伝説時代(Time of Legends)はドミナリアの時代区分でAR-5000年~AR0年の時代である。
伝説時代の概略
伝説時代はドミナリアの伝説的な英雄(ヒーロー)やヴィランの物語が発生した時代とされている(例えばシヴィトリ・スカーザムや黒き剣のダッコン、沼地の王ソルカナー、堕天使トラインの物語などである)。
この時代にジャムーラ大陸北西部にザルファー王国が建国されている。テリシア大陸でも次のアンティキティー戦争期の礎となる国々がこの伝説時代に形成されている。サーペイディア地方のヴォーデイリア帝国や漆黒の手教団の起源もこの時代である。
伝説時代の末期はむしろ次のアンティキティー戦争期の前史としての性格が強い。例えば、テリシアの諸都市国家は伝説時代に起源をもつと考えられるが、歴史的な扱いではアンティキティー戦争期と関連付けて語られることが多いだろう。
伝説時代トリビア
伝説時代は「The Art of Magic: The Gathering – Dominaria」できちんと定義された時代だが、この本では歴史指標の項目で短く1文だけ、本全体を眺めまわしてもごくわずかしか触れられていない。
時代区分としての「Time of Legends」という名称は公式テキストの中では、PCゲーム「Battlemage」のクリスティナのキャラクター解説文でくらいしか見つけられない。おそらくそこが出典であろう。
カードセット「レジェンド」のキャラクター、ジェディット・オジャネンのコミックや小説三部作でも「Time of Legends」という表現がされていたが、こちらはレジェンドのキャラクターたちが活躍している時代くらいの意味合いに過ぎない。時代設定も伝説時代より3000年以上後の近代であった。
ザルファーの建国がこの時代であることは、おそらく「The Art of Magic: The Gathering – Dominaria」で「初めて公式ソースで」記載された。この設定は、2000年頃の熱心なファンによる個人サイト「The Legends of Magic」で「ザルファー王国は5000年を超える歴史を有する(つまり、AR-1000年頃かそれ以前の建国になる)」との旨が掲示されたのが、遡れる限りの最初である。ファンの非公式設定が公式化した例の1つとなるだろう。1
伝説時代のストーリーはどこで読める?
伝説時代の主なストーリーはアルマダ・コミックの作品である。
コミック版黒き剣のダッコンは黒き剣のダッコンが主役のコミックである。
掌編The Dragon Warはシヴィトリ・スカーザムと沼地の王ソルカナーが登場する物語で、コミック版黒き剣のダッコンの巻末に掲載されている。
コミック版堕天使はセラの天使トラインが堕天使に堕とされる物語。
コミック版黒き剣のダッコン、掌編The Dragon War、コミック版堕天使はコロンドール大陸内を舞台としており、互いに時代設定がかぶっている。スラン帝国の崩落(AR-5000年頃)から数千年後で、アンティキティー戦争の数世紀前に発生した一連の出来事となっている。
そして、コミック版エルダー・ドラゴンはエルダー・ドラゴンのクロミウム・ルエル、ヴァエヴィクティス・アスマディ、パラディア=モルスの物語である。場所は変わってドメインズ地方。兄弟戦争の数世紀前、コミック版黒き剣のダッコンよりも後の出来事である。
関連するストーリー
小説Final Sacrificeでは、ラト=ナム大学の遺跡に過去の英雄の絵画が描かれていたことから、それらの人物は伝説時代に生きていたと思われる。絵画を見た登場人物が認識できたのはジャック・ル・ヴェール(Jacques le Vert)、レディ・エヴァンジェラ(Lady Evangela)、マーホルト(Marhault)2である。
コミック版フォールン・エンパイアによるとテヴェシュ・ザット(Tevesh Szat)は2000年生きている。フォールン・エンパイアの時代設定はAR170年頃なので単純計算で170-2000=AR-1830年頃誕生となる。誕生地はおそらくサーペイディア大陸である。
コミックの情報を考慮するとプレインズウォーカーのセラ(Serra)とファラリンは伝説時代かそれ以前の生まれである。セラはコミック版堕天使ですでに天使を創造していないといけない。ファラリンはコミック版エルダー・ドラゴン現在時点よりも前にヴァエヴィクティス・アスマディに幼体化の呪いをかけている必要がある。
