灯争大戦:崇高な工匠、サヒーリ

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崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)カードセット「灯争大戦」収録のプレインズウォーカー・カードである。

崇高な工匠、サヒーリの解説

崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)

データベースGathererより引用

崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)は灯争大戦のストーリー「第二幕七場(Act2, Scene7)」に属するカードとして紹介されている(WAR Story Scenes参照)。

サヒーリ・ライ(Saheeli Rai)はカラデシュ次元出身の人間女性のプレインズウォーカーである。カラデシュでは当代最高の金属細工師と評価される工匠であり発明家である。最小の虫サイズから最大の象サイズまで、生物型の金属製アーティファクトを創造できる。

2016年のカラデシュ・ブロックが初出のキャラクターであり、同郷のプレインズウォーカーにはチャンドラ・ナラー(Chandra Nalaar)ドビン・バーン(Dovin Baan)がいる。

イクサラン次元のストーリーのエピローグにおいて、次元移動してカラデシュを訪問したファートリ(Huatli)は、サヒーリと知り合いになっている。灯争大戦でも2人で登場することが予想される。



崇高な工匠、サヒーリのトークン

霊気装置トークン

崇高な工匠、サヒーリが生成する霊気装置トークン
公式記事The Tokens of War of the Sparkより引用

崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)は条件を満たすと霊気装置トークンを生成するメカニズムを持っている。このトークンは1/1のアーティファクト・クリーチャーだ。霊気装置はカラデシュ次元で用いられる機械である。

このトークのイラストを見ると、人々の足元をちょこまかと移動する小型の機械が描かれている。カードセット「灯争大戦」の各種カードや小説War of the Spark: Ravnicaを見ると、サヒーリはこの霊気機械に限らず様々なバリエーションの機械を操っている。

崇高な工匠、サヒーリのフレイバー・テキスト

崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)

崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)
ステンドグラス・デザイン版
公式記事より引用

Magic: The Gathering Arena(マジック:ザ・ギャザリング アリーナ)」のステンドグラス・デザイン版、崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)にはフレイバー・テキストが特別に設けられている。

Saheeli pulled out a small silver whistle. She puckered her lips and blew; the whistle emitted no audible sound. But the three remaining flying bandar heard its call and sprang into action, each latching onto a horse-sized thopter to take full control of its clockwork mechanisms. Saheeli smiled.
“Baan’s not the only one who has prepared for his opponents.”
–Saheeli Rai, War of the Spark: Ravnica by Greg Weisman
サヒーリは小さな銀の笛を取り出した。唇を尖らせ息を吹き込む–笛が発する音は、その場にいる者には聞こえない。だが上空で待機していた3体のサルが呼びかけに応じて素早く動き出した。それぞれが馬ほどの大きさの飛行機械に掴まり、機械仕掛けの乗り物を制御していた。サヒーリは笑顔を見せる。
「『徹底的に備えている』のはバーンだけじゃない」
–サヒーリ・ライ(Greg Weisman著『War of the Spark: Ravnica』より)
引用:崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)のフレイバー・テキスト
上が英語原文。下がMTGアリーナの和訳

サヒーリのフレイバー・テキストは新規のものではなく、小説War of the Spark: Ravnicaの第44章からの引用である。

ただし、小説原文とは冒頭文が異なっている。フレイバー・テキストの冒頭「Saheeli pulled out a small silver whistle.」は原文では「Lavinia nodded to Saheeli, who nodded back and then pulled out a small silver whistle.」である。原文を訳すなら「ラヴィニアは合図を送ると、サヒーリはうなずき返して小さな笛を取り出した。」となり、ラヴィニアの部分を省略した文章に変えられているのだ。

アリーナ和訳文の問題点

アリーナの和訳文は内容に2つ問題がある。

まず第一に「サル」と訳されている原文は「bandar」である。これはカラデシュ次元に生息する生き物のことで「猫猿」が定訳である。ただの猿ではなく猫の特徴も備えており、カードでのクリーチャー・タイプは「猫・猿」となっている。

狡猾な猫猿(Wily Bandar)

猫猿(bandar)の一例
狡猾な猫猿(Wily Bandar)
データベースGathererより引用

このフレイバー・テキストでは猫猿は本物の生き物ではなく、サヒーリが用意した機械仕掛けである。6枚の翼があって飛行可能であり、大きさはサヒーリの不ぶりな握り拳にも満たないほどだ。

そして第二の問題点は、猫猿の行動に関する部分「それぞれが馬ほどの大きさの飛行機械に掴まり、機械仕掛けの乗り物を制御していた。」のところにある。この和訳文では、サヒーリの猫猿が飛行機械を操縦して登場した、という場面に読めてしまうが、小説はそういう描写ではない。

ドビン・バーン(Dovin Baan)の守る不滅の太陽(Immortal Sun)を攻略に向かったサヒーリたちを、ドビンの飛行機械の群れが迎撃してきた。飛行機械は小型で蜂サイズ、大型は馬ほどの大きさであった。そこでサヒーリは6枚翼の猫猿型機械人形で対抗した。という流れがあっての引用部分になる。

