腐敗した再会(Rotten Reunion)はカードセット「イニストラード:真夜中の狩り」収録のインスタント・カードである。
今回は腐敗した再会のパロディの元ネタを探ってみた。
腐敗した再会の解説
Aunt and Uncle Greyfeld loved dinner guests.
グレイフェルド夫妻は夕食のお客が大好きだった。
引用:腐敗した再会(Rotten Reunion)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
腐敗した再会(Rotten Reunion)はイニストラード次元に属するカードである。
カードのメカニズムを見ると、腐乱を持つ2/2のゾンビ・トークンを出すインスタントである。フラッシュバックがあるため、合計で2回使って2/2ゾンビ(腐乱付き)を2体生成できる。また、唱えたときに墓地のカード1枚を追放することも選べるため墓地対策の効果もある。カードのメカニズムは以上のようなものだ。
では、このカードのイラストとフレイバー・テキストに目を向けてみよう。
イラストには2人のゾンビ化した農家の男女が描かれている。そして、フレイバー・テキストによれば、この2人はグレイフェルド夫妻である。ここでカード名の謎が解ける。
つまり、「腐敗した再会(Rotten Reunion)」とは、腐ったゾンビとなって蘇ったグレイフェルド家の2人が再び出会えた。そういう意味が込められていたのだ。
ちなみに、フレイバー・テキストでは「夕食のお客が大好き」とあるが、生前のグレイフェルド夫妻は夕食にお客を招くのが好きだったのだろう。しかし、ゾンビとなったからには、恐らくはお客さん自身を夕食として食べてしまう、そっちの方で病みつきになってしまったのだ。
腐敗した再会とアメリカン・ゴシック
腐敗した再会のイラストは有名な絵画「アメリカン・ゴシック」のパロディとなっている。「アメリカン・ゴシック」はアメリカの画家グラント・ウッドが描いた油絵だ。
三叉のピッチフォークを持ってオーバーオールを着た男性が右に居て、左側には男性の方を見ている女性がいる。2人の後ろには平屋の家が建っている。これらの要素はアメリカン・ゴシックと同じものである。
アメリカン・ゴシックの理由
しかし、なぜホラー世界のイニストラードで「アメリカン・ゴシック」のパロディ・ネタなのだろう?実は理由がある。
イニストラード次元は今でこそありとあらゆるホラー・ジャンルをテーマにした世界になっているが、初登場時は特に「ゴシック・ホラー」ジャンルをテーマとしていた。
そして、この腐敗した再会は「ホラー版のアメリカン・ゴシック」だ。
すなわち、このカードは「アメリカン・ゴシック・ホラー」というダジャレなのである。(イーサン・フライシャーのコメント)
MTG史上最古のアメリカン・ゴシック
MTG史上ではすでにアメリカン・ゴシックをパロディ化したイラストのカードは存在している。オークの移住者(Orcish Settlers)は1997年のカードセット「ウェザーライト」に収録されたカードだ。こちらはオーク版の「アメリカン・ゴシック」となっている。
腐敗した再会の登場よりも24年も前、既にこんなパロディが存在しているのが歴史のあるMTGらしいところだ。
おまけ:腐敗した再会は夫妻なのか?
本記事最後のこの節はおまけである。私の個人的な妄想含みの考察をちょっと語りたい。
このカードのフレイバー・テキストを見ると、和訳製品版は「グレイフェルド夫妻」の部分は原文では「Aunt and Uncle Greyfeld」となってることに気づいた。直訳すれば「グレイフェルド家のおばさんとおじさん」であるが、おばさんとおじさんが夫婦だ、と解釈するのは何も不自然なことではない。
ただし、夫婦ではないと解釈することも成り立つ書き方でもある(兄妹あるいは姉弟)。
ここで私はピンときた。2人は兄妹に違いないと。
兄妹と緑色の切妻屋根
イラストの男女はグレイフェルド家の兄妹だと考える。すると、2人の後ろの家に別の文脈が浮かび上がってくる。
平屋の家は元ネタの「アメリカン・ゴシック」とはかなり違う形と色をしている。特に屋根だ。
腐敗した再会では「切妻屋根」でしかも「緑色」をしている。
「緑の切妻屋根の家」つまり「グリーンゲイブルズ」の年配の兄妹とすれば…「赤毛のアン」を引き取ったマシュウ・カスバートとマリラ・カスバートの兄妹である。
このカードは「赤毛のアン」のパロディでもあったのだ!大発見をしてしまった!!
根拠の弱い妄想の類だ。ゆめゆめ鵜呑みにすることなかれ。では今回はここまで。
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