボーラスはプレインズウォーカーに覚醒する。
ボーラスがドミナリアを去った後、古龍戦争が終戦を迎える。

AR-16300年頃から-16000年頃
上古族ドラゴンがドミナリアを300年間、支配する。
上古族ドラゴンが支配する時代にすでに都市ロサノンとファノンが存在している(後のスラン帝国八大都市)。

AR-16000年頃から-15000年頃
神霊が上古族ドラゴンを封じてその力を奪う。神霊がドミナリアを1000年間、支配する。

AR-15500年頃?
史上初のプレインズウォーカー同士の決闘。ニコル・ボーラスと悪魔的リバイアサンの戦い。

神話時代のまとめ

  1. ドミナリアの神話時代はAR-20000年頃~AR-15000年。
  2. エルダー・ドラゴン、上古族ドラゴン、神霊の時代である。
  3. 神話時代の大まかな年表を作成した。(2022年10月8日に改定)

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  1. 「mytho-(神話の)」+「history(歴史)」で、神話的な時代の歴史のこと
  2. 日本語翻訳あり。ただし、翻訳の誤りが散見される
  3. 先祖という意味