カード紹介:アイスヘイヴンの霜巨人

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Frost Giantこと霜巨人カードセット「レジェンド」で収録されたクリーチャー・カードである。このカードは和訳製品化されていないが、便宜を考えて本記事では「霜巨人」表記で通す。

2021年2月3日追記:このカードのイラストのトリビアを2つ追加した。さらに、カルドハイム次元での霜巨人の存在にも軽く触れた。

2021年6月10日追記:氷巨人イェロール(Yyelor, the Ice Giant)を追記した。

霜巨人の解説

The Frost Giants have been out in the cold a long, long time, but they have their rage to keep them warm.
霜巨人は長い長い間、無視されていた/寒冷地にいた1けれど、激怒がその身体を温めて続けていた。
引用:霜巨人(Frost Giant)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が私家訳

霜巨人(Frost Giant)

データベースGathererより引用

霜巨人(Frost Giant)はファンタジーでは北欧神話系の巨人をモチーフとした存在としてしばしば登場する。MTGにおいてはドミナリア次元に存在が確認されている。

ドミナリア次元では、この双頭の霜巨人はドメインズ地方北部のアイスヘイヴン(ケルドやパルマのあるエローナの亜大陸)の居住種族として知られている。

パルマに住む霜巨人と氷の怪物はケルドの宿敵である。作品に登場した際にはカードイラストとは違った描写がされたことがある。小説Future Sight登場時は全身が(あごひげまで)氷でできた身長50フィート(15m)の巨人であった。

ドミナリアの他では、カルドハイム次元のセルトランド領界にも霜巨人族が存在しているカードセット「レジェンド」から27年後、カードセット「カルドハイム」は北欧神話をモチーフとしており、霜巨人は青の巨人として設定されて複数のカードとして収録されている。



アイスヘイヴンの巨人族

アイスヘイヴンには霜巨人の他にも巨人やそれに類する種族の生息が確認できる。

石巨人(Stone Giant)

石巨人(Stone Giant)
MTG最初の基本セットから収録されていた巨人
データベースGathererより引用

まずは石巨人(Stone Giant)

巨体のオーガ(Hulking Ogre)

巨体のオーガ(Hulking Ogre)
データベースGathererより引用

そしてオーガ

血まなこのサイクロプス(Bloodshot Cyclops)

血まなこのサイクロプス(Bloodshot Cyclops)
データベースGathererより引用

サイクロプスもいる。

氷巨人イェロール

ドミナリアには氷巨人イェロール(Yyelor, the Ice Giant)という存在がいるとされる。イェロールは氷結した北方(the Frozen North)で、硬く冷たい鉄鎖によって縛られ閉じ込められているという。

これは短編集Tapestries収録の短編Heart of Shanodinで語られたものだ。この作品はドミナリア次元のシャノーディンを舞台にした短編であることから、氷巨人イェロールは霜巨人であるかその近縁種、または伝説上の存在であると考えられる。また、「氷結した北方」という地名はこの作品独自のものだが、巨人族の多いアイスヘイヴンであるか、あるいはドミナリアの北極である「北方大陸(Northland)」のどちらかが該当するだろう。

何年も後の作品だが小説Time Spiralを紐解くと、この小説中ではアイスヘイヴンの霜巨人のことを「ice giant」と表記しており、イェロールがアイスヘイヴンの霜巨人である仮説を後押ししてくれている。

ちなみに、私の個人的な観測範囲ではあるけれど、この「氷巨人イェロール」を取り上げて論じているヴォーソスを今まで一度も見た記憶がない。それだけ超マイナー・キャラクターである。

霜巨人のストーリー

霜巨人が物語で大役を果たすことはなかったが、アイスヘイヴン(特にパルマ)の解説において言及されることが何度かあった。

そう言った登場作品は短編Keldon Fireや、時のらせんブロック小説三部作(小説Time Spiral2小説Planar Chaos小説Future Sight)がある。

アイスヘイヴンと巨人族の設定は、小説作品ではなく、むしろMTG初期のカレンダーに詳しく記述されている。3まず、1997年日めくりカレンダーではパルマは戦士と巨人が住む氷の大地とされていた。そして、1997年ドメインズ地図付きカレンダーの方には石巨人諸部族はアイスヘイヴンの土着種族と解説されていた。

また、先述した通り氷巨人イェロール(Yyelor, the Ice Giant)の出典は短編集Tapestries収録の短編Heart of Shanodinである。



クレイトン・エマリィ!

クレイトン・エマリィ小説Jeditカードセット「レジェンド」をテーマに据えたレジェンドサイクル1小説三部作の二作目である。作中で吸血鬼ショークーが霧状の形態を取って襲い掛かる場面が出てくる。冷湿な霧にまとわりつかれたアディラは凍ったように身動きが取れなくなる。その時の霧の形容が「霜巨人の息のように(like the breath of a frost giant)」である。クレイトン・エマリィ作品ではよくあることだが、カード名などのストーリー的な固有名詞に言及するサービス精神が旺盛なのだ。この際、霜巨人が相手を凍り付かせる息を吐くか否かの真偽は問題ではないように思えてならない。

霜巨人のトリビア

Two-Headed Giant of Foriys

Two-Headed Giant of Foriys
データベースGathererより引用

MTG最初のセットであるアルファ版(いわば基本セット初版)には「Two-Headed Giant of Foriys(フォライアスの双頭巨人)」という双頭巨人が収録されている。噂によると、この双頭巨人用イラストがAnson MaddocksDaniel Gelonの2人に重複発注されてしまった。アルファ版ではAnson Maddocksが採用されたが、後にDaniel Gelonの方はカードセット「レジェンド」霜巨人(Frost Giant)に転用されることになった。この一件によって、霜巨人は双頭になったのだという。(出典元

もう1つのトリビア。カードセット「レジェンド」の制作時、霜巨人のプレイテストカードではサンタクロースの仮イラストが使われていた。(出典元

霜巨人の関連カード

カードセット「レジェンド」関連のリスト

レジェンド
マジック・ザ・ギャザリング(MTG)のカードセット「レジェンド」収録のカードの中からピックアップしてストーリーや設定を解説する。
  1. out in the coldには「無視される、孤独である」の成句だが、このフレイバー・テキストは文字通り「寒い外にいる」という意味でも読める。ダブルミーニング
  2. ice giants表記
  3. 雑誌やカレンダーなど一度買い逃すと入手困難でソースを参照しにくいところに、重要な設定情報が記載されて、しかも同じ設定情報が再び別のところで言及されることがない。そういうヴォーソスには難儀で仕方がないケースが最初期のMTGには珍しくなかった。