カードセット「基本セット2020」収録の多色カード一覧。
基本セット2020自体にはストーリー的な柱がないので、個別記事を作るまでもないカードはここにまとめている。
公式カードギャラリーに全カード登録された同日中にこちらにも多色カード全登録済み(2019年6月26日)。
基本セット2020 ブースターパック 英語版 36パック入りBOX(AMAZON)
基本セット2020 ブースターパック 日本語版 36パック入りBOX(AMAZON)
基本セット2020の多色の傾向
カードセット「基本セット2020」収録の多色カードは全16種類(1種類はプロモカード)。その内訳は以下の通り。
2色の色の組み合わせ10種類に各1種類のアンコモン・カード(計10種)。
3色の楔(くさび)の色の組み合わせ5種類に各1種類の神話レアの伝説のクリーチャー・カード(計5種)。
ボックス購入特典プロモカードとして、赤緑白の神話レアの伝説のクリーチャー・カードが1種類ある。これの他には、3色の弧(こ)の色の組み合わせの他4パターンは収録されてない。
上述した神話レアの伝説のクリーチャーの計6種類の内、カーリア(Kaalia)とオムナス(Omnath)は既存キャラクターの再カード化である。他4種類は新規のカード化。
- 隠された手、ケシス(Kethis, the Hidden Hand)は、黒カードの殺害(Murder)と対称な対応(Scheming Symmetry)のフレイバー・テキストに登場している。
- 冒涜されたもの、ヤロク(Yarok, the Desecrated)は、青と黒と緑のカードで「バーラ・ゲドの哀歌」シリーズとしてのつながりが認められる→青:ヤロクの波壊し(Yarok’s Wavecrasher)、黒:ヤロクの沼潜み(Yarok’s Fenlurker)、緑:林間の癒し手(Healer of the Glade)。
- 再誕の天使、リエーン(Rienne, Angel of Rebirth)と風の憤怒、カイカ(Kykar, Wind’s Fury)は他のカードでの言及は見当たらない。
フレイバー・テキストには以下のようなキャラクターがおそらく初登場している。
- オーガの指導者、ウェリス大尉(Captain Wellis, ogre wrangler)→オーガの包囲破り(Ogre Siegebreaker)
- 荒野の案内人、スカーク・ハブネット(Skerk Hobnett, wilderness guide)→赤:無法の猛竜(Marauding Raptor)、多色:鉄根の大将軍(Ironroot Warlord)
- 墓の哲人、ジェデグ(Jeddeg, philosopher of graves)→緑:土覆いのシャーマン(Loaming Shaman)、多色:腐れ蔦の再生(Moldervine Reclamation)
- 海岸ゴロ、シャフリング・フルム(Shafring Hulm, beachcomber)→発現する浅瀬(Risen Reef)
白青アンコモン
天穹の鷲(Empyrean Eagle)
空に舞う鳥は皆この精霊の雛であり、安全を求めて翼の下に集まる。
引用:天穹の鷲(Empyrean Eagle)のフレイバー・テキスト
天穹の鷲(Empyrean Eagle)
青黒アンコモン
秘本綴じのリッチ(Tomebound Lich)
秘本綴じのリッチ(Tomebound Lich)
黒赤アンコモン
オーガの包囲破り(Ogre Siegebreaker)
“What he doesn’t burn, he smashes.”