PCゲーム「Battlemage」の解説によるとプレインズウォーカーのクリスティナは伝説時代に誕生した。
小説The Brothers’ Warではアンティキティー戦争期前のテリシアの状況が散見される。
小説The Gathering DarkはAR-500年頃のゼゴンのネダストファライツ女王統治時代への言及がある。
短編集The Colors of Magic収録のExpeditions to the End of the Worldはプレインズウォーカーに覚醒する前のボウ・リヴァーの人生が描かれている。記述から計算すると彼の誕生はAR0年以前でないと少々おかしなことになる(あまりにも若すぎる時に父親になってしまう)。→詳細はこちらを参照。
ザルファーとヴォーデイリアの建国時期は「The Art of Magic: The Gathering – Dominaria」が出典である。
カードセット「モダンホライゾン2」の戦慄の朗詠者、トーラック(Tourach, Dread Cantor)の解説文において、トーラックが伝説時代のおそらく最後の数世紀内に漆黒の手教団を創設したことが明らかになった。
伝説時代のカードセット
伝説時代の英語原文は「Time of Legends」であり、カードセットの「レジェンド」の英名も「Legends」と同じである。そのため勘違いしやすいが、カードセットのレジェンドは伝説時代を必ずしも舞台にしてはいない。
レジェンドのカードは元々、多元宇宙の次元や時代の中からピックアップされたものと説明されていた。レジェンドに関連する各種ストーリーは長い年月を経て少しずつ埋められていったものである。結果的に、レジェンドの舞台は「大部分のカードがドミナリアに属して」おり、時代設定も「神話時代よりも過去からドミナリア近代まで」の非常に幅広い期間を範囲に収めていることになった。
設定の言及がないレジェンドのキャラクターはドミナリアの伝説時代の人物と考えるのはやや早計だと思われる。
伝説時代の年表
AR-5000年~AR0年(時期不明)
クリスティナの誕生。
おそらくスラン帝国の崩壊を機に、機械文明を忌避した人々がアルゴスのシタヌールに移住する。
ファラジがテリシア大陸大砂漠に居住する。
テリシア東部海岸に海洋を渡ってきた人々が住み着く(後のアルガイヴ、ヨーティア、コーリス)。
ザルファー王国の建国。
ヴォーデイリア帝国の建国。
AR-3000年~兄弟戦争の数世紀前
ドミナリアにシヴィトリ・スカーザムが来訪し、コロンドール大陸でスカーザム・ドラゴンの群れが暴れまわる。毒によってドラゴンは1体を残して殺され、シヴィトリ・スカーザムはドミナリアを去る。
ジアドロン・ディハーダがコロンドールに立ち寄り、森の精が沼地の王ソルカナーへと変えられる。
トラインが召喚され、堕天使として魔術師ザールに346年間隷属する。トラインが死亡しエスキルがプレインズウォーカーに覚醒する。
黒き剣のダッコンとディハーダの戦争。エルダー・ドラゴンのピルーが死亡しゴルソノア決闘峡谷が形成される。ドミナリアの大ドルイドの血統カルサリオン家が誕生する。
沼地の王ソルカナーが最後のスカーザム・ドラゴンを召喚して使役しようと企む。
兄弟戦争の数世紀前
ドメインズのモルスの谷でパラディア=モルスが封じられる。80年後にヴァエヴィクティス・アスマディによって復活するが、クロミウム・ルエルによって再封印される。ヴァエヴィクティス・アスマディは死亡。
サーペイディアにおいて、トーラックがアイケイシアのライトバー教団から分離した「漆黒の手教団」を創設した。
AR-912年
ペンレゴンがスラン時代の図書館跡地に創設された(アルガイヴ国の始まり)。
AR-500年頃
アルガイヴの戦士女王の統治。
ゼゴンのネダストファライツの統治。ゼゴンはトマクルの支配下から独立する。
AR-100年頃~AR0年
ヨーティアの大将軍(カイラの父)が剣の境界地域からファラジのスワルディ族を駆逐する。
領土を追われたスワルディ族が苦難を経て、ファラジ内での勢いを増していく。
ヨーティアにボウ・リヴァーが誕生する(詳細)。