イニストラード:引きずり足のゾンビ

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引きずり足のゾンビ(Hobbling Zombie)はカードセット「イニストラード:真夜中の狩り」収録のクリーチャー・カードである。

フレイバー・テキストで何かおかしいぞと引っ掛かりを覚えたカードをピックアップする。

追記(2021年9月27日):「delightful」の辞書的な解釈に関して追記した(こちら)。

引きずり足のゾンビの解説

“I see someone tried to stop you, my pet. How delightful.
–Ghoulcaller Gisa
「いい子ね。誰かがあなたを止めようとしたようだね。なんて喜ばしいことかしら。
–グール呼びのギサ
引用:引きずり足のゾンビ(Hobbling Zombie)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版

引きずり足のゾンビ(Hobbling Zombie)

データベースGathererより引用

引きずり足のゾンビ(Hobbling Zombie)は、イニストラード次元における最強のグール呼びの1人1であるギサ・セカーニ(Gisa Cecani)の配下のゾンビである。

カード名の「Hobbling」は「よたよた・よろよろと歩く」とか「片足を引きずって歩く」とかを表している。そしてイラストを見れば、このカードがなぜそんな歩き方なのか一目瞭然だ。このゾンビは片足をトラバサミの罠にかかった状態であり、そのまま歩くから足を引きずってしまうのだ。

フレイバー・テキストによると、その様子にギサはご満悦のようだが……(詳しくは後述)。



ギサ・セカーニ

素晴らしき復活術師、ギサ(Gisa, Glorious Resurrector)

素晴らしき復活術師、ギサ(Gisa, Glorious Resurrector)
データベースGathererより引用

素晴らしき復活術師、ギサ(Gisa, Glorious Resurrector)としてカードセット「イニストラード:真夜中の狩り」に収録されているギサ・セカーニ(Gisa Cecani)はイニストラード次元の人間女性のグール呼び2である。ギサは人気のあるキャラクターであり、今回が3度目のカード化だ。

ギサは元々グール呼びとしてアンデッドを従えているが、現在は廃墟と化した都市スレイベンを埋め尽くすゾンビの大軍を配下としている。これは2年前にプレインズウォーカーのリリアナ・ヴェス(Liliana Vess)が呼び出してそのままスレイベンの都市に放置したアンデッド軍団を、ギサがそっくり頂戴したものだ。

引きずり足のゾンビ(Hobbling Zombie)もスレイベンに居を構えたギサのペットの1体なのだ。

引きずり足のゾンビのフレイバー・テキスト

“I see someone tried to stop you, my pet. How delightful.
–Ghoulcaller Gisa
「いい子ね。誰かがあなたを止めようとしたようだね。なんて喜ばしいことかしら。
–グール呼びのギサ

引きずり足のゾンビのフレイバー・テキストだが、和訳製品版の日本語版がどうもおかしい。

具体的に言うと「なんて喜ばしいことかしら。」の部分だ。ギサはどういう感情で「喜ばしい」なんて台詞を言っているのか?どういう解釈でこの日本語作文になったのかが分からない。

原文の方は「How delightful.」である。「delightful」は「楽しい」とか「愉快」といった意味の単語である。「How delightful.」ならば「なんて愉快なの。」くらいとなる。

引きずり足のゾンビ(Hobbling Zombie)

データベースGathererより引用

「いい子ね。誰かがあなたを止めようとしたようだね。なんて愉快な格好なの。」
–グール呼びのギサ

トラバサミに足を挟まれたまま引きずって歩くペットのゾンビを見て、なんて愉快なんだろう、と上機嫌になって笑っている。そういう場面である。

ギサは常識に縛られない独特の感性を持っている……いわば奇人変人の類といっていい……人物だ。動く死体の有り様を見てゲラゲラ笑うなんていかにも彼女ならやりそうなことなのだ。



追記:誰かに喜びを与える「楽しい・愉快」

「delightful」は「人に対して大きな喜びを与える」という含みを持った「楽しい・愉快」である、という。だが、その含みの方を強調して「なんて喜ばしいことかしら」と公式和訳版のように訳したらどうだろうか?

お上品に婉曲的にゾンビの様子を嗤っている…そう取れなくもないか。いや、強引だ。やはりそっちでは文章全体の流れや繋がりがおかしいことには変わりない。

むしろ「delightful」は、「ゾンビを見た自分が喜びを与えられている」のではなく「ゾンビを見た誰かに喜びが与える」という意味合いがある点に注目したい。つまり、ギサはトラバサミに挟まれたゾンビの姿を見れば自分だけでなく誰だって愉快な気持ちになる、とそう感じていることになる。

群れの希望、アーリン(Arlinn, the Pack's Hope)

群れの希望、アーリン(Arlinn, the Pack’s Hope)
データベースGathererより引用

ギサはそんなこと言って無自覚に人の死体を冒涜していれば、敬虔なアーリン・コード(Arlinn Kord)か誰かにそのうち分からせられることになるぞ。特にアーリンは以前はスレイベンで暮らしていたので、嗤われているゾンビは彼女のかつての知り合いやもしれないのだから…。

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