–Captain Wellis, ogre wrangler
「あいつはね、燃やせない物は砕いてしまうのよ。」
–オーガの指導者、ウェリス大尉
引用:オーガの包囲破り(Ogre Siegebreaker)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
オーガの包囲破り(Ogre Siegebreaker)
フレイバー・テキストの「オーガの指導者、ウェリス大尉(Captain Wellis, ogre wrangler)」は今回が初登場か。
「Captain」を「大尉」、「wrangler」を「指導者」と訳しているのが引っ掛かる。ウェリスの来歴が判明するまで、ここにメモしておく。
赤緑アンコモン
這い絡む火跡(Creeping Trailblazer)
野火の破壊力とジャングル蔦の執拗さを併せ持つ。
引用:這い絡む火跡(Creeping Trailblazer)のフレイバー・テキスト
這い絡む火跡(Creeping Trailblazer)
このカードのカード名はダブルミーニングである。
「Trailblazer」は普通は「道に目印をつける者」「先駆者、草分け」の意味である。これを「trail」「blaze」「er」に分解してみる。「trail」は「通った跡」のこと。「blaze」は「樹木に目印を付ける」の他に「燃える、輝く、陽が照りつける」の意味がある。これらを「…する者」を意味する「er」を加えてまとめると「Trailblazer」は「燃える跡を残す者」くらいの意味合いとなる。
イラストやフレイバー・テキストも考慮に入れると、このエレメンタル・クリーチャーが通り過ぎると燃え跡を残していくようである。
緑白アンコモン
鉄根の大将軍(Ironroot Warlord)
「一人でいれば要塞。仲間を率いていれば破城槌ですね。」
–荒野の案内人、スカーク・ハブネット
引用:鉄根の大将軍(Ironroot Warlord)のフレイバー・テキスト
鉄根の大将軍(Ironroot Warlord)
MTGにおいてカード名の「Ironroot」といえば、カードセット「基本セット第1版(アルファ版)」収録の「鉄の根の樹人族(Ironroot Treefolk)」が思い出される。そこでは「鉄の根」と訳されていたが、今回は先例には倣わずに「鉄根(てっこん)」と短くまとめている。
同じツリーフォークであることから考えて、この「鉄根の大将軍」は戦闘に長けた「鉄の根の樹人族」の仲間なのであろう。
荒野の案内人、スカーク・ハブネット(Skerk Hobnett, wilderness guide)は今回が初登場か。赤カードの無法の猛竜(Marauding Raptor)でも登場している。
白黒アンコモン
死体騎士(Corpse Knight)
「骨白の砦から現れた騎士たちを見ると、女王の兵士たちは怖じ気づいた。」
–クリネア著「骨塔の包囲戦」
引用:死体騎士(Corpse Knight)のフレイバー・テキスト
死体騎士(Corpse Knight)
フレイバー・テキストはクリネア著「骨塔の包囲戦」(Krinnea, Siege of the Bone Spire)のシリーズの1つ。→詳細は基本セット2020:クリネア著「骨塔の包囲戦」を参照のこと。
青赤アンコモン
稲妻の嵐族(Lightning Stormkin)
“I strike in the same place as many times as necessary.”
「必要なら何度でも、同じ場所に落ち続ける。」
引用:稲妻の嵐族(Lightning Stormkin)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
稲妻の嵐族(Lightning Stormkin)は人型エレメンタル族(エレメンタルキン)の1種。
フレイバー・テキストの原文によるとこの発言者は「I」つまり「稲妻の嵐族自身」である。
また、「strike」は「打つ、殴る、攻撃する」の意味を持つが、このカード自身が稲妻の性質を持たされているためか、「(稲妻が)落ちる」と訳している。
黒緑アンコモン
腐れ蔦の再生(Moldervine Reclamation)
“The heroes of the past nourish our spirits by their example–and nourish our crops by their decay.”
–Jeddeg, philosopher of graves
「過去の英雄は模範により我々の精神を滋養し、また腐敗により我々の作物を滋養する。」
–墓の哲人、ジェデグ
引用:腐れ蔦の再生(Moldervine Reclamation)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
腐れ蔦の再生(Moldervine Reclamation)
「腐れ蔦(Moldervine)」というとカードセット「ラヴニカ:ギルドの都」収録の「腐れ蔦の外套(Moldervine Cloak)」が存在する。そちらはゴルガリ団に属するカードであるが、腐れ蔦の再生は黒緑カードなのでゴルガリと色が一致する。フレイバー・テキストの内容もゴルガリ的である。したがって、このカードはラヴニカ次元に属する可能性がある。
墓の哲人、ジェデグ(Jeddeg, philosopher of graves)は今回が初登場か。緑カードの土覆いのシャーマン(Loaming Shaman)でも登場している。ジェデグに言及するカードは2種類ともラヴニカのゴルガリとの関連が見出せる。ラヴニカ出身者でゴルガリの一員かもしれない。
赤白アンコモン
空騎士の先兵(Skyknight Vanguard)
「跳べ!今だ!」
引用:空騎士の先兵(Skyknight Vanguard)のフレイバー・テキスト
空騎士の先兵(Skyknight Vanguard)はイラストを見る限り、ラヴニカ次元のボロス軍所属の空騎士である。巨大なロック鳥に乗って空を翔ける騎士である。
このカードでは空騎士はボロスの兵士を相乗りさせて戦場まで輸送している。
緑青アンコモン
発現する浅瀬(Risen Reef)
“No, not, ‘washed’ ashore. It walked ashore.”