では原文の「each latching onto a horse-sized thopter to take full control of its clockwork mechanisms.」は実際はどういう場面か。訳すなら「それぞれが馬ほどの大きさの飛行機械にくっつくと、機械仕掛けの装置を完全掌握した。」となるだろう。つまり、サヒーリの猫猿がドビンの飛行機械にしっかりとくっついて、装置に干渉することでコントロールを今まさに奪い取った、という場面なのだ。

サヒーリは小さな銀の笛を取り出した。唇を尖らせ息を吹き込む–笛が発する音は、その場にいる者には聞こえない。だが上空で待機していた3体の猫猿が呼びかけに応じて素早く動き出した。それぞれが馬ほどの大きさの飛行機械にくっつくと、機械仕掛けの装置を完全掌握した。サヒーリは笑顔を見せる。
「『徹底的に備えている』のはバーンだけじゃない」

修正するならこんな感じになるだろう。サヒーリの「徹底的な備え」とはドビンの機械を奪い取って逆に利用してしまう猫猿機械の存在であったのだ。

崇高な工匠、サヒーリの日本オリジナルアート版

崇高な工匠、サヒーリ(Saheeli, Sublime Artificer)
日本オリジナルアート版
公式記事より引用

カードセット「灯争大戦」のプレインズウォーカー・カードには、日本オリジナルアート版が存在している。これは日本語版「灯争大戦」のパックから約50%の確率で普通のカードの代わりに出てくるものだ。



サヒーリの登場するカード

カードセット「灯争大戦」の中でサヒーリが関係するカード

灯争大戦のストーリー

第二幕第七場

ストーリー「第二幕七場」ではチャンドラ・ナラーを中心とした関係者がまとまっている。チャンドラの出身カラデシュ次元のサヒーリとドビン。チャンドラの師であるヤヤ・バラードとその友人カーンである。

小説War of the Spark: Ravnicaで答え合わせ

小説War of the Spark: Ravnicaでは実際どうだったのか?
(灯争大戦小説:AMAZON(電子書籍Kindle版あり) / 楽天(電子書籍Kobo版あり)

※ネタバレ※になる記述なので、小説を読む体験を損なう可能性があります。
テキストは折り畳まれています。表示する際には注意してください。

答え合わせ(ネタバレ注意)
小説War of the Spark: Ravnicaでは、サヒーリはやはりファートリ(Huatli)とともに登場する。

2人が最初に登場して合流したのは、テヨ(Teyo)、ラット、ケイヤ(Kaya)サムト(Samut)キオーラ(Kiora)らと、ヴォレルのシミック、ドムリ(Domri)のグルール、マーレー(Maree)のイゼットの合同軍であった。

ところが、その後はサヒーリとファートリが組んで同じ作戦行動を執ることはなかった。

答え合わせ(ネタバレ注意)
灯争大戦のストーリー「第二幕七場」に揃ったプレインズウォーカーたちが、小説War of the Spark: Ravnicaで全員一堂に会して物語上で何かを成すことはなかった。ドビン・バーン(Dovin Baan)不滅の太陽(Immortal Sun)攻略にはサヒーリとチャンドラ(Chandra)が割り当てられているがヤヤ(Jaya)カーン(Karn)はそれぞれで別の任務を担当することになった。

小説War of the Spark: Forsakenでその後どうなった?

小説War of the Spark: Ravnicaの続編小説War of the Spark: Forsakenではどうなったのか?

※ネタバレ※になる記述なので、小説を読む体験を損なう可能性があります。
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その後どうなった?(ネタバレ注意)
灯争大戦の翌日、テーロス次元でギデオン(Gideon)を偲ぶ葬儀を執り行うことになった。サヒーリは友人のファートリ(Huatli)と共に参列することになった。参列者はジェイス(Jace)チャンドラ(Chandra)ニッサ(Nissa)カーン(Karn)サムト(Samut)テフェリー(Teferi)アジャニ(Ajani)タミヨウ(Tamiyo)、サヒーリ、そしてファートリである。
その後どうなった?(ネタバレ注意)
取りあえず葬儀に備えてカラデシュ次元の自宅で休息を取ることになった。ファートリもサヒーリ宅に泊まったが、ニッサとアジャニ、ヤヤ(Jaya)、テフェリー、カーンはチャンドラの自宅に宿泊した。

その夜、サヒーリとファートリはかつてのドビン・バーン(Dovin Baan)の住居を捜索に出かけた。逃亡中のドビンが潜伏している可能性があるか、または、潜伏先の手がかりが入手できるかもしれない。2人は途中でチャンドラに出会い、共に捜索を行った。ドビンは見つからなかったものの、立ち寄った形跡を確認できたのだった。

その後どうなった?(ネタバレ注意)
ギデオンの葬儀で、ファートリは彼の名誉を讃える詩を捧げたいと願い出る。ギデオンとほとんど面識のないファートリの申し出に怪訝なチャンドラに対して、サヒーリはチャンスを与えて欲しいと目で訴えた。こうして捧げられたファートリの詩は参列者の心を打つものであった。

葬儀後のサヒーリの動向については言及がないため、テーロスからどこに向かったのかは不明である。

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