森の暗き中心(Dark Heart of the Wood)はカードセット「ザ・ダーク」初出のエンチャントである。
今回は、ドミナリア次元ジャムーラ大陸にある森の暗き中心を紹介する。本記事の最後では、ラヴニカ次元を表した再録版にも触れている。
追記(2022年1月2日):全体的に手を入れ、カード名に関する節を新設した。
森の暗き中心の解説
Even the Goblins shun this haunted place, where the tree limbs twist in agony and the ground seems to scuttle under your feet.
ゴブリンでさえ薄気味悪いこの場所を避けている。木々の大枝は苦しみに捻じれ、地面は足元でさざめいているような感じがするのだ。
引用して私家訳:森の暗き中心(Dark Heart of the Wood)のフレイバー・テキスト
森の暗き中心(Dark Heart of the Wood)は、ドミナリア次元のジャムーラ大陸南西部スカーウッドの奥地である。
ここは虎人(Tigerfolk)の聖地であり、虎人の「ペンドレル峡谷の礼拝堂(The Tabernacle at Pendrell Vale)」と都市が存在する。
フレイバー・テキストの文面を読むと、おどろおどろしく物騒で、とても虎人の都市が築かれている場所とは見えない。小説Hazezonの描写ではこの土地は7世紀もの間、見捨てられた廃墟であって虎人にとっても伝承の聖地とされていた。虎人の英雄ジェディット・オジャネン(Jedit Ojanen)が怪物「ウル=ドラゴ(Ur-Drago)」を退治し、復讐を誓う虎人女性の霊を祓うまでは、実際に怪物が徘徊する不気味な廃墟に過ぎなかった。
ジェディットは後年、虎人をまとめて国を興し、ペンドレル峡谷の礼拝堂と都市を再建する。おそらくその頃には「森の暗き中心」の様相も以前と変わったものになっていただろうが、短くまとめられた小説エピローグからはそれを想像することしかできない。
森の暗き中心のカード名
このカードはカードセット「ラヴニカ:ギルドの都」での再録時に始めて和訳されて「森の暗き中心」と名付けられた。しかし、カードセット「ザ・ダーク」のオリジナル版のイラストをよく見ると、赤い血管が浮き出た黒い心臓が描かれていた。したがって、本来このカードのカード名「Dark Heart of the Wood」は「森の闇の心臓」を意味していたはずなのである。
とはいえ、ストーリー作品に登場した際はジャムーラの地名として「スカーウッドの森の中心」を指し示しており、「森の暗き中心」という翻訳が誤りだったとまでは言えない。
森の暗き中心のストーリー
クレイトン・エマリィによるレジェンドサイクル1小説三部作完結の小説Hazezonで登場した。
森の暗き中心のトリビア
このカードはMTGでは「史上初のクリーチャーでも伝説でもない多色カード」である。
ちなみに、このカードが収録されたカードセット「ザ・ダーク」はドミナリア暗黒時代をテーマとしていて、多くのカードがテリシア大陸を舞台にしている。このカードは「ザ・ダーク」にいくつかある例外の1つで、暗黒時代にもテリシアにも属さない(後付けされた)設定のカードである。
また、このカードはカードセット「ラヴニカ:ギルドの都」で再録されている。ドミナリア次元からラヴニカ次元に設定舞台が移ったことで、この「森の暗き中心」は黒緑のギルド「ゴルガリ団」に属する場所を表している解釈になった。MTGではお馴染みの手法ではあるが、再録カードセットに応じて設定を変化させる柔軟さがすばらしい。
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