–Shafring Hulm, beachcomber
「違うって、海岸に『あった』んじゃない。海岸を歩いてたんだ。」
–海岸ゴロ、シャフリング・フルム
引用:発現する浅瀬(Risen Reef)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下が和訳製品版
発現する浅瀬(Risen Reef)
海岸ゴロ、シャフリング・フルム(Shafring Hulm, beachcomber)は今回が初登場か。
フレイバー・テキストの原文は似た音の言葉の対応関係が面白い雰囲気を出している。前半の「washed ashore」はよく使われる表現で「海岸に打ち上がった」という意味。後半の「It walked ashore」は「それが海岸を歩いていた」の意だが、「それ(It)」とはこの発現する浅瀬のことと推測できる。
シャフリング「Reef(浅瀬)が海岸を歩いてたんだ。」
話し相手「Reef(折り畳んだ帆1)が海岸に打ち上げられていたって?」
シャフリング「違う違う、海岸に打ち上がったんじゃない。海岸を歩いてたんだ。」
フレイバー・テキストの直前からはこんなやり取りがあったのではないだろうか?
「beachcomber」とは「浜の漂着物や落とし物を拾い集める人」などの意味がある。和訳版では「海岸ゴロ」という見慣れない言葉に訳されている。私はこのカードの他での「海岸ゴロ」の使用例を探し出せなかったが、「beachcomber」の訳に「波止場ごろ(波止場をうろつくごろつき・浮浪者)」というものがあったので、それに類する意味合いを込めて翻訳したのだろう。
赤緑白神話レア
再誕の天使、リエーン(Rienne, Angel of Rebirth)
再誕の天使、リエーン(Rienne, Angel of Rebirth)
基本セット2020ボックス購入特典プロモカードである。
赤白黒神話レア
天頂の探求者、カーリア(Kaalia, Zenith Seeker)
天頂の探求者、カーリア(Kaalia, Zenith Seeker)はアラーラ次元の伝説の人間・クレリック。
長い間アラーラは5つの断片に分割されて存在していた。アラーラ・ブロックのストーリーを経て、アラーラが元通りの1つの次元へと戻った時代、バント出身のリアは数奇な運命によって天使・悪魔・ドラゴンを使役できる現在のカーリアの姿となった。カーリアのカード化は今回で2度目となる。
緑青赤神話レア
乱動の座、オムナス(Omnath, Locus of the Roil)
乱動の座、オムナス(Omnath, Locus of the Roil)はゼンディカー次元の伝説のエレメンタル。
かつてオンドゥ大陸に封じられていた、ゼンディカーの獰猛なマナの具現化した存在である。カード化されたのは今回で3度目になる。
白黒緑神話レア
隠された手、ケシス(Kethis, the Hidden Hand)
「ペンは王冠よりも強い。」
引用:隠された手、ケシス(Kethis, the Hidden Hand)のフレイバー・テキスト
隠された手、ケシス(Kethis, the Hidden Hand)は伝説のエルフ・アドバイザー。
ケシスの出身次元は明示的ではないものの、背景の窓から覗く様子からはフィオーラ次元ではないかと思われる。
カードセット「基本セット2020」では殺害(Murder)と対称な対応(Scheming Symmetry)のフレイバー・テキストにも登場している。
青赤白神話レア
風の憤怒、カイカ(Kykar, Wind’s Fury)
「激しい強風が正義の怒りを煽り立てる。」
引用:風の憤怒、カイカ(Kykar, Wind’s Fury)のフレイバー・テキスト
風の憤怒、カイカ(Kykar, Wind’s Fury)は鶴の特徴を持つエイヴンの伝説の魔術師。
エイヴンは鳥系人型種族として多くの次元に存在が認められるが、カイカのような鶴系統のエイヴンがどの次元に生息する種族かはまだ分からない。
黒緑青神話レア
冒涜されたもの、ヤロク(Yarok, the Desecrated)
「ヤロクの苦悩は 荒廃の内
堕ちる大地は バーラ・ゲド。」
–バーラ・ゲドの哀歌、第1節
引用:冒涜されたもの、ヤロク(Yarok, the Desecrated)のフレイバー・テキスト
冒涜されたもの、ヤロク(Yarok, the Desecrated)はゼンディカー次元の伝説のエレメンタル・ホラー。「バーラ・ゲドの哀歌」シリーズその1。
詳細は個別記事冒涜されたもの、ヤロク(Yarok, the Desecrated)を参